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専門家へ質問するとき忘れがちな観点

柴田(@4bata)です。専門家から何かを学ぶときに抜けがちな観点の話です。

前提知識:技術的課題と適応課題

知識や技術など、既存の方法で解決できる問題を「技術的問題」と呼ぶ。一方、そのような既存の知識では解決できないのは、人と人、組織と組織の関係性の中で生じる「やっかいな問題」だ。これを「適応課題」と呼ぶ。引用元

上では技術的問題と書いてますが、技術的課題としておきます。

その専門家個人にとって変容が必要だった「適応課題」を聞くのを忘れがち

専門家に「知識」は当然聞きますね。これが「技術的課題」に関するヒアリングです。もう一つ参考になるのは、その専門家が何年も乗り越えられなかったり、最近やっと気がついたような「発見」に関する質問です。その専門家が「この人は人格的にもすごいなー」と思える場合は、特に有効です。そのまま自分たちに適用できる知識や方法論ではないですが、シンプルに学びがあります。適応課題を聞いたときの回答は、その専門家の「感情」とセットで回答があります。自分自身の変容とセットで見つけ出したことなので、個人的な体験というか、エピソードの要素が入ってきますね。

専門家が「技術的課題」について回答してくれたとき「その方法論はすぐに発見したり、身につけられたのか?それとも習得が大変だったのか?」を聞けば、適応課題として答えてくれる

例をあげます。私は人事を10年ほどやっていたので、人事の専門家という体にしておきます。以下は働いている会社のブログで書いた記事です。

未経験者を戦力化するための方法論ではなく、「未経験者の戦力化」に関して、どのように自分が学んでいったかを書いています。引用しましょう。

上司が「わからなかったら何でも聞いてね」と伝える。でも聞いてこない。しかし、実際にはその人は前の会社で「わからなかったら何でも聞いてね」と言われて本当に上司に聞いたら「それは自分で調べるもので、私の時間をとるな」的な反応を上司から受けていたのだ。つまり本音ベースだと上司の時間は貴重で、できるだけ自分だけで解決すべきという会社で働いていた場合、カヤックのような「ほんとにわからないことは上司的な人にすぐに聞いて軌道修正した方が良い」という文化であっても、そう振る舞って良いのか、わからないのだ。「なんですぐに聞かないの?」と聞かれても「だって、聞いたら自分で考えろって言うんでしょう」とは答えない。これはなるほど感がある。で、それは日々のコミュニケーションの中で、暗黙の前提が異なっていた、みたいなことをさぐりあてるということを、佐藤さんはやっていたのだった。

ただ、この説明すらも、その場で私は理解していなかった。あとで私が直接「未経験者の人事部所属の人と1on1頻度」を高く話していった結果、わかるようになった。ぶっちゃけそれまでは「そんなこともわからないのか?」で一刀両断だった気がする。

例えばこの回答を引き出すために

「未経験者を戦力化する方法として、御社は何をしてますか?」

と聞くのは、ちょっと違う。

「未経験者を戦力化する方法を試行錯誤していたときに、いやーこれは気づかなかった、盲点だったというような発見があれば教えて欲しいです。」

だと、もう少し近づいてくる。

一番使いやすいのは、何かしら専門家が「技術的課題」について回答してくれたとき「その方法論をあなたはすぐに発見したり、身につけられたのか?それとも習得が大変だったのか?」を聞けば、適応課題として答えてくれるだろう。もしかしたら、この方法論の発見まで3年かかっているかもしれないのだ。すると、単に知識を自分が身につけたところで、それだけでは意味がない可能性もわかる。


今回は以上です。


おまけ:昨日からscrapboxに、noteに書くまでもないネタをストックして公開してます。自分用なので意味不明かもですが、シェアしておきます。こういうのやりたかったので。

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誰かが書いてたけど、サポートしてもらったらそのお金をだれか別の人のサポートに回すと書いていて、それいいなとおもったのでやります!