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夏だ!

アナログ作家の創作・読書ノート
                おおくぼ系 

 
 夏です! セミ時雨(しぐれ)がはじまり暑中お見舞い申し上げます。
一月ほど、60枚の短編小説をかきあげることや長編の推敲に没頭していて、NOTEのことは、おいといて、となってしまいました。
 一年半以上、NOTEにいろいろと発表してきたのですが、アナログ作家としては、小説そのものを発表しても、読み手としては、やや(ずいぶん?)読みにくく引いてしまうのかなと感じつつあります。
 短編という100枚以内のものでもボリュームは相当になるし、長編になると何をかいわんやでしょう。やはり今後、紙(神)にたよらざるを得ないのかも(笑)で、基本、小説の発表はひかえたいと考えました。
 
 暑い中、最近のインプットですが、映画館なら涼しく過ごせますねということで、『トップガン』と『エルビス・プレスリー』を観ました。どちらもいろんな意味で感動しました。ただ、両アメリカ作品に共通しているのは、その膨大なエネルギーというものに圧倒されるというか、異世界を感じました。何が何でも生きぬく、自身の信念を貫き通すという、ごく当たり前のことを当たり前にしておこなっている。アメさんの自立心のすごさ! 
 これ異世界ですね……和を以て貴しとなす、の世界は、なんなのか、優柔不断そのものでしかない(今では死語?)。 このへんも短編小説のなかに入れ込みましたが。
 
 しかし、近年の女性パワーはより力強く、作家の世界でも主流となっているのを感じております。
一例として、高村薫の『わが手に拳銃を』では、冒頭に、コルト・パイソンの引き金を軽くしてくれとの依頼により、拳銃を分解する場面が描かれているが、これがマニアもたまらなくなるほど詳細かつリアルに書き込まれている。この物凄い知識をどのようにして習得したのか、ここまで書かれるとまいってしまい、ただただ脱帽。
 
――パイソンに輪ゴムで留められたメモには、トリガー・プルを軽くしてくれとあった。
――コークスクリュ―を手で抜いてシリンダ―を外し、ねじ止めのグリップとサイドプレート外した後、ハンマーやハンマーブロックなどの作動を見るために、トリガーを軽く引いてみる。シングルアクションで一・七、八キロ、ダブルアクションで五キロ弱の感触だった。正常な純正品のパイソンはこんなものだろう。
――ハンマーのコッキング・ノッチとトリガー・リップのかみ合わせを見、シアの動き方を見て、どの程度削るかをざっと頭で見積もった。そうして、それを脇へ押しやると、今度はクズ同然のコルト・オートをつまみあげた。
 
 同小説に書かれている内容も男の友情である。完全にまいってしまって、彼女の他の作品を購入はしたが、読むのが怖くて手をつけずにいる。書けなくなってからの読む楽しみとしたい(?)。高村氏はキリスト系大学の人文化学科の出身である。
 さらに金融のプロから作家となった『小説ヘッジファンド』『日本国債(上下)』、『日銀券(上下)』の幸田真音がいる。防衛庁で情報・調査の仕事を行っていた五条瑛の『プラチナ・ビーズ』もある。また、システムエンジニアであった福田和代の『迎撃せよ』、翻訳家出身の高野由美子『ホット・スクランブル』など、いやはや凄いとしか言いようがない。
 
アナログ作家として小説を書くためには、取材はもとより、資料や本をあさり、読まねばならない。涼を求めてジョイフルのコーヒー片手に読み進めているのは、陳舜臣の『実録 アヘン戦争』である。約二百年前の物語なのだが、これがとてつもなく面白い。これだけ歴史のはなれた事件は、一種のファンタジーとして読めるのである。
この作品を、配役を変えて時代背景を変えると、〈なろう系〉の作品が出来上がるな、とも思える。
もっとも小説とはある種のファンタジーであるから、当然なことであろうが、過去を紐解くと小説ネタは無限にあり、けっこう書けるのだとも思う。
 
小説の参考として、佐藤優の『インテリジエンス人間論』は三回目を読みつつある。きょうび、突然のウクライナ戦乱が起こって、氏の最新作『プーチンの野望』を購入した。
佐藤氏は、元外務官僚であったが、濡れ衣から刑事被告人となり執行猶予付きの有罪判決を受けた。『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』で作家デビューしたのだが、これは、インテリジェンス、スパイ小説さながらの世界が展開され、本のとりこになってしまった。加えて、氏の執筆量は、まさに怪物である。
 
ロシアの侵攻や元総理への襲撃事件など、世間が一変した感があるが、小生の書きあげた短編小説も幾分かの杞憂を含んでいる。
作中で主人公が、ひねり出した短歌が、以下のとおりである。どちらかというと川柳なのかもしれないが……。
 
ーー極東に 浮かぶ列島 日のもとは 平和天国 ガラパゴスかなーー
 


      (今後、適時発表します。ヨロピク!)


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