理系大学院生と見る『科捜研の女 劇場版』

どうも。私は科捜研の女のファンです。数少ない、まともに見ている連続ドラマのうちの一つ。そりゃ見に行きますよ。初日も次の日もバイトだったし色々あって結構遅れてしまった。でも初週に行けた。良かったぜ。

結論から言うと
科捜研の女ファン喜ばせ度 120点
でした。激アツすぎ。
特撮だったらこれもう、ゴーカイジャーとかジオウですから。ありがとうございます。メモリアル……。

それはそれとして、理系大学院生(ただし分野は生物)的目線でもめちゃくちゃ良かったので、また見に行きます。できるだけ。

先に伝えると、この先ネタバレをします。
ミステリーですし、できれば見に行ってほしい(特に作品ファンは!)ので、嫌な方はごめんなさい。
ネタバレ前にもう一度クッション挟みます。

めちゃめちゃオーソドックスに、人が死んで、それがそもそも事件性があるのか?自殺なのか他殺なのか??原因は???を科学捜査で追究していく流れです。劇場版だからか、本編以上にグロテスクな部分があったり、なかったり……まあ、少しなので大丈夫だと思います。
科捜研的には王道な流れなので、作品ファンの人ならある程度予想できるかな?と。犯人も比較的筋が通っていて、本編よりかは理解できるし分かりやすかったです。理系院生にとっては。

前述のとおりお祭り作品だからか、懐かしいキャストがい~っぱい!ありがとう!!告知のでっけ~~~~ポスター??にも出てるので分かるけどね!みんながしっかり活躍していて最高です。アツ~~~!!!
ネタバレなしでミステリーの感想書くの難しいですね!?佐々木蔵之介さんかっこい~~!!あの役のちょっと不気味な感じが似合ってる。
やはり、科学のスペシャリストであるマリコさんが同じ科学のスペシャリストと相対する回は面白い。サイエンス自体が面白いからね。

以下ネタバレ含みます。
改行多めにしておきます。





今回の事件の被害者をたどると、皆「細菌」や「ウイルス」に関する研究をしていることが分かる。
この時点で「大変な人たちだな~」と思いまして。微生物関連の研究室って大体ブラックじゃん。生活サイクルを細菌に合わせなきゃいけないから……私の中では、微生物の研究室はクレイジーというイメージがあります。
例に漏れずそうでしたしね。
「午後11時ならいつも研究室にいます」の一言で蒲原くんはびっくりしているんですが、私としては「ああ……やっぱりね……」と思ってしまいました。ちなみに出てくる院生も狂ってる。み~んな。でも微生物の研究室ってそうだから……私はあそこまで盲目に自分の研究を信頼してはいません、大好きだけどね!
そして重要になってくる「人類のために必要なのは基礎研究だが、それでは予算が出ないのでいっちょでかいことをやって特許で研究資金を得たい」という旨の発言、完全に「そうなんだよな……」になってしまった。これに関しては院生は大体理解してくれそう。あんまり言いたくないけど基礎研究マジでお金もらえないよな。商品化とかは大きく発表されるけど、その根っこ部分は専門の人間しか知らないジレンマ。悔しいなって思ってしまった。

今回は色んな機器が出てくるよ!
私は分析機器に詳しくないんですけど、実験とかで使った気がするやつもあった。成分分析の機器ですね、たしか実験の演習で使った気が……と言ってもサンプルセットまでですけどね。
そんで何といっても今回SPring8を使うんですよ!!!!すごくないですか!?!?!?あの!?!?!?!?!授業でしか聞いたことないぜ?????確か兵庫県だよなって思ってぐぐったらそうでした。私の記憶力、すごいぜ。そりゃ京都からでもすぐサンプル送れるねえ~!!!!
今までのメンバーの力も借りて、沢山の機械で分析!すごいなあ。
ところで髄液を培養しても何も出ない!って言ってたのは、結局粘膜から侵入していただけで髄液は経由していないからということなのかな??何度も「出ない!」「出ない!!」って言ってたから、培養不可な細菌なのかと思っちゃったよ。あと、マリコさんが試験管割っちゃうんですけど、それ、あたしもやったことあります(照)

今回の内容、面白かったんだけど理系的にはモニョる部分があるんだよな。
論文でデメリット書かないとか最低すぎるんだけど、それは置いとくにしても……そんなの、人体でなくてもマウスとかで実験したらすぐバレちゃうのでは?と、素直に思った。薬剤耐性菌についても然り。というか耐性菌なんか一番に考えなきゃいけないところな気がするよ。私はマウスで実験したことはないけど、6ヶ月くらいは行うだろうし臨床に移ってもマウスは続けるもんじゃないのかなあ。
そして単純に、サンプル数少なすぎないか?と。特に人間における実験であれば、単純なデータ量だけでなく安全性の面でも数百のサンプルは必要でしょうよ。だって、個体差だってあるんだし。少なくとも3反復よ。それで特許とれるの?特許ってそない簡単なんですか??体調不良で休む日があるとか、それももう完全におかしいじゃん。データとしての正確性が……とか、色々考えてしまった。研究室に入るまではここまで思わなかったと思うけど。
それもこれも、佐々木蔵之介さんが演じる教授が科学に矛盾はうんたらかんたらとか言うので、だったらそうじゃん!?!なあ!!!!!って、ちょっと、思っちゃったね!!!!毎日反復実験している人より。
そんなとこツッコむのは野暮ですよね。映画への文句は全くないです!ただ、あたいがちょっとだけ、そう思ってしまっただけ……
皆さんは、ピペットマンにチップをセットするとき、一発ですか?私は習った時の癖で、コンコンしちゃうんですけど。治すべきかな。

はあ~~~~……良かったな。とにかく。
ストーリーは2時間でまとめるうえで仕方ないレベルのむらはあれど、とにかく映像が美しかったし、ね!
マリコさんも平常運転大暴走って感じで。
作品ファンは絶対行ってください。作品知らない人も是非。そのあとで10月から始まるシリーズ見て、理不尽さにびびってください。

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