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マリナーズの"天敵"大谷翔平6年目の進化・打者編

前回の「投手編」に続き、今回は「打者編」をお送りする。改めて言っておくが、これはロサンゼルス・エンゼルスの応援ブログではない。長年シアトル・マリナーズを応援し、暗黒時代を生き抜いた者の独り言である。

昨季の打者・大谷翔平は、MVP候補に挙げられながらも、本塁打が2021年の46本から34本へと減少。アーロン・ジャッジの当たり年で霞んでしまった印象だが、本当に打撃成績が落ちただけなのか。シーズン終了直後のインタビューが、この謎を解く大きなカギを握っている。

「3割近く打てるようなイメージでシーズン前はいこうと思っていた。その中で本塁打がどれくらい出るかというのが1つチャレンジでした。」

掘り下げるほど、全てがここに集約される。明確な意図を持ってプレーしていたことが数字にも表れているので、順を追ってご紹介したい。



■2022年を振り返る

大谷翔平 '22打撃成績
└ 打率.273/本塁打34/打点95/盗塁11/OPS.875
└ wRC+142/wOBA.370/BABIP.320/OPS+145/fWAR3.8/rWAR3.4
※WARの数値は打撃のみ

例のごとく、Baseball Savantからのデータを引用する。2021年と22年の違いを読み解いていこう。表を眺めるのが面倒であれば、以下のまとめをご覧いただければと思う。

図①:GB%(ゴロ率)/FB%(フライ率)/LD%(ラインドライブ率)/Pull%(引っ張り)/Straight%(センター返し)/Oppo%(流し打ち)


図②:コース別のRunValue(得点価値)。際どいコース「Shadow」で数字を落としている。


2021年と昨季の打撃指標を比較すると、次の数値が大きく変化している。

・FB%(34.6%→30.1%) 
・Pull%(46.6%→36.0%) 
・Barrel%(22.3%→16.8%)
・BB%(15.0%→10.8%)
・K%(29.6%→24.2%)
・Chase Contact%(48.4%→60.2%)

そしてストライクゾーンの境目「Shadow」に該当するコースで、大きく得点価値を落とし、甘い球「Heart」でそのマイナスを相殺している。

要約すると、

・本塁打になりやすい角度の打球が減少
・引っ張りが減少、センターから逆方向への打球が増加
・三振が減少、際どい球で四球を選ばずにコンタクトしている
・甘い球は、より確実に得点を生み出している

これらは、各球団の執拗な外角攻めの影響も小さくない。限られた状況で打率を上げつつ、本塁打を量産する可能性を模索していたのである。

■今季の課題は

MVPを獲得した2021年に比べ、昨季の打撃はやや支配力に欠ける印象があったかもしれない。そこには「打率の上昇を狙いつつ、本塁打をどこまで量産できるか」というテーマが隠されていたのである。

図③:チェンジアップに苦戦した1年。空振りは減り、打たされた結果の凡退が増えた。

一方で、各球団の外角攻めは厳しさを増し、低めのチェンジアップで凡退を繰り返す場面が見られた。今季は3割を狙いつつ本塁打王、そんな野望を抱いているかもしれないが、果たして。大谷翔平の新たな1年に注目したい。

マリナーズ戦以外での大活躍を、心から願っている。夏が終わる頃には、ナ・リーグのユニフォームを着ている可能性も否めないが、それはそれで…。



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