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欲を捨てきれない者は、一生貧乏。

 今回の諺、「足るを知る者は富む」。これは言葉のままの意味として捉えると、満たされるということを知っている者は富むということになる。

 しかしこれは、「富んでいる者は満たされている」という意味ではない。また、経済的な意味の富むということだけではなく、「心が富む」についても触れている。

 つまり、自身の欲望が満たされることが自分にとっての幸福であると思い込んでいるうちは、ずっと心が満たされることはなく、自分は不幸だと思い込んでしまうということ。

 例えば、2ℓのペットボトルと500㎖のペットボトルがあり、水道の蛇口から水が流れるスピードを毎分10㎖注ぐように設定すると、当然ながら50分が経過する頃には500㎖のペットボトルからは水が溢れる計算になる。

 一方の2ℓのペットボトルは、まだ4分の1しか水が溜まっていない状態。自分の欲求が満たされるまで、500㎖のペットボトルの4倍の時間がかかる計算。どこまでいけば満足するのか、そのボーダーが高ければ高いほど、満たされるまでの間は「不満状態」が続く。

 「水を注ぐ」という【同じこと】をするでも、「欲求」という【ペットボトル】の容量が大きければ大きいほど、満たされるまでには時間がかかるようになり、欲求の「数」が多ければ多いほど、より(水を注ぐ)時間も(注ぐ水の質に)お金もかかる。

 「金が全てではない」という言葉の本質的な意味を考えると、生きていくためにはお金は必要だが、お金さえあれば幸せに生きていけるとも限らないことを指す。

 人生100年時代と言われる今、なおかつコロナ禍で世界経済の情勢は悪化の一途を辿っているものの、株式市場は戦後稀に見る暴騰。日経平均株価は1月8日時点で28,139円。金の行き場を失った今、消費活動は萎み、株式市場に流れ込んでいる。

 しかしこの流れもいつまでも続かない。株価は異常な暴騰を見せると、のちに必ず実体経済と同等の位置まで近づいて行くため、今年の夏頃には、連日暴落をすることも懸念される。例年通りであれば夏枯れ相場とは言うけれども、今年はそんなレベルでは済まないかもしれない。

 そしていよいよ、世界経済は空前絶後の大恐慌を迎えることになると言われている。

 こうなるとこれに引きずられるように治安は悪化し、世界各地で暴動が起こり、人々の生活は荒れに荒れることになる。

 それでも、ペットボトルに置き換えた欲求の容量が小さい人は、心を満たしやすいため、ちょっとやそっとのガマンなら耐えられる。反対に、今まで、当たり前のように食べたいものを食べ、飲みたいものを飲み、買いたいものを買い、やりたいことをやってきた人は、例えどんなに多額の貯金があったとしても制限せざるを得なくなり、心は一層満たされなくなっていく。

 経済的な貧乏、心の貧乏、本来恐れるべきは後者。心があさましく、卑しく、乏しい人間は、他人を踏みつけ、他人から奪ってでも生に縋ろうとする。中には警察に逮捕されても構わないと開き直る人間もいる。

 その時だけでも満たされればいい、と。人間ここまで腐ると救いようがない。

 ストレス耐性も大きく関係してくる。耐性が弱ければ、自身の欲求が満たされない日々が続けば続くほどストレスが増幅し、無理やりにでもこれを解消しようとする。しかしその結果、いつまでも満たされることはなく、欲求の容量だけが膨張していく。

 金のかからない過ごし方は、早いところ見付けておいたほうがいい。金を稼ぐ手段もいくつか持っておくに超したことはないけれども、過剰に金に固執することが果たして幸福に繋がるとも言い難い。

 金欲しさに人間がやることと言えば、ギャンブル。景気が悪化するとパチンコ屋は儲かるという。どんなにボロく古いパチンコ店でもなぜか潰れないのは、ギャンブル好きな人間の心理に起因する。

 競馬・競輪・宝くじ。仮に億単位の金を手にしても、一般人は金の扱い方を知らないばかりか、さらに強欲になる分、狙われやすくもなる。

 欲を捨てることさえできれば、心は富む。得てしてそういう生き方をする人間をつまらないやつと嫌う者もいるけれども、他人から嫌われる分には何ら問題はない。

 時が来るまで待てる人は、少々のことくらいでは揺るがないし、余計に期待もしないし求めることもしない。たぶん、今は下手に動くよりも、冷静さを保つほうを優先にしたほうがいい。

 進撃の巨人、リヴァイ兵長のセリフ。「作戦の本質を見失うな。自分の欲求を満たすことの方が大事なのか! お前の大切な友人だろ!」

 肝心なところで自分の欲求を満たすことに走り、今取るべき行動の本質を忘れれば、本当は望んでいない結果に至り、後悔する。欲求は満たして気持ちいいのは自分だけで、その時だけ。一過性のものでしかない。

 幸福も不幸も、それぞれ一過性でランダムに訪れる。欲求を満たすことが幸福であり、満たし続ければずっと幸福を感じられると思い込むのは、人間であるが故の愚の骨頂。大切な人を守りたいのであれば捨てられる欲求は真っ先に捨てるというのが一番の選択肢。

 足るを知る者は、欲を捨てて心を富みやすくして生きる。実に賢い生き方ではないかな。

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