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デジタルプロダクション界隈CEO4名がクロストーク!「あのころ」をふり返り、「これから」を語る

FOURDIGITと長年お付き合いのある、デジタルプロジェクトに関わる3社の代表をゲストにお迎えし、FOURDIGIT代表の田口と座談会を実施。普段はお酒を片手に語り合う間柄とあって、改まった収録に互いに照れながらも、Webデザイン業界の「あのころ」や、3名の目から見たFOURDIGIT像をたっぷりと語っていただきました。

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SHIFTBRAIN Inc. 代表取締役 加藤 琢磨
2003年11月設立。“WORKS GOOD”なクリエイティブと組織を目標に掲げ、これまで制作したWebサイトは300件超。感情に訴えかける表現から、緻密な情報設計が求められるサイトまで幅広く対応。多言語対応の実績も豊富でアムステルダムに支社を持つ。

SONICJAM Inc. 代表取締役 村田 健
2001年9月設立。Webデザイン業界の草創期から第一線を行き、現在は「新たな体験」につながるデザインやプロダクト、サービスを幅広く提供。2019年にはガチャガチャメーカーと共同で「Techガチャ研究所」を、2020年マーケティング専門チーム「Marketing lab」を立ち上げ。Google Assistant公式認定パートナー。

COPILOT Inc. 共同創業者 定金 基
2005年9月設立。プロジェクトリーダーのプロジェクト推進のサポートを行う。プロジェクトをみんなで推進する独自メソッド「Project Sprint」と自社サービス「SuperGoodMeetings」を展開中。2015年より『MIT Technology Review』日本版のエグゼクティブプロデューサーを担当。

記憶を手繰りよせて…それぞれの出会い

田口
今日は、皆さんとFOURDIGITの出会いからふり返ってみたいと思っています。SONICJAMさんとは、2010年に通信キャリアの広告キャンペーンの一環でWebサイトの制作をお手伝いさせていただいたのが最初でしたよね。

村田
そうですね。「きっちりやってくれるチーム」という印象があってお願いしました。背景素材を撮影しに、二人で深夜の駅に行ったり、レンタルビデオ屋に行ったりしたよね。

田口
行きましたね(笑)。

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村田
かなり大規模な案件で、ゴールデンウィーク明けの公開に間に合わせるために、連休中5連勤3徹夜したのは鮮明に覚えてるなぁ…。今なら完全にNGだけど。打ち上げも、当時のWebクリエイティブ界隈を象徴するようなプロダクションが結集して、相当な規模で。色々な面で忘れがたい案件だよね。

田口
そうですね、当社の中でも伝説と化しています(笑)。そして定金さんとは、恐らくこれと同時期に、村田さんを介して出会ったと記憶しているのですが…。

定金
正確な出会いが思い出せないんですよね…。ただ、一緒に仕事をする以前から、FOURDIGITさんのことは知っていました。街並みを撮った写真をレタッチして芝生を生やすプロジェクトをやってる方いませんでした? 面白いことするなー、と。

田口
それ、僕です(笑)。

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定金
えっ…!? そうなんですか?

加藤
「Green Island」ですよね。僕も、FOURDIGITさんを初めて認識したのは、あの作品が最初だった気がします。仕事で関わるようになったのは数年経ってからですね。

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しのぎの削り合い!? 「あのころ」のWebデザイン業界

田口
2010年以降は、Flashの案件がだんだん下火になっていく過渡期みたいな感じでしたよね。

村田
ですね。iPhoneの登場が2008年で、そこがFlashコンテンツのピークだったんじゃないかなという気はします。2010年代前半は、その最後の一花みたいな。

田口
Flashコンテンツの最盛期って、実際どんな感じだったんですか? 2008年に、SONICJAMさんも参加されたUNIQLOCK(ユニクロによるポロシャツのグローバルプロモーション施策)がカンヌ国際広告祭のグランプリを獲りましたよね。あのあたりのお話もぜひお聞きしたいです。

村田
クライアントが、2006年頃からWebを使ったグローバルプロモーションに注力し始めたのがスタートで、そこから全体の絵を描きつつ複数のコンテンツを試みていって、その数年分の取り組みの集大成がUNIQLOCKだったんだよね。スクリーンセーバーが、オフィスの昼休みにメディアの機能を果たす。その考え方が斬新だったなと思いますね。

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田口
当時のWebクリエイティブ業界は、すごく華やかなイメージで彩られていた印象があります。実際はどんな雰囲気だったんですか?

村田
中村勇吾さんのecotonoha(NECによる環境活動連動型企業広告。2004年のカンヌ国際広告祭で日本企業では初めてインターネット部門のグランプリ受賞)が出て、その後がUNIQLOCKで。たしかに2000年代は「Webクリエイティブってすげーな」「日本のクリエイティブすげーな」みたいな勢いがすごくあった。国内にも、TIAAみたいにインターネット広告に特化したアワードがあったりして、「賞獲ってやるぞー!」というノリも今より強かった気がする。

加藤
TIAA(東京インタラクティブ・アド・アワード)! 懐かしいなぁ。

田口
アワードと言えば、加藤さんはその昔、各社のランキングを作ってたんですよね?

村田・定金
どういうこと?

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加藤
アワードの実績を加味しつつ独自の評価ポイントをつけて、「Web制作会社トップ100」みたいなのを作ってたんです(笑)。それを実績の公開の度にアップデートして、どうすればトップの人たちに近づけるかを考えるという。華やかな実績のある人たちにも負けない、かっこいいものをつくるぞ! という反骨精神みたいなのはすごくありました。

村田
当時はプロダクション同士でも、「あそこには負けねえぞ!」みたいに互いを意識しながら張り合う空気があって、それはそれで楽しかったような気がする。

田口
必殺技を繰り出しあう(笑)。

加藤
「この実績でどうだーーー!」(加藤さんここで「かめはめ波」の構え)みたいな。ライバルとして切磋琢磨しながら、ときに案件を振り合う。この業界の面白いカルチャーですよね。

田口
2010年頃のCOPILOTさんはどんな感じだったんですか?

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定金
広告の大きな案件に携わって、一時燃え尽きてた頃ですね。かなりの数の会社さんが関わっていて、僕はプロデューサー的な立ち位置だったんですけど、あまり向いてないなと。実はその仕事でADFESTのベストも獲ってるんですけどね。そこから、プロデューサーではなくプロジェクト推進を志向するようになって今の姿に一歩近づきました。

一同
へえ~!

忘れがたいクリエイティブと、FOURDIGITの印象をずばり

田口
ちょっと照れますが、知り合った当時から今日まで、皆さんから見たFOURDIGITの印象もお聞きできれば嬉しいです。

村田
僕は、CREATIVE SURVEYのリリースがすごく印象に残ってる。リサーチをしっかりやって、しかもそれをビジネスにつなげていく考え方がいいなって。あれは何年でした?

田口
2012年頃ですね。

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定金
自分たちがクリエイティブで使うものをサービス化していくって、いいですよね。

加藤
僕は少し経ってバージョンアップされた時だと思いますけど、こんなに自然にアンケートがとれるとは! と驚愕して、すぐに問い合わせました(笑)。それから、FOURDIGIT DESIGNのサイトもすごくインパクトがありました。とにかくクオリティが高くて。

田口
ちょうど分社化したタイミングというのもあって、頑張って作りましたね。

村田
その後かな、JALのサイトはコーポレートサイトの一つの到達点という感じだったよね。あまりに素晴らしいから、あの当時、自社で作ったわけでもないのにクライアントとの打ち合わせでしょっちゅう紹介してましたよ。

田口
ありがとうございます(笑)。

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定金
FOURDIGITは、ビジネスを俯瞰しながら高い視点で捉えている感じがします。クリエイティブだけじゃなくて、運用までちゃんとやるじゃないですか。全体観を持って、社会にインパクトを出すデザインを体現しようとしているのが、すごく伝わってくる。クリエイティブなものを作っている会社が運用業務にまで幅を広げるのはすごく大変だと思うんですけど、なぜその大変なことも含めて追求しているのかっていうのは一度お聞きしてみたかったです。

村田
たしかに。真面目なんだと思う。クリエイティブとサービスをつなぐ話にしてもそうだけど、必然的についてまわる地道な部分も含めて、しっかりやるという真面目さ。

加藤
真面目な感じはすごくしますね。

田口
ある一点を尖らせていくというよりは、もう少し広く捉えながら考えているところはありますね。

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加藤
今の話にも通ずるところがあると思うんですけど、僕は一貫して、「全てを諦めずにデザインに向き合っている会社」という印象を持ってます。デザインの定義ってものすごく広いし、大規模なものになるとビジネスに寄りすぎるあまりクリエイティブをどこかで諦めちゃう会社もいれば、僕らみたいにとにかくすごいものを作るぞ! っていうところを目指してきた会社もいる。FOURDIGITは、その両方を網羅して向き合っている印象があって、それは知り合ってから今日までずっと変わらないですね。

「これからのFOURDIGIT」への期待・激励!

田口
最後に、20年の節目ということで、これからのFOURDIGIT「こんな風になればいいんじゃない?」みたいなことがあればぜひ聞かせていただきたいです。

村田
これからさらに成長していく過程で、これまでのプロダクションにはなかったような形を示してもらえたらすごくいいなと。われわれの業界で、組織として一定以上の規模にまで成長すること自体が簡単じゃないけど、FOURDIGITならこの先何らかの形を示してくれそうだなと、ひそかに期待しています。

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定金
僕は、「これからの仕事の仕方」とか「これからの働き方」という面でも、FOURDIGITにはデジタルプロダクションの象徴であってほしいと思っています。田口さんと会話をしてると、どんな水の向け方をしても、絶対に「組織は必要」って言うんですけど、それがなぜなのかという言語化の部分はまだキャッチできていなくて。これからのFOURDIGITを通じて「あ~そういうことか!」というのを見てみたいなと強く思っています。

田口
たしかに、組織が必要っていうのはずっと言ってますね。

加藤
規模感から言っても、FOURDIGITがWebクリエイターやデザイナーに与えるインパクトって大きいですよね。若い人たちに、この業界の面白さを伝えたり、成長を後押ししたりするような取り組みなんかも、FOURDIGITならできそうだなと。
それから、個人的には、どんな業界でも市場で多くのシェアをとることが重要だと思っていて。そのためには、色んなところとコラボしながら現状リーチできていない層を常にとりにいくようなスタンスが求められるはず。多方面へのつながりを持ちながら、新しいものを作っていってくれると面白いんじゃないかなと思います。

田口
ありがとうございます。そうですね、業界っていう切り口はありますね。昔よりも人が集まりづらかったりするなかで、Webデザインという文脈に限らず、業界に貢献できるようなこともしていけたらいいなと思います。
さて、そろそろお時間です。今日は皆さまありがとうございました。SONICJAMさんも同じ20周年ということで、次回はまた普段通り飲みながら、一緒にお祝いしましょう。

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編集・執筆 glassy&co.
撮影 吉田周平