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「そんなことはわかってる」と言いたくなるとき

柴田(@4bata)です。最近ちょっとこう思う頻度が減ってきました。

考えたきっかけ:話が噛み合わない様子を「そんなことはわかってる」というセリフで表現するアイデアを思いついた

このセリフが出てくる理由を考えることで、打開策が生まれるかもしれない。似た状況が発生したとき、あとから振り返りでこの記事をシェアすれば、だんだんよくなるかもしれない。

課題解決の2つの型

安宅和人さんの「知性の核心は知覚にある」の記事にある図を紹介する(そのまま使うの微妙なので私が書き換えた)。

ひとつめ。課題解決とはギャップを埋めること。

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あるべき姿は明快であり、この場合で言えば健常状態である。いまの状況がいったい何に由来するものかを正しく見極められれば、通常、それに沿った打ち手(ソリューション)を提供することで解決できる。
(中略)
問題が起きるパターンについての体系的な知識、あるいは論理的な整理が必要ではあるが、原因が特定できればやるべきところも明確である。
(「知性の核心は知覚にある」)

もうひとつある。目指す姿の設定からやること。

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例えば、芸能人を目指すある若者がマツコ・デラックスさんのようなチャーミングで、他の誰とも異なる味と存在感のある司会者になりたいと思ったとする。この場合、明らかに答えは、マツコさんのような体型になることでもなければ、マツコさんのような立ち振る舞いをすることでも、ソフトでスパイシーな発言をすればいいわけでもない。そもそも真似をしようとする段階で間違っている。
(中略)
その若者がどういう姿になるべきなのか(ゴール、目指すべき姿)の見極めから課題解決を始めなくてはならない。
(中略)
しかも仮にそのような姿が見えたとして、どのようにしたらそこにたどり着けるか自体も明確な答えが簡単に見つからない。(「知性の核心は知覚にある」)

本来A(ギャップを埋める課題解決)で解決できることでも、自分に「問題が起きるパターンについての体系的な知識」がなかったり、「論理的な整理」ができないことが原因で、Bのパターン(ゴールイメージが曖昧)に見えていることはありそうだ。その状況が「話がかみ合わない」に関連してくる。なので、ここから先は上に書かれた引用元のAやBの定義とはちょっと違う使い方になる。

以下、「そんなことはわかってますよ、でもね・・・」といいたくなる二つのパターンを書いてみた。

パターン1:「ゴールはわかってるけど、やり方わからないんですよ」

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目的より、現状から理想までの移行プランで悩んで止まってるときに、「とにかくゴールを達成してくれれば方法はなんでもいいから」と言われるパターン。そして、手段で悩んでますと言っても「それを考えるのがあなたの仕事でしょ」となり、具体的な障害を乗り越える支援が行われることはない。

パターン2:「それをやれという指示はわかってますけど、本当に意味あるんですかね?」

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その場をなんとかするための火消し的な手段を指示されて、根本解決にならないから、「今後も同じことがおきそうだなー。もうちょっとなんとかならないのかなー」と考えて疑問を呈すと、「とりあえずそれでもやってよ」となるパターン。気が進まないので進行が遅くなると、「いいからとりあえずやってよ」と言われる。

まとめるとこうなる。

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仕事に「現地調達」という考え方を導入する

現地調達のイメージとは?森の中で戦っているときに、食料も全部自分たちで調達する。軍隊が行軍していくときに、途中の町で食料を調達するのもそうだ。で、すごい戦車とか兵器が出てきたとき、勝つために必要なものを現地調達できなくなってきた。そこで「補給戦」「兵站・ロジスティクス」みたいな考え方が出てきたらしい。現地調達でその場にいる人の能力次第で勝ち負けが決まっていた時代から、条件が変わったということだ。

どこまで「現地調達」を期待されてるか?にすれ違いがある

「それを考えるのがあなたの仕事だ」という発言を考える。「ゴールに到達するまでのあらゆる資源は現地調達しろ」という指示になる。さすがに戦争で最新兵器を現地調達しろ、といわれたら「無理です」は通じるだろう。しかし、日々の仕事においては、現地調達できるかどうか曖昧なものが多い。

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例えば、業務が回っていない部署があり、他部署から業務品質に問題があると指摘されたとする。「ある程度お金をつかってもいいから、なんとかしろ。」という指示がきた。「お金は渡すから、それ以外は現地調達しろ」という意味だ。で、人を増員しようとすると「人を増やしても労働集約型のままで効率あがらないから、システム導入したりできないの?」という追加の指示がくる。

人の増員は、現地調達しやすい。今いるメンバーと似た人を探すのは、方法がわかるからだ。ただ、システムを導入するとなると、その方法を理解している人が部署にいない限り、現地調達が難しくなってくる。実際には、導入するためにいったん人員増強したりして余裕をつくりその上で体制変更をする必要があったりする。つまりどちらにしても増員が必要なのだ。指示を出した側からすると「それも含めて社内調整したりしてなんとかしてよ」と言いたくなってくる。指示を出した人にとっては、それも含めて自分で現地調達できるのだろう。ただ、該当部署は既に業務が回っていない状態だ。その部署に、未経験のシステム導入の体制を整えるところから現地調達させるのは、難しいという判断をする必要がある。

共通理解としてもっておくべきは、指示する側からして「良い方法」に思えるものは、大抵現地調達しにくいものだ、ということだろう。つまりそれは、最新兵器であり、すぐに手に入るものではない。現地調達が無理なら、指示する側が何か別の方法で「補給」を考える必要がある。なので「それを考えるのはあなたの仕事だ」というセリフが頻発したら要注意だ。

現地調達を期待されてるから、それ以上の話はするな

次に「そもそもこれが意味ありますかね?」と聞きたくなるパターンを考える。これは逆に、責任者は「この範囲内で現地調達しろ」と指示を受けているパターンだ。だから、現地調達の範囲を超えて「そもそもの目的」に疑問を覚えるメンバーがいても、「(それは私には対応できない範囲だから)とりあえず、そのままやってよ」という回答になる。

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誰かが本当に将来のゴールを考えていて、それが共有されていないケースもあれば、本当に誰も考えてないケースもあるだろう。依頼された側からすると、「誰もゴールを考えてないのでは?徒労に終わるのでは?」という疑問が出てくるのは当然だ。

ただ、マツコ・デラックスさんの例を思い出して欲しい。

仮にそのような姿が見えたとして、どのようにしたらそこにたどり着けるか自体も明確な答えが簡単に見つからない

つまり、仮にゴールが見えたとしても、たどり着く方法はすぐには見つからない。だから、依頼された側がそもそも論から納得できる答えが与えられるケースはそんなにない。

こちらのパターンで共通理解として持っておくべきなのは、「誰もあるべき姿を考えてないパターンは避けたい」ということぐらいだろう。実際に納得できる答えが来ることは期待しすぎで、ただ誰かがそれを真剣に考えているのかどうか、そういう役割が存在しているのか、は確認してもいいと思う。ただ、この試行錯誤の過程をそのままオープンにすると混乱が起きることもあり、なかなか難しい。

「そんなことはわかってる」といいたくなったら、10秒数えてみる

この状態になると、条件反射的に反論したくなる。だから、「そんなことはわかってる」といいたくなったら、とりあえず10秒数えよう。そして、「現地調達が無理なんです」と伝えるか、「そもそもの解決策は時間がかかってもいいですけど、誰かが考えてくれてるんですかね?」を確認しよう。

ここで質問箱

なにか「これはどうなってるんですか?」という質問があったらください!質問箱をつかってみたいのです。



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