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自分でわかってない問題に「それを解決できる人の採用」で対応しない

柴田(@4bata)です。過去の自分に向けて言ってます!

自分の勉強不足を全部「新規人材の採用で解決」に押しつけがち

こういう状態。

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自分がその分野の実務経験者ではなく、解決策の仮説を持たないまま、「なんとなく詳しい人を採用して解決しよう」という思考になるときがある。でもこれは良くない!

その状況が起きがちな組織体制。

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私もこうなってます。具体的には以下。

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少し勉強するだけで、解決策の仮説の精度があがり、採用難易度がさがる

「少し勉強する」がすごく大変なんだけど・・・。

以下、実際に私が実務をやったことがない「経理分野」を例にあげて説明する。実際に起きた話ではない。別のところで起きた話や、わかりやすく改変した話もまぜたので現実とは異なるが、参考になるはず!

1.何かやばそうな兆し:経理部が忙しそう

経理部が忙しそうだ、長時間労働だとか、レスポンスが遅いとか、まあいろんなことを、いろんな人がいってくる。もちろん私は何かをしないといけない。

2.忙しいなら人を増やす?

すぐに出てくる話がそれ。一応経理部のメンバーに聞いてみた。どういう人が必要か、いろいろ出てくる。ただ、言ってることもバラバラだし、そんなすごい人はすぐに採用できないなー、という「人材採用の相場観」は、私が元人事だったこともあり、よくわかる。

ここで人事部に経理部の採用を依頼しても効果が薄そうだ、と判断した。

・・・と、こう書くとすぐに決断したように見えるが、実際にはここまでに半年以上時間がかかっている。

・あまり自分が介入するのも微妙だし、経理部の自主性に任せてみようかなという判断
・自分は詳しくないから、解決策も分からないし、できれば手を出したくないという本音(←たぶんこっちが強い)

のふたつがあったように思う。

3.経理部定例会議に参加してみる

その後、「よし、もうちょっと自分で何かやれることを探すぞ!」と、とりあえず経理部の定例会議に参加してみた。日々の進捗を話したり、共有すべきことや疑問点をそれぞれが話す場だ。

専門用語過ぎて全然分からないかな、と予想していたが6割以上は理解できた。

何度か参加した感想。目の前の業務の話はしているが、「もうちょっと全体の進捗」みたいな話はどこかでされているのだろうか?そこがわからない。

4.経理部長と個別に話してみる

「もうちょっと全体の進捗」みたいな話はどこかでされているのだろうか?、と素朴な疑問をぶつけてみた。その後の話はいろいろ省略するが、ここでわかったことがある。

実は、「経理部内の最適化」はかなり行われていた。遅延が発生したりするのが、経理部長が自分だけでは対応しにくい「他部署」との部分だったのだ。組織課題的にはセオリー通りだ。でも、最初の「経理部がやばそうだ」のときにはここまで考えてなかった。

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振り返り:この段階で、私には経理・財務の知識がほとんどない。でも解決策の仮説は出せる。

ここまでの内容に経理の専門的な知識は必要ない。でも、「経理部内ではなく、部署の接続部分をなんとかすると良さそう」という解決策の仮説が見えてきた。この部署間の接続をなんとかするのは、経理部を含めた広い範囲を管掌している私の仕事そのものだ。

ここまでの反省点:
専門的な知識など必要ないのに、「自分は詳しくないから、解決策も分からないし、できれば手を出したくないという本音」によって、経理部の定例会議に出てみたりして状況を把握することもしていなかった。
実際には専門知識がなくても、解決策の仮説を出せたりするし、それによって採用の難易度も下がる。

5.経理部と他部署の接続をなんとかするために、経理部内の体制を把握する

ここから、経理部の役割分担の把握をはじめた。よくわからないので、適当に体制図をつくり、何度も経理部のメンバーにフィードバックをもらう。あとで参考になるかもしれないので、修正の経緯も全部残してある。

適当につくっていく。とりあえず「営業事務」と呼ばれる、請求書や発注書など、経理業務をやる前の「元データ(?)」を集める仕事。月次会計とよばれる毎月数字を締める仕事(締めるの意味はこの段階で分かってない)。連結とよばれる子会社も含めてなんとかする仕事とかで分類がよさそうだ。ふむふむ。よくわからないけど適当に図にしてみよう。

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実際には「月次」と「連結」って並列ではない。「月次」と並列なのは「四半期」なのだ。でもそんなことはどうでもいいのだ。

なんども繰り返していき、経理部内での体制案も擦り合わせながらこんな図になっていった。人名とか分類とかもダミーだけど、なんとなく精度があがっていったのはわかるだろう。

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「いまこうだけど、今後こうしたい」というものをコメントで残している。毎月アップデートすることで認識のすりあわせもできる。

実際の資料をぼかしたもの。

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6.求める人材の話:求めていたのは経理経験者ではない?

一般的に経理とは何をやる人なのか?どうやらこうらしい。

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まあわかる。経理としてのスキルを考えたときに、会計処理の知識身につけて実践したいよなあ・・・。

でも、現時点の問題は、部署間の接続であり、会計処理の問題ではない。

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となると、求める人材のmustは、他部署との接続をなんとか出来る人で、経理経験はwant条件となる。逆に、経理経験者でも、会計処理にだけ興味がある人は採用しても、現段階では意味がないということがわかる。

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7.そんな人いるのか?面接しながら試す

やってみた結果、少ないけど、いることはわかった。候補2の「経理経験者+他部署との接続ができる人」が最高だけど、やはり少ない。候補1はたくさんいて、社内に会計処理を教えられる人もいるので、基本的には候補1を探していくことになった。

8.課題感だけわかれば、一次面接はできる

経理部は忙しいので、私が一次面接を行った。経理のスキルや知識の話はできません、と伝えた上で、今の経理部の課題は説明できる。本人のやりたい方向性と、今の経理部の希望がマッチするかどうか、というレベルの擦り合わせであれば、ほぼ「人事部としての仕事」なので私もできる。

9.経理部の状況に詳しくない人向けの説明

最初にいろいろ「経理部やばそうだよ」とか教えてくれた人達は、経理部の実情がわかっているわけではない。その人達に「改善すすんでますよ」と説明する必要がある。なので、それ用の資料もつくっていく。

もくじだけ。

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役割分担が曖昧になるとまだ業務を吸収しきれないので、「経理部の役割分担範囲」を明言する。その上で、詳しくない人がわかる定量・定性的な状況を説明する。「でもまだやばそうなところもありますよ」という説明と、特に経営者は目の前のことより先のことを気にするので、ロードマップ的なものもいれておいた。システム変更とかもあるので。

実際にはこんなきれいな時系列ではない

こんな感じだ。

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先が見えないので不安だが、一度経験すると2回目からは「まあわかんないけど、いろいろいじくり回してたらわかるだろ」と思えるようになってくる。

中途半端にしか知らないことが増えるから、非常に気持ち悪い。

「月次会計」とか書いてるけど、現段階でも私は「月次会計」詳しいことは何も分かってない(この用語の使い方が正しいのか、すら怪しい)。でも、経理部の人達に教えてもらいながら、「いま良い感じかどうか、解決するにはどうすればいいか?」を会話できるぐらいにはなっているはずだ。

実務をやったことがない管掌範囲をなんとかするためには、ちょっとだけ勉強する必要がある。ちょっとだけ勉強=簡単、ではない。むしろ、実務をやっていた分野に比べると、自分の知識の中途半端さがよくわかるので、ストレスになる。ゼロから勉強したくなる。ただ、その分野の専門家になることは求められてないし、そんな時間もない。無理だ。

詳しい人達に教えてもらいながら、ただ全体感として間違ってないか、その人達が抱えている課題を分解して難易度を下げる手伝いができるぐらいには学ぶ必要があるのだろう。

まとめ:自分の知らない分野を解決するとき、ちょっとだけ勉強しましょう!別に簡単じゃないけど!むしろストレスたまるけど!

以上です。ありがとうございました。

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