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永遠に到達できない企業理念をロードマップ化することで、いい感じにみんながまとまる

前回ロードマップについて調べました。その後いくつか仕事でも個人でも書いてみました。現時点でのロードマップの良さをまとめてみます。その前に前提となる考え方を2つ。

前提1:「多義性のある言葉でいい感じにみんながまとまる」という考え方

企業理念や経営理念は、それぞれに解釈の余地があります。多義性のある特定のフレーズをみんなが認識することで「それぞれが自分なりの解釈を交えつつも、多義性のある言葉をベースに、あーだこーだ議論して、実行していく」ことを「良い感じにみんながまとまる」と表現してます。何を残して、何を変えるか、みたいなよくある議論もこれです。

ちょうど昨日読み直していた、任天堂の話から。

けっきょく、自分たちのミッションは、「いい意味で人を驚かすことだ」ということが、すごくはっきりしたんです。(ほぼ日ブックス「岩田さん」

「いい意味で」「人を驚かす」どっちも多義性があります。かつ、「それは任天堂っぽくない驚かせ方だ」とか議論できそうです。任天堂は経営理念がない、と聞いたことはあります。「みんなをまとめるための多義性のある言葉」はたくさんありそうだけど、どうなんだろう。

前提2:理念は永遠に到達できない目標である

「理念は永遠に到達できない」は説明不要でしょう。ひとつ印象に残っているエピソードを出します。クックパッドさんは「世界中のすべての家庭で毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する」と定款に追加してます。

 料理は健康なからだをつくることであり、豊かな社会をつくることであり、また地球のこれからをつくることだと当社は考えています。毎日の料理が楽しみになったときには、上記の課題が解決できていると考えます。世界中の人々が「毎日の料理を楽しみにする」を達成するのは非常に高い目標ですが、それが達成できたとき、「クックパッド」の存在意義がなくなると思っています。
一方で、会社法上の解散事由は、客観的・具体的に判定できない条件については効力を有しないとされており、その意味で、今回の定款変更案に基づいて当社が解散することは法的にはありません。
すなわち、同条項は、ミッションの実現に対する当社の想いをわかりやすい形で表現したものであり、特定の場合に解散することを意図するものではありませんので、ご理解いただけますようお願いいたします。
(上の記事より引用)

永遠に到達できない目標を解散理由にして定款に表現することで、逆に「これを永遠に目指すんだ」と明確にした感じでしょうか。

本題:ロードマップは、永遠に到達できなくて、ゴールも、到達までのプロセスにも不確実性や多義性が含まれているものこそ、真価を発揮する→理念のロードマップをつくりつつ、いい感じにまとめていくのがよさそう

こういう会社には意味がありそうです:
・そもそも会社はどうあるべきかが議論される土壌はある
・しかし、どうあるべきか、も別に言語化はされないから曖昧
・到達地点までのプロセスももちろん曖昧
・だけど急げといわれる、何を急げばいいのか??

コンサル出身の人が多い会社とかにはなさそうですね。ここからは「ゴールもプロセスも全部曖昧なまま、でもちょっとずつまとめていき、日々の仕事まで落とし込む」ためにロードマップを活用するという話をします。

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現状と理念があります。「そもそも会社はどうあるべきかが議論される土壌はある」前提なので、「もっとこういうことをやりたい」みたいなことは、いろいろ出てきているでしょう。適当にマッピングします。

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この適当なマッピングのまま、そもそも会社はどうあるべきかが議論される場にもっていくことが重要です。こんなのでいいのか?というレベルで。恥ずかしくてもいいんだ!そうすれば、もっと具体的な話が出てきたり、これは違う、みたいな話も出てきます。それも入れていきましょう。適当で良いです。まとめ直したり、多少因果関係の図とかいれてもいいかもです。

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どこかのタイミングで、「現状→理念」という形以外のフレームを決めます。「ロードマップのノウハウ・ドゥハゥ」のP41にいくつかパターンがのってます。Googleブックスで見ることが出来ます。良い本なので買ってください。kindleもある。

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個人的にはこういうのが好きです。上の図でいう左上。

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クックパッドさんのやつで考えてみましょう。「世界中のすべての家庭で毎日の料理が楽しみになった」を目指す姿とします。

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独自の提供価値を強めていく施策(上側)と、規模拡大を目指す施策(右側)、両立しようとしたときにいろいろと大変なことが起きる(経営陣の役割)の施策を真ん中に置く感じでしょうか。ちなみに、私は面白法人と名乗る会社ではたらいてるので、「面白軸」と「法人軸」で分けました。「面白」は独自性であり、「法人」は株式会社としてやるべきことですね。そして、その「面白×法人」両立の部分にいろんな問題があるので3つに分けて考えるという感じです。

マッピングの要素は絶えず変わるので、アップデートされたら関係者に共有していく感じでしょうか。あとは、細かい施策を話すときに、資料の最初に全体像の図を一つ入れる感じですね。

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ポイントは、このマッピングによって、何かを言っているようには見えるが、具体的なところは曖昧だし、絶えず変更される不確実なものでいいということです。それに資料をつくっているあなたが耐える!!多義性と不確実性。それでも何もないよりは、みんなの仕事がしやすくなると考えています。

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