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セルフサービス化する管理部門

柴田(@4bata)です。ずっと気になっていたことがあり、ちょっとだけ整理できたので書いてみます。

きっかけ:管理部門の仕事がまわってなくて、事業部に巻き取ってもらった経験

わかりやすいので採用の話にする。事業部としては人がほしいが、人事部に任せていても採用できない。だから事業部の社員が採用を手伝ってくれた。その人は今の仕事が減るわけではないから、完全に+αで仕事が増えてしまっている。具体的には、求人サイトでスカウトメールを送り、一次面接も自分でやってくれた。そしてたくさん採用できた。

事業部の社員は自分たちが必要な人材を人事部よりわかっている場合もある。自分で興味をもった人にスカウトメールで連絡して、一次面接もして、入社後も一緒に働くのはスムーズだ。その人のコメントを覚えている。「自分で働きたいと思った人に自分で声をかけて、実際に入社して一緒に働けるのは本当に自分で採用活動をしてみて良かったところだ」

一方で問題点もある。人事部が期待される成果を出せてないということだ。「自社の管理部門が頼りないから、事業部側で業務を巻き取っている」という状態は、社内外のどちらでも聞いたことがある。申し訳ないなと思う一方で「管理部門でやらないほうが上手くいくなら、それでいいのでは?」とも考えていた。

社員に知り合いの紹介をお願いするのではなく、求人サイトでスカウトメールを送ってもらうのは、よい落とし所

リファラル採用とは、社員に人材を紹介してもらう採用手法のこと。これを継続的に実行できるひとはごく一部だろう。ただ、求人サイトでスカウトメールを送る行為は、リファラル採用に比べると「型」が決まっていてやりやすい。社員に採用活動の協力をしてもらうとき、知り合いを紹介してもらうのではなく、スカウトメール送信をやってもらうのは、なかなか良いアイデアだなという感想をもっていた。

よい分業、わるい分業がありそうだ

イメージはこれ。

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現状普通に役割分担が行われているとする。管理部門が頼りないから、事業部側が巻き取ってしまうのは、悪い方向だ。一方で、事業部側が管理部門に求める機能をセルフサービスで使えるようになることは、柔軟性やスピードを増すこともより、進化とも言える。

最初の採用活動を巻き取ってもらったエピソードは、「管理部門で成果を出せてないから自分たちでやることにした」というきっかけはいまいちだが、結果として事業部側にとって自ら必要な人材を探す「セルフサービス採用」という視点もあったということになる。

セルフサービス化する管理部門

私は旅行先で車を借りるとき、人を介さないカーシェアを使うようになった。ガソリンスタンドもセルフがよい。人と話さずに自分のやりたいときに機能だけ提供してくれる「セルフサービス」は、管理部門でも求められているはずだ。そういえば管理部門のセルフサービス化については、前にも書いていた

エンジニアの川添さんに「なんとか as a Service」って結局なんなんですか?というような質問をした。そこで出てきた話のうち、ここにメモしておきたいのは、「セルフサービス」という話だ。(管理部門のあるべき姿をCorporate as a serviceというキーワードから考える

セルフサービスは、人間の対応とは違った形できめ細やかに対応できる場合もある、というエピソードがある。

給食制度がある。昔は栄養をとれればよかったから、一律で給食を配っていた。そこから、個別のアレルギーの話とかが出てきて、だんだんと給食にもきめ細やかさと、それに伴う煩雑さ(コスト増大)が出てくる。それに対しての答えとして、食材は用意するけど、学校で調理は自分でする形にして任せる、というような案が書いてあった。自分たちで料理をするから、アレルギーの人は、自分たちでその食材は使わずに料理してね、という「セルフサービス」だ。管理部門のあるべき姿をCorporate as a serviceというキーワードから考える

このトレードオフの解消は面白い。図にするとこうだ。

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管理部門に投資してもらうためにも「セルフサービス化」を目指すとよさそう

図を書いた。管理部門の仕事は「最高品質」を目指せばいくらでも目指せる。ただ、「専門家として納得できるレベル」まで体制や予算を確保できる会社は少数だろう。売上や利益ほど成果の定量化がむずかしいので、費用は一定以下に抑えて欲しいという経営からのオーダーが多いはずだ。

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セルフサービス化によって、「質」と「コスト」のトレードオフを脱却するところまで見越した提案であれば、反応も変わってくるかもしれない。移行するためには一時的にコストがあがる。それは許容してもらう必要があるだろう。

オリジナルのセルフサービスが必要かどうか

いま私の働いている会社は、評価報酬制度のシステムは内製化している。評価報酬制度機能は優位性の源泉だと考えているためだ。誰に評価してもらうかを社員が選択できたり、事業部ごとに設問設定ができたり「セルフサービス化」もすすんでいる。また、SmartHRもつかっている。社員から見ると、労務機能の一部をセルフサービス化していると言えるだろう。ここは外部サービスでよいと判断している。優位性に関係あるかどうかで、セルフサービス化にも2種類ありそうだ。

頑張っても評価されない、という状態からの脱却を目指そう

かなり昔、管理部門のKPIについての勉強会をしたときのことだ。懇親会で印象に残っていたことがある。「管理部門の自分たちも頑張っているのに、事業部や経営陣からきちんと評価されず、食わせてやっている」的な扱いをされている、という人が多かったことだ。最初のエピソードのように期待に応えられていない場合もあれば、成果がわかりにくいことも原因の一つだろう。

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ここでいう「最高の業務」をイメージするのではなく、セルフサービス化の部分を目指すことで、もしかしたら何か変わるかもしれない。この考えをベースに自社の管理部門の目指す姿を描き直してみたいと思う。

Twitterの反応を見ての学び

セルフサービスは使う側のリテラシーとセットらしいので、確かにいまでも社員が自分で入力した情報を信頼するしない、は企業ごとにわかれそう。なるほど・・・。


誰かが書いてたけど、サポートしてもらったらそのお金をだれか別の人のサポートに回すと書いていて、それいいなとおもったのでやります!