意外と泣けないもので。
流産、とわかったその日は泣きたくて仕方がなかったけれど、4人部屋だし、旦那さんや両親に説明しなくてはいけないから泣くわけにはいかなかった。会社に報告する時、『流産』という言葉を初めて口にしたとき、言葉が自分の中をめぐって、我慢できなくて、涙声で上司に報告したけれど、涙は我慢した。
家に帰ったら、と思ったけれど、帰れたのは翌日だったのもあって泣けなかった。
流産後、子宮内容除去術という処置をした。半端に残っていると体によくないからすべて取り除くという処置。
エコーでみたら、何にもないのに、処置するのかと思った。
午前中になにやら、器具なのか何かを入れられて、点滴をうけて処置を待った。
説明とかあんまり頭に入らなかったし、余裕はこの時が一番なかった。
処置後数時間で、退院できるので人に頼んで持ってきてもらったので妙に多くなってしまった荷物を整理してから点滴した。
麻酔するとか、心電図つけるとか全然説明が頭に入らなかったのか、それともいわれなかったのか、何時から準備するとかも言われなかったので、処置の前に看護婦さんにめっちゃ怒られた。
怒られても。と思ったけれど、なにも言う気にもなれなかった。
思えば、人生初の麻酔だった。全身麻酔じゃなかったぽいけれど、麻酔が入ってから2時間くらい記憶がない。
目が覚めると、部屋が変わっていて、まだ点滴が終わってなかった。ぼんやり点滴が終わるのを待ってから看護婦さんに声をかけて点滴をはずしてもらい終わった。
麻酔をしたので、車で帰ることができないので、旦那さんに迎えに来てもらう約束をしていた。旦那さんの仕事が終わるのはまだ先。そもそも忙しい時期で、迎えに来てもらうのが本当に申し訳なかった。
いつの間にか、もらった4日分の子宮収縮剤と胃薬。子宮収縮剤には当然のように『妊婦服用禁止』と大きく書いてあり、地味に攻撃力が高い。
もう、妊娠してないんだなと。
痛みは全くないけれど、結局1週間以上なんだかんだと出血は続いた。
旦那さんは私が意識を取り戻してから3時間くらいしてからようやく迎えに来てくれた。
1週間以上家を空けていたので、すぐに食べられるものが冷蔵庫になかったので、スーパーで値引きのついたお寿司を買って帰った。
夫婦そろって、冗談を言いながら、食べた。
ようやく入れると思ったお風呂にも、処置当日は入れなかった。
疲れたので、いつもより早く夫婦布団を並べて寝た。本当はくっつきたかったけれど、お風呂もう1週間ちかく入ってなかったので、近寄らずに寝た。
翌日、寝室のゴミ箱をみたら、ティッシュがたくさん入っていた。
ああ、ひとりで泣かせてしまったんだなと思った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?