大事な乳首で初心に返る
なにを言うとるんだ、というタイトルだけど本当に乳首の話。
少し前、義肢装具士になるための学校の先生の話を聞ける機会があった。
サンプルの義手はこのひとつだけだったけど、義足はいくつか触らせてもらった。人体のしくみを理解すると、義足の構造にも「なるほど~!」となっておもしろかった。
どうしても必要になる人にとって義肢装具士さんは本当に大切なライフラインになるし、絶対的に必要な職種だ。
似て異なるけども、私も10年以上前にエピテーゼの体験講座を受けたことがあった。
エピテーゼ。人体の一部を本物さながらに再現した人工ボディパーツ。
事故や病気、先天的な欠損などで必要とする人がいる。
義手や義足とは違って、とにかく自然な見た目を追求したものだ。
私は人工乳房をつくったのだけど、サンプル乳頭型にシリコンを流し入れて型取りした乳頭に色をつけ、毛細血管まで細かに描く作業がものすごく楽しかったのを覚えている。
いかにリアルに近づけるか、というところにこだわりを持てるのがたぶん向いている作業だった。
写真を載せようと思ったのに、我が家にあるはずの乳首が行方不明である。
この家のどこかに乳首が眠っている。字面がおかしい。
乳首はどこだ、乱雑には扱っていない。と捜索した結果。
私にとってこの世で一番愛着のある乳頭がこちらだ。
体験で表面加工を施したわけではなかったから、10年も経つと毛細血管や色味は消えて、ただのシリコン乳頭になっていた。
乳房は粘土で作ったのだけどそれは持ち帰れなかったから、どこかに写真データとして残っている。はず。でも発掘できなかった。
今は3Dプリンターもほかの技術ももっと進歩しているし、エピテーゼの世界もいろいろ変わっているのだろうと思う。
義足もカッコよかったりオシャレだったり、センスあふれる義足師さんがいたりする世界が見えてうれしい。
なぜ今この話題なのか。
今月はちょうど、シナリオを担当している医療×恋愛のタイトルが配信6周年を迎えた。ドキドキしながら乳首をつくったのはライターになる前だったけど、ちゃんと地続きだなーと思ったりした。
紆余曲折ありながら、ちゃんと橋を渡っていきたいところに続いている感。
ここからどこに繋がっていくのかも楽しみだし、地味でも毎日ちゃんと積み重ねていきたいな。