パナソニック元幹部 VS 無職ニートだった僕<異種格闘技戦の行方は・・>
こんにちは、こっこです。
肩書きは『田舎暮らし案内人ブロガー』で、田舎に移住して9年目のパパです。
僕は自分のメディア:coccoblog(https://coccoblog.org/)でも何度かお伝えしたり、Twitterでもツイートしてきましたが
<田舎暮らしするならお試し移住、
仮住まい経験は大事!>
と繰り返し発信してきました。
もちろん、僕もその段階を経て現在の夢の暮らしを実現させています。
ここだけ切り取れば、
「こっこさん、羨ましい~」
「こっこさんだからできたんだよ!」
と思われるかもしれませんが、全然そんなことはありません。
お試し移住を開始し、仮住まいを始めた9年前は僕の肩書きは
ただの無職ニート
その状態で都会から田舎に妻とともにやってきて、動いて、動いて、イベントに参加して、人脈ができて、繋がって、広がって、少しずつイメージが具現化していきました。
ここでポイントだったのが
【行動する】→【人脈】という流れ。
つまり【紹介と出会い】ですね!
ここは99%の確率で「いいこと」しか起こりません。
なぜなら、右も左もわからない新人移住者に地元民や先輩移住者が、デメリットになる人物を紹介すると、トラブルになり、お試し移住の時点で諦めて帰ってしまうから。
そんな受け入れ先の移住地の人々ががリスクを冒して、摩訶不思議なアクの強い人物と引き合わせるワケがない。
それが「常識」であり「歴史」であり、「現実」だったのです。
しかし、僕は出会ってしまったのです、残り1%の確率の「摩訶不思議なアクの強い」人物に。
それが・・
1章:パナおじさんとの出会い
パナおじさんとの出会いはわりとすぐでした。
お試し移住の前半は、知り合った友人宅でのセルフビルドに参加すべく、都会の実家から週3回通って泊まり込んで作業していました。
実はその友人宅は別荘地。
彼自身は小金持ちでもなんでもなく、僕と同じような移住者で先輩。
親戚から譲ってもらった山林化した別荘地を開墾して、自力で家を建てていました。
別荘エリアなので、住人達は都会出身のおじさま、おばさまが多い。
大金持ちじゃない気配だけれど、間違いなく小金持ちではある。
その別荘エリアの最高地、もっとも見晴らしが良く、絶景ポイントを押さえている土地。
そして、最も広い面積を保有していた人こそ
パナおじさんだったのです。
順序としては、僕が別荘地の友人宅に出入りする前には、まずその友人がパナおじさんに目をつけられてます。
さぞ、友人もビビったでしょう。
最高峰から高級車に乗って降りてきた、おじさんに突如マークされたら・・。
しかし、友人は天才的な才能の持ち主だったのです。
それが引き寄せ能力とハンパない笑顔
どこにでも、絶対気に入られる人っていますよね?まさにそれ!
従順というか、素直というか、聞き役の天才というか・・。
友人はとにかくパナおじさんに好かれ、あれこれ不要になったものとか貰ったり、借りたり、ごちそうになったりしていたようでした。
そんな過程があった上で、いよいよその時がやってきました。
僕らが作業をしていると、ぶぉーーんと高級車が降りてきてパナおじさん登場。
『おう!家作り進んでるか!?』
<<いざ、我が土地に降臨!!>>
と、いうぐらいに余裕でインしてきました。
そこで初見で僕と目が合い
『君はだれだ?なにしにきてるの?』
「!?こっこといいます。定住を目標に通っています、田舎暮らししたいです!」
・・・
・・・
(謎の間)
・・・
・・・
(怖い、怖い・・)
・・・
・・・
『君ね、一度友人くんと私の家に遊びにきなさい、ごちそうするから』
「え?あ、はい!ありがとうございます!!」
なんか、突然誘われドキドキ。
その後、パナおじさんは敷地をうろつき、僕らにいろいろアドバイスをしてきました。
・ここはこうして作れ
・この角度は違う
・これは先にやっちゃダメ
友人とふんふんと頷きながら聞いていましたが、やたらと詳しい。
なんだこの人物は。
180cmほどの体躯、僕の2倍ほど分厚い手、スキンヘッドで白髭、そして腕がやたらと長い。
僕の中では「猩猩(しょうじょう)」だった。
散々、ダメだしをして車に向かい、方向転換をして僕らが見送ろうと近づいたとき、窓がウィーーーーンと開いて、とうとうあの【定型セリフ】を聞いてしまった。
いま思えば、あの運転先側のパワーウィンドウの開放が後の<異種格闘技戦の幕開け>だったのだ。
『君たち、次は私の家にきなさいね、セルフビルドの事いろいろ教えてあげよう。』
(へぇ~、この人もセルフビルダーか!凄いな!)←純粋な感動。
『僕は何でも知ってるよ、なぜなら・・』
第2章:パナおじさんのお家訪問
その時はすぐにやってきました。
友人と一緒に別荘地最高峰のエリアへ招かれ、訪問。
完璧にガーデニングされたお庭でマダムが水やりをしている。
奥様だ。
パナ婦人と呼ばせていただく。
『あら、いらっしゃい!友人くん、あなたはこっこ君ね!主人から聞いてるわ~』
パナ婦人、上品で落ち着いてる。
『おーい!こっちおいで!地下、地下!』
パナおじさんの呼ぶ声がする。
パナ婦人の完璧な振る舞いに緊張していたら、よくみるとログハウス調のばかでかい豪邸がそびえ立っていて、その地下から声が。
どうやら、地下室があるらしく、扉を開けて入ると、工具や作業台、本や木材の切れ端がきちっと整頓されて並べられていました。
(うわー、すっごい!専門家の研究室みたい!)
そして部屋に一歩、踏み込んだその瞬間、開口一番に・・
え?そうなの?そんなものなの?
まぁ、あり得るかな。
・ゴルファーが庭にゴルフスイングスペース
・サッカー選手が庭にフットサルコート
・スケートボーダーが庭にボードコース
そして、パナソニック元設計部門の幹部は地下室に設計部屋。
あり得ないことはない。うん。
『君らもセルフビルドで家を作るなら、きちんと設計をしなさい、行き当たりばったりで作るなんてプロじゃないぞ!』
(はい、僕らプロじゃなくて素人ですが)
そこから、設計のことやら、道具の解説講座が30分ほど続き、ようやく外へ。
しかし、よく見ると本当に立派な豪邸。
これをセルフビルドで建てたとしたらマジですごい!
素人にありがちな、「ごまかした感」がないし、建具や階段、テラスなんかも完璧!
『セルフビルドで家を建てるっていうのはこういうことを言うんだよ』
純粋に惚れ込んでしまうほどの、成果と圧倒的な緻密さ・・。
ついこないだまで、カフェで皿洗いしていた僕には超ハイレベルな景色でした。
第3章:ル・クルーゼのお鍋
家の中に通されて、リビングへ。
そこにアツアツの料理が、きれいなル・クルーゼのお鍋に入れられてどんどん運ばれてくる。
パナ婦人の手作りだ。
超おいしそう!ル・クルーゼも本望だろう、パナ婦人に料理を仕込まれて。
さっそくおいしくいただこうとした瞬間、パナおじさんが低い声で言ってきた。
思わずスプーンを持つ手が止まった。
(こんな素敵なテーブルも作ったのか!!)
「凄いですね!何でも作られるのですね!」
すると急にテンションの上がるパナおじさん。
『こっこ君、これを見なさい!このガラス戸』
突然、立たされ、部屋のガラス戸の前に行き、ガラス戸の説明開始。
パナ婦人のル・クルーゼが泣いている・・。
案内されたガラス戸もとてもキレイで、まっすぐ。
機械的で洗練されたシャープな戸だった。
『なぜ、美しいか分かるかい?』
「パナおじさんのスキルが高いからでしょう?」
『違う、わかってない・・、それは結果にすぎない・・。』
「なんでしょう?」
『一番最初の設計だ』
「はぁ・・、設計ですか?」(聞き返した瞬間、かぶし気味で)
もう、僕には
としか聞こえなかった。
もう、ここまでくるとパナ婦人のル・クルーゼの鍋も設計したんじゃないか?とまで思えてきた。
そして僕の料理は冷めていった。
第4章:ゴング
食事が終わり、ソファに座り直しおしゃべりが始まった。
最初は友人の話、そしてパナ婦人の話。
どうやらパナ婦人とパナおじさんは再婚らしく、お見合いをして結婚し移住してきたようだった。
人生経験豊富で、いろんな事を知っている、まさに「大人」だった。
そんな「大人」なパナおじさんから質問が
『こっこ君はなんで田舎暮らしをしたいの?』
「生き方に疑問を~、震災を通して~を思い、価値観が~」
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
『君ねぇ、甘いよ、甘い!そんなんじゃ田舎暮らしなんて3ヶ月もたないよ!』
(!!!!!!!!!!!?)
そこからは
・計画性がない
・資金力が乏しい
・引き出しがない
・武器がない
・親に依存している
・奥さんを守る気概が感じられない
・そんなガリガリの身体じゃなにもできない
猛烈なパンチが飛んできた。
記憶が曖昧だけれど、たぶん30分くらいは打たれまくった気がします。
実家からお試し移住の一歩を踏みだすのが=「親への依存」だったらしく、アウト。
「武器がない」「引き出し」がない、そんな男に女は守れん!でアウト。
「ガリガリ」は元のフィジカルが乏しいので、どうしようもないけどアウト。
僕も冷静にひと言返してみた。
「自分に足らないものがあるのは分かっています、それを手に入れるために、自分の可能性を深掘りして磨くために、田舎暮らしが必要なんです!」
大人なパナおじさんが落ち着いてまた質問をしてきた。
『君は小学生の時は何をしていたんだい?』
まさかそんなパンチが飛んでくるなんて思ってもみなかった。
「6年間ずっと外遊びして、暗くなってもグランドでサッカーしてましたね、あとはファミコンもハマってました。」
『私はね、田舎育ちで木登りをして、蛇を捕まえて、森の中で秘密基地を作って遊んで過ごしたよ、そこで基礎体力がついたんだ』
『つまり、小学校の過ごし方の時点で、私と君とではかなりの差ができてしまっているんだよ』
『そういう経験があって初めて田舎暮らしができる体力があるんだ、だから移住してきて田畑やセルフビルドをするパワーがあるんだ』
『だから、君は3ヶ月ももたない・・、残念だ。小学校の過ごし方で決まっていたんだよ』
オーマイゴッド。
僕の田舎暮らしはとっくの昔に破綻していたらしいし、いつの間にか先に産まれていたパナおじさんと大きな差ができていたらしい。
少し反撃のジャブを打ってみた。
「田舎暮らししながら、少しずつ体力もついていくと思います、これからですね!」
するとパナおじさんは寝技のコンボを開始!
『でも体力ができたところで、今の君に何ができる?』
たたみかけてくる!!
『何をしてきたんだ?』
『何に詳しい?何に秀でている?』
『同期を蹴落として駆け上がってきたか?』
『ライバルには負けなかったか?』
『どんな挑戦をして、乗り越えてきたんだ?』
『知人君の家に上がり込んでいる、今の君にどれか一つでも説明できるかい?』
知人、苦笑い、奥さんなぜかウンウン頷く。
そこで僕はひと通りの履歴を解説。
・飲食業をしてきたこと
・身体を壊し退職してきたこと
・音楽をしてきたこと
・英語を少し話せること(←ムキになってる、笑)
・妻とお菓子販売をしてきたこと
しかし、これでは「大人」のパナおじさんには一切効果がなかった。
『ぜんぜん、実が詰まった人生を送ってきてないじゃないか・・』
『君のご両親は、どんな教育をされてきたんだろうね、英語?私も少ししゃべれるよ!』
プッチーーーーーーン。
僕の中で何かがはじけました。
(まず親は関係ないでしょ、実が詰まった人生ってなんやねん!)
(んで、何回、設計部門って言うねん!新手のネットワークビジネスかっ)
「(イラ)まぁ、僕は僕でなんとかやっていきますから、暖かく見守っていてください~」
『それはいいんだけどさ、奥さんが可哀想だよ。奥さんはお菓子が作れるから手に職があるんだろう?奥さんの話を聞かしてよ、君の話はもういいからさ』
『ん?なんか言いたそうだね!言ってごらんよ。君に語れることなんてあるのかい?たかだか30歳で今、無職だろう?僕が君の歳の頃は寝ずに働いていたよ!!一生懸命にね!』
『ほら、何も言い返せないよね?今の若いやつはみんなそうさ!口だけで実績がない、何もない!夢ばかりみてる』
『もう君の話はいいから、奥さんの仕事の話をきかせてよ!』
僕はもうボコボコにやられ、リングの外にまで放り投げられた状態。
反撃するも、そもそも同じ土俵の話すらさせてくれないし、ただただ僕にとっての無価値の基準の話の展開にしかならない。
呼んでおいて、何の生産性もない会話。
呼んでおいて、何も共感しない会話。
呼んでおいて、何も得るものがない会話。
僕はもう悟った、ここに来たのは間違いで、この人は僕にとって「大人」じゃなくて「子供」だった。
第5章:奥さん
執拗にうちの奥さんのことを聞くのでサラッと説明。
・カフェ勤務していた
・乳製品、白砂糖、卵を使わないお菓子を作りアレルギーのある人向けに販売
・オーガニックマーケットや手作り市で出店
・軽い農作業もできる
するとパナおじさんは好反応!
『素晴らしいじゃないか!君と違って、きちんと仕事をされているし、人の役にたっている。ビジネス思考もお持ちのようだね!』
『何もかも、やってもらって何が田舎暮らしなんだね?え?』
僕が野菜を作って、それをお菓子の材料にするという話は完全にスルー。
もう、なんかむなしい会話にしかならない。
そんな重いため息をつきかけた時・・
ピピピッ・・、ピピピッ・・、ピピピッ・・、
2階からアラームが聞こえてくる。
パナおじさんが慌てて階段へ駆けていく。
するとパナ婦人が
『ごめんなさいね~、ネットで株取引する時間なのよ~』
『あの人、毎日かじりついて見てるのよ~』
さすが富裕層だ。
アラームが鳴って駆けつけた経験は、お鍋で調理してる時ぐらいしかない。
2階からパナおじさん
『おーい、ログインPWってどれだった?』
『画面が変わらないぞ-!』
『ユーザー名ってどこに表示されてたっけ?』
パナ婦人
『あの人、いつも私に聞くのよね~、いやになっちゃうわ・・』
しばらくして降りてきたパナおじさんは明らかに不機嫌だった。
株価が下がっていたのは明白。
そして、その矛先は再び僕へ・・。
第6章:競争社会
『私はねぇ、絶対会社で出世してやる!と思って同期を敵だと思ってやってきたんだよ、全員がライバル』
『会社っていうのは上にいかないとダメ、競争に勝たないとダメだんだよ』
『それは田舎暮らしでも同じだよ、こっこ君、うちの別荘地をみただろう?』
『パナソニック時代に幹部まで登りつめたマインドが、田舎暮らしでも私を一番にしてくれたんだよ!』
僕は突然、猛烈にむなしくなりました。
パナおじさんを支えているもの、そのバックグラウンドが見えてしまったから。
それは強烈に競争を勝ち抜いてきた、過去の自分の実績。
そしてそれを田舎暮らしに転化していること。
そして、その目線でしか、物事を評価しないということ。
一瞬で<この人から得るものはなにもない>と結論がでました。
まだ、何かあれこれ話をしているのだけれど、その辺りから僕にとってはBGMになってきました。
『私のような経験を積んでいるから、たくさんアドバイスができるんだよ。また話を聞きたかったらいつでもきなさい』
『しっかり学ばないと、他の移住者に負けるよ、こっこ君。君はただでさえ、何もないんだからね!』
(移住者が移住者に負けるってなんやねん・・??)
もうそんだけ競争と勝負が好きなら
第7章:終了ゴングが鳴っても大暴れ
僕の中では完全に試合終了でした。
もう、リングにあがる意味も無く、戦う価値もない。
組する相手に同情したら試合にはならない。
無職ニートの僕ですらパナおじさんを支える「過去の栄光」が、薄い薄い氷の上に溶けかけでちょこんとのっているように思えた。
<<人をおとしめて、自分を高める>>
それに酔いしれている、パナおじさんは「かっこいい大人」ではなかった。
招かれた食事会も終了で、再びあの完璧なガーデンを通過し、広い敷地の外へ。
『こっこ君、また来なさい。そしてそれまでにきちんと未来を説明できるようにしておくこと!何も語ることのない人生を歩んできたんだから、ここから勝負していかないと』
『まずは隣りにいる知人くんを追い抜くつもりでやらないと』
『そして、次回は奥さんも連れてきなさい、たくさんアドバイスをしてあげるよ』
『いろんな若者を呼んでアドバイスしてきたけれど、君みたいな無職はホントだめだよ、他の子達はがんばってるんだろうけど、こっこ君は、ねぇ・・』
がんばってる?こんな強烈なパナおじさんの所に通って助言をもらい続け、成長している若い移住者がいるのか??
「みなさん、よく通われてパナおじさんにいろいろ教えてもらってるのですか?」
『イヤ、誰も私の話にはついてこれないようだ、結局、最近の若者は行動力が足らないね、教えて貰う姿勢がなってない!』
『パナソニックの設計部門にいた私は、尊敬する上司になんども助言を求めたものだよ』
『だからこそ、パナソニック設計部門の幹部にまでなれたんだ!!』
まだ言うか。ホンマにそのセリフとその口の動き。
確かに高性能に設計されたブレないパナ砲を打ってくる。
<そして、本当に素晴らしい人物であれば、呼び寄せなくても若者から教えを乞うためにやってくるはず。>
ここの考え方が完全に抜け落ちている。
最後の最後まで、パナおじさんはパナおじさんだった。
僕はもう会わないだろうと思って、瀕死の状態から相打ち覚悟の頭突きをくらわすことにした。
「若者がついてこれないハイレベルなお話なので、なかなか頻繁に通ってこないのでしょうね・・」
『ん??』
「やはりパナソニック設計部門の幹部までされていたパナおじさんなので、若者へのアドバイスの設計が難しすぎたのかもしれないですね」
『んんん??』
パナ婦人の顔が真顔に。
知人の顔がひきつる。
そしてパナおじさんも驚いた顔!
『私のアドバイスがあまり響かなかったのなら残念だよ』
(アドバイスじゃないでしょ)
『他の移住者たちは話を聞きたいと言ってるぐらいなのにね』
(毎回、あなたが呼び寄せてるんでしょ)
『こっこ君も、これからしっかり成長しなきゃもう無理だからね』
(あなたもね)
「パナおじさん、<人生で語れるものがある・なし>とか<実が詰まった人生じゃない>とかって、アドバイスじゃないです、ただの不愉快なお話です、僕は残念な気持ちでした。今日はありがとうございました、美味しいお料理ごちそうさまでした、失礼します」
そう言い切って、お辞儀をして僕と知人は歩いて、友人の別荘地へと戻りました。
知人は「あの人、悪い人じゃないからさー」と言ってましたが、もうどうでもいい人物でした。
最高峰にあるパナおじさんの土地からは下り坂になるので、てくてく歩いていくと、知人のセルフビルド中の家が見えてきた。
小さな家で、あちこちにもらってきた材木が置かれていて、散らかっている。
建物も増設されて、デザインも統一感がまったくない。
でも、あぁ、これでいいんだ。今の僕にはこれが等身大だ!
と思いました。
自分が無職でニートなのは変わりないし、背伸びするつもりもなかったし、しょぼくてもよかった。
それに見合う環境で成長すればいいし、逆にそこからじゃないと何も始まらない。
僕の田舎暮らしはここから始めていけばいい。
人から何を言われても、自分の選んだ人生を設計できるのは自分だけ!
一瞬で幹部に昇進。
僕の田舎暮らしの世界では競争も戦いもない。
無限の可能性とこれから切り開いていく田舎暮らしのワクワクしかなかった。
自分の立ち位置を間違わなければ、誰でもCEOでも社長でも幹部でもなれる。
ありがとうパナおじさん、<何一つ得ることがない>って言ったけど、ちゃんと得るものがありました。
最終章:その後
その後、僕は知人宅を完成させ、セルフビルド塾にも通いスキルを向上させた。
田畑もやり始め、仮住まいの家も2軒ほど住んでみた。
子供が産まれ、アウトドア系の仕事がすっかり定着し、部下も後輩もできた。
低収入だけれど、安定はしていた。
そして理想の家を見つけ、家族でセルフリノベーションを1年かけて夢の家を完成させ、今ではブログで同じ想いの移住者を応援している。
つまり、きちんと設計して進んで来れたことになってます。
たくさんの出会いと、支えがあって今に至るので感謝ですし、毎日幸せな田舎暮らしを楽しんでいます。
実は、あの異種格闘技戦から3日後に電話がありました。
『こっこ君、パナおじさんだよ。知人君から番号を聞いたんだ・・』
『・・、その、先日はすまなかったねぇ、君にうまく伝えられなかったようだよ、なんというか、不快にさせて申し訳なかったよ、すまなかった。よかったら、また遊びにおいでよ』
パナおじさんのまさかの謝罪!
しかし、ぼくはもう関わりたくないと思っていた。
「はい、大丈夫です、はい・・、はい、あぁ、そうですか、わかりました、はい失礼しますぅ」
業務連絡レベルで会話終了。
延長戦も復帰戦も成立させない、スキをみせない会話で完全にシャットダウンしました。
それから月日は経ち、数年後。
田舎地域のイベントには必ず出没して、存在感のあったパナおじさんが、まったく姿をみせなくなった。
知人君も、しばらく見てないそうだ。
しばらくして他の移住者が教えてくれた。
パナおじさんとパナ婦人は別々の人生を歩むことにした。
パナおじさんはあの最高峰の広い豪邸に1人で住んでいる。
人生ってなかなか設計通りにはいかない。
それは僕もそうだし、誰しもがそう。
理想の未来の図面を書き続けることが、田舎暮らしの醍醐味であり、人生の大半の作業なのかもしれない。
いま思うとたくさんの気づきがあった出来事だった。
これから先もがんばろうっと・・。
______________________
長文、お読み頂いてありがとうございました!
いかがでしたか?9年前の話でしたが、とても印象に残る出来事だったので思い出して書いてみました。
僕の移住して唯一のトラブルのお話。
何年たってもハッキリと覚えています。
イヤだった気持ちはもうすっかり忘れて消え去りました。
純粋にエンターテインメントの読み物として楽しんでいただけたら幸いです。
そして、田舎暮らしに憧れている人達の心配事の一つには、必ず「人間関係」がテーマになります。
こういう、先輩移住者もいるという事実を、今回は紹介しました。
(滅多にいないと思うけど)
どうか、参考資料として田舎暮らしの心構えの一つとして、頭にいれておいてもらいたいです。
僕の失敗や経験は誰かの参考書になる
引き続き、読者にどんどん還元できるようにがんばります!応援宜しくお願いします!!
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#田舎暮らし
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