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ChatGPTのマーケティング活用:ユーザーインタビュー

OpenAIが高性能なAIチャットである「ChatGPT」を公開したのが11月30日なので、ちょうど1か月くらい経ちました。公開当初からその性能の高さから注目を浴び、様々な活用事例が公開されています。

マーケティング活用のアイデアとして、あれこれ試してみました。

前回記事「問い合わせ対応」はこちらです。


今回は、「ユーザーインタビュー」に挑戦します。

類似サービスについて

実は電通が類似サービスを展開しています。

こちらのサービスは、電通が独自開発したチャットボットエンジン「Kiku-Hana」を使用しています。ビジネス用途に特化しており、嘘をついたりすることのないよう、ルールベースを軸にアルゴリズムが組まれています。

ですが、今回はこれをChatGPTで代替してやります。


①購買動機の掘り下げ

既存商品のマーケティングを考える際、現行ユーザーの購買動機に目を向けることが多いです。提供側が想定した強みと別のところが刺さっていたり、想定しない使われ方をしていたりするためです。

調査手法として、SNSやレビューの分析もありますが、より深く知るためにしばしば特化したユーザー調査を行います。

従来手法であれば、調査設計費用、モデレーター費用、分析費用など数十万円ほどかかってくる(それで数人しか調査できない)ものですが、今回はインタビュアーとレポートを作るところまで、ChatGPTで代用していきます。

題材ですが、昨年年、私はPixel7というスマホを購入しました。今回はそのPixel7の購買動機を掘り下げてもらいます。スマートフォンは比較検討商材のため、かなりインタビューをしやすい部類に入ると思います。


指示する

このように指示をしました。

今回もロールプレイ形式でやります。

これだけで大丈夫です。

「質問は簡潔に、一度にひとつだけの質問をしてください。」というプロンプトがないと、一度に10個くらい質問を浴びせてくるめちゃくちゃなインタビュアーになってしまうので、重要です。

さっそくはじまりました。

オウフ! いわゆるストレートな質問キタコレです。

めちゃくちゃわくわくします。


回答する

ここからはどんどん回答していきます。自分ごとなので答えやすいです。

普通にインタビューが進んでいきます。なぜか一度に2個ずつ質問をしてきますが気にせず進めていきます。


めちゃくちゃスムーズ…!

通常のインタビュー調査に入ってきがちな、「他の商品との比較」とか「評価点と不満点」など、一通りの質問をされていきます。手慣れを感じます。

こいつ、やるな……


情報ソースや検討ルートなど、通常のマーケティング調査で聞かれがちな項目がどんどん聞き出されていきます。


サクサクと質問に答えていきましたが、意外な展開が。

「最後に」?

最後の質問は以前の質問と重複してしまうなど茶目っ気がありますが、それよりも。この子、ロールプレイであることを覚えていて、適当なタイミングでインタビューを終了してくれました。なんということ!

最後にこんなお願いをしてみました。

すると、


満点です。

想像以上にちゃんとしたインタビューになっていて、思わず「すげぇ~!」と声が出てしまいました。


さらに検証する

多数のユーザーに同じように質問することを想定して、全く同じプロンプトで、冒頭からもう1回やってみました。

サクサクと進みます。

今回のインタビュアーは相槌が上手です。毎回インタビュアーの特徴が異なるのが人間っぽくて良いです。


NPS(推薦意向:よく製品やサービスのKPIとなる)ぽいのを聞いてくれました。
こいつわかってんな。


途中でアドバイスになっちゃったので、インタビューを続けてもらいました。


再購入意向もNPS同様重要な項目ですが、スマホの場合はあんまり使いませんよね。
そしてやっぱり途中で終わらせてくれる。


そして箇条書きでまとめてくれる。

すげえ……

②インサイトの掘り下げ

具体的な商品については比較的聞きやすいのですが、今度は少し抽象的な、「あるテーマについてユーザーがどう思っているか(インサイト)の掘り下げ」をやってみます。

今回は、私は車を持っていないのですが、車をもっていない理由を掘り下げてもらいます。

指示する

こんな感じで始めていきます。


回答する

今度のインタビュアーさんは相槌に少し癖があります。ではどんどん見ていきましょう。

う、うーん?

ちょっと答えにくい質問が増えてきました。最初のプロンプトで「意識」のような抽象的な言葉を使ったのが悪かったかもしれません。あと全体的にちょっと喋りすぎのような気もします。

知識や自信のなさを多弁で補おうとするのも人間っぽいですが、インタビューとしてイマイチです。


勝手に納得してインタビューがとまりがちだったり、


同じ質問が出てきたり、

やはり抽象的なインサイトの掘り下げはあまり得意ではないようです。

ずっとこんな調子だったのでインタビューは途中でストップしました。


工夫する

しかし私はどうしてもちゃんとしたインタビューをしてほしいので、別のテクニックを使ってみます。

英語でやってみます。

以前のエントリでも書きましたが、ChatGPTは基本的には英語ベースで設計されており、日本語は「ついでに入ってきた教師データ」で覚えただけです。したがって英語のほうが全体的に精度が高いです。


ちょっとした行き違いはあったものの、順調にスタート。


なんかインタビューうまくない?

日本語でやっている時よりもかなりスムーズにインタビューで来ているように感じます。過去の経緯や今の移動手段など、周辺情報をしっかり埋めていく印象があります。

ついでにですが、英語のほうがレスポンスもかなり速いです。ChatGPTの裏技に、「いったん英語に訳させ、回答させ、日本語に訳させる」というテクニックがあるのも頷けます。

どんどん回答をすすめていきましょう。


「final question」も出てきて、無事にインタビューも終了。

かなりスムーズに、幅広くいろいろ聞いてもらいました。しかも質問がごくシンプルで、答えやすいです。日本語のときとはだいぶ違うぞ……!

そしてまとめは日本語で出力してもらいました。

私の最後の発言、summeryは動詞じゃないので文法間違いですが、そのくらい余裕で受け止めてきます。

最後の和訳に難があるように感じますが、概ねよくできています。

というわけで、よく言われるように、英語のほうが精度が高いことがわかりました。

まとめ

ChatGPTにインタビュー調査をしてもらうことはできました。正直、思ったよりはるかにインタビューが上手で驚きました。結果をパラパラと眺めて定性的に分析をするだけであれば、もう現時点で十分使い物になるのではという感触です。

おそらく調査対象者によって、最後のサマリーの項目が異なってくるのですが、それをうまく名寄せして整理する方法があれば、定量的な分析を行うことも可能でしょう。あるいは冒頭のプロンプトをもっとうまくやれば、同じ項目を抽出してくることが可能かもしれません。

今日はここまでです。


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