喜多道場(緊縛教室)の受け手になった話
こういうことって、あるとおもう。
もはや、人生をどうふり返ったところでバック・トゥ・ザ・フューチャー的な展開にはならない。どんな手段をもっても過去を変えられないなら、せめて、今まさに「気になる!」対象にアクセスするのが年増女にとっての正解なのではないか、とおもう。
年齢でふるいにかけられず、見た目で判断されもしない(但し緊縛教室の生徒さん向けの受け手だと極端に大きな身体のサイズはNGとされる)。この凄さって、おばさんと呼ばれるトシになって暗黙の足切りを体験するようになるとほんとうにありがたいな……と、実感する。
数値的なもので "" わたし "" が門前払いされることがないのなら、なにもしないまま興味を失うという最悪の手遅れが発生する前に、ぜひとも、その扉をノックしておきたい。
◾️猥談バーで緊縛教室を知る
「緊縛教室って興味あるかも」
そうおもったのは、猥談バーのリアルお店舗に通いはじめた頃だ。もう3〜4年前になる。
オーナーは佐伯ポインティさんだが、店長には腕利きの猥談師が揃っており、うち1名が縄の「縛り手」としてお稽古通いをしていた。しかも女性。当時のわたしの発想では、SMプレイにはムチを持つ女王様と、縄を持つ緊縛師(男性)がいるのがスタンダードなイメージだった。どうしてそう決め付けたのかはわからないが、そういう偏見があったので、女性が縛る側にいることに、すごく驚いてしまった。
縄の「縛り手」がいるということは、それらに身体をゆだねる「受け手」もいるということだ。わたしは、縛るほうも、縛られるほうも気になって、その方がおススメしている「緊縛教室」のWeb検索をした。めちゃくちゃやってみたい……!けれど、その頃はじぶんの自由な活動時間がほとんどとれない時期だったので、そんな世界もあるのだと記憶に留める程度で済ませてしまった。
◾️「緊縛教室」を検索する
制限はあるけれど、じぶんのスキなもの&ことにかける余裕が以前よりずっとできてきた昨今、なんとなく「緊縛教室」のことをおもいだしてTwitter検索をしてみた。
すると、数年前に猥談バーできいたところで「受け手」の募集をしているという。
緊縛のハウツー(縛り)を教えたり、縛られを体験できるところなら東京には他にもいろいろとあるそうなのだが、リアルで会っていて顔のわかるひとが「イイよ!」と勧めていた場所のほうが安心感がある。今ピンときているなら追いかけてみたほうがいいのかも。そんなきもちから、縄の「受け手」の応募概要を確認した。ババッと教室見学の申し込みを済ませるまでに、さほど時間はかからなかった。
こういう性的欲求にまつわるものって、なんの脈絡もなくふと調べるものではなさそうだよね。おもいあたるのは、猥談バーがしばらくお休みをしていたこと。オープンなエロスの供給・発散がうまくできていなかったんだとおもう。
……で、
渾身の応募から数日が経っても音沙汰がなく、あれーっ?と少し残念におもっていた。もう一度条件をチェックしたが、過不足はないはずだ。
もやもやしながら迷惑メールフォルダをのぞいてみたところ、……あった……! しかも、応募の翌日すぐ届いていた。とても丁寧な文章だった。
そして、見学の日がきたのである。
◾️緊縛教室の見学(縛り手・受け手)
「教室」という言葉から想像・想定されることって幾つかあるとおもうのだが、わたしが受け手として通い始めた緊縛教室はまさに "" 習いごと "" や "" 稽古 "" という雰囲気がつよい。
教室において、縛ったり縛られたりするついでにアダルティでいやらしい関係になるようなことは一切ない。本気で技術を身につけるためのところだ。わたしにとってはそこがすごく心地よい。
「どうしてそれをやるのか」「どうやるのか」を、かなり地道かつ丁寧に何度もくり返し教えてくれる。いわば、緊縛の職人技を目の前でじっくり見せてもらえる状況だ。
実は、緊縛教室を見学する当日まで、たとえば大人なら誰でもアクセスできるようなアダルトな媒体でそういった世界を鑑賞したことすらなく、がちんこでずぶずぶの素人だったのだが……、まったく緊張はしなかった。
緊縛師の先生がほどよくわたしを和ませてくださったし、生徒さんがまじめに縄や受け手と向き合う姿に、見惚れてしまったのである。
◾️緊縛教室で「受け手」になる
見学を通して、縄で縛られることで得られる快感が、じぶんの性嗜好に合っているという自覚が持てた。
生徒さんたちがひとつひとつの技を丁寧にコツコツと覚えていくストイックさもすきで、わたしは改めて「受け手」をさせていただくことを伝えた。
ヒトもさまざま、熟練度もさまざま、おもいもさまざま。技術的にOKな位置や締め付け具合など一縄一縄じぶんの体感で味わい、指導の掛け声で知識を得て、いやはや「縛り手」さんってすごいなとおもう。
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