言語と通貨

言うまでもなく、現在のところグローバルな活動で主に用いられている言語と通貨はそれぞれ英語とドルである。
これは現代の、しかも西側勢力に偏った見方ではあるものの、現実に機能しているものである。これから直ちに導かれる帰結がある。
それはITや金融においては欧米にはどんなに頑張っても勝てないということだ。

前者においてはコンピューターの原理に由来していると考える。
確かにハードウェアのレイヤーでは普遍的な物理法則が支配しているが、ソフトウェアのレイヤーでは人間の実現したい処理プロセスが大きな地位を占めており、それのための思考をするための言語が英語なのである。
もちろん日本語でもそれは可能だが、歴史的にもそれが大きな規模に行われてきたのは英語であるというのは紛れもない事実である。
つまり、ソフトウェアと英語は表裏一体なのであり、言語に依存する思考様式が異なる日本人が参入するのはなかなかのハードルがあると感ずる。

後者においてはより明らかで、主要な国際決済通貨がドル(やユーロ)であるためにそれらを媒介する欧米の金融機関が発達したためである。
金が集まるということは手数料による大規模な収入が発生するのだ。
これらをもとにグローバルにネットワークを張り巡らせてきたという歴史的経緯があるため、需要が並程度の通貨である円を扱う日本の金融機関はグローバルには進出することが構造的に難しい。

こういったある意味独占的な構造に反発する形で、中国やロシアが反西側勢力の構えをとるのも致し方ない気もする。
日本は歴史的には中国の文化圏に組み込まれてきたが、現在は西側勢力の一員である。
この非常に特異的な状況の中で、どのように歴史が展開していくのかは非常に興味深い。

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