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「桜桃の味」を観て。


原題:Ta'm-e-Gīlāss
英題:Taste of Cherry
邦題:桜桃の味

監督:アッバス・キアロスタミ(1997)

あらすじ: 運転する中年男バディは街行く人々に声をかけては車内に誘い入れ、多額の報酬と引き替えに自殺を手伝って欲しいと依頼する。クルド人の兵士もアフガニスタン出身の神学生も拒絶するが、最後に乗せた老人バゲリは依頼を承知の上で、自分の過去についてバディに語り始める。(引用)



感想:忘れていた。


ワタシ、桜桃の味、忘れてた。ずっと。


仕事も生活も人間関係も体調も何もかもダメで本当に嫌で嫌で生きてるだけで疲れる、消えてしまいたいとずっと思って死んだように生きてたと思っていたある数ヶ月。

そしてある数日、大好きだった前職場の方々と色々と連絡があったり食事に誘ってもらったりと縁が繋がった。

人と目まぐるしく会っていて、ふうと家でひとりこの映画を見た。

ワタシ自身がまさしく桜桃の味を忘れていたし、今回の人達と会えたことがワタシにとっての桜桃の味だったと思う。

ワタシが今までやってきたこと、間違ってなかった。ちゃんと見てくれてた。素晴らしい輝かしい桜桃じゃないか。

「全てを拒み、全てを諦めてしまうのか?桜桃の味を忘れてしまうのか?」

桜桃の味を忘れるということは、今まで出会いや経験、言葉、何もかもを否定してしまうということになってしまう。それだけは嫌だと思った。

いい人たちに出会えたことはワタシが引き寄せた縁。だから、ワタシがワタシのことをもっと認めてあげないと、と思った。桜桃の味を心から味わっていいんだ、と。

あの砂漠からの、緑の生い茂った土地。スタッフ達の笑顔、生きて人間らしくタバコを吸うバディ。ほら、あれだけで生きてる喜びを全面に出してる。

キアロスタミは、彼にとっては、映画を撮ることが桜桃だったのかもしれない。

だから、誰も人から応答を奪う権利はない。

ワタシの桜桃はなんだろう?

ゆっくり考えよう。きっとすぐ目の前にあることだから。

今日もありがとう。素敵な映画という桜桃を味わさせてくれてありがとう。

キアロスタミ氏に感謝。


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