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新卒一年目を振り返って(アナーキー・イン・ザ・隣の1K編)

新卒1年目を振り返って(どうしてここにいるのか編)を読んでくださった方ありがとうございました。
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↓まだの方はこちらからぜひ(先に読んでおいていただけるとなお楽しめるかと思います!)


さて、今回は生活編ということで、神戸という見ず知らずの土地に引っ越してきた僕の一年間を振り返っていこうと思います。
ただ、多分前回とはだいぶギャップがあって、ドロドロした内容になるかもしれないので、最悪これは読まずに、次に投稿されるであろう仕事編を読んで頂ければと思います。

(加筆、今回ちょっとだけ事実を改変しているところもあります。ただ大筋は変わらないので、楽しんで頂ければと思います。)

詳しくはボカしますが、神戸の中心地、その主要駅から徒歩圏内のエリアに僕の部屋はあります。
ここは入社するにあたって会社からの斡旋で紹介されたところでした。
正直僕が提示した

・JR沿線(且つできれば新快速停車駅)
・風呂、トイレ別
・家賃6万円台

という条件を加味するとその全てを満たした抜群の立地ではあり、その点はすごく満足しています。
不動産ってどこに建ってるか、で価値が決まるので、駅からの距離とか沿線を変えれば同じ価格でももっと広いところに住めたのかな〜とかは思います。
ただ、大学生の頃から一人暮らしだったので1R暮らしには慣れているし、週に一度彼女が泊りに来る程度の来客頻度を想定していたので、広さも許容範囲でした。
ただ、駅近で6万円台、いくら関西の地方都市とはいえ、この家賃は大学生時代に駅から十数分の部屋に払っていた家賃とほぼ同じ額でした。
この数字の意味するところ、それを契約した時の僕はまだ知りませんでした。

入居は3月の後半、大学の卒業式の前日でした。慌ただしく荷物を運び込んだ僕は、そのまま眠りにつきました。
また卒業式当日も、終わった後みんなで打ち上げをして、それぞれの成功を祈りあって、夜遅くに解散したので、そのまま眠ってしまいました。

さて、異変というか、違和感に気づいたのは部屋に住み始めてから数日しか経っていない頃でした。
その頃、まだ部屋にWi-Fiが開通しておらず、YouTubeや音楽はあまり聴かずに無音で暮らしていました。
安い賃貸なので仕方ないことなのですが、ニコイチ方式で建築されているからか、片方の部屋とのかなり壁が薄く、また最上階で天井高にかなりゆとりのある仕様だったため、その分音が響くような状況でした。
隣の人といえば、荷物の運び込み中に母親が、母親と同年代くらいの女性を見かけたとのことでしたが、挨拶とかは特にしてなかったです。

多分夕方くらいだったと思うんですけど、隣の部屋からうっすらヒーリングミュージックというか、オルゴールの音楽?のようなものが聞こえてきました。
僕の部屋が全くの無音状態だったからこそ聞こえた音ではあるし、そこに意識を向けなければ聞こえていないことにもできてしまうくらいの音量です。
なんか趣があるな〜と思いつつ、改めてなんとなくその音に意識を傾けていたら、その音楽の裏に男女の話し声が聞こえることに気づきました。
あれ。と思って。
ワンルームの賃貸に、男女がいる。
別に僕も彼女を呼ぶこともあるだろうから、その時はさほどの違和感はなかったんですけど、挨拶らしき会話が聞こえて、ヒーリングミュージックのボリュームが小さくなった。もしくは、僕がその男女の話し声に意識を向けていたか。
暫くして、
「それではここにお名前をお書きください」
という言葉が聞こえた。
あ、と思った。
そういうお店に行ったことがない僕でも、ワンルームマンションの一室を借りて云々という話を聞いたことがないわけではなかったから、すぐに察した。

隣の部屋がメンズエステだということに。

そこからの日々はかなりの地獄だった。
壁が薄いから深夜に営業された日には、声ではなくともドアの開閉の音が気になる。
一度だけだが深夜帯に多分隣の部屋を間違えて僕の部屋のインターフォンを押されたこともあった。
それに、なんか鉢合わせたら気まずいな…と思って、外へ出るのにも何故か気を使う。
極めつけには、喘ぎ声らしき声が聞こえることもあった。

こんなんじゃ彼女呼べないよ…。と半ばヤケクソになりながら、というか、どうか、隣の部屋に誰も出勤しませんように…。と彼女が泊まりに来る日は思っていた。
結果として、彼女はめちゃくちゃウケてくれて、それに隣の部屋の物音に敏感な僕とは裏腹に彼女は爆睡していて、彼女がいいなら別にいいか…と思ったりもした。全然良くない。
ただ、彼女がすんなり受け入れてくれたことはかなり大きかったと思う。

会社の歓迎会では「ウチの紹介した部屋どうだった?」と聞かれて困った。
「最悪です^_^」と答えたいのをグッと堪えて、「立地がとにかくいいですね!」と部屋について触れるのを誤魔化した。

管理会社への連絡は無駄だろうな…と思ってしていなかった。
というか、「とある出来事」があって本格的に動き出すまで僕が管理会社だと思って相談していた会社が、賃貸の部屋の貸主をしている会社で、管理会社ではなかった。そりゃ何もしてくれないわけです。

そもそも、管理規約上、店舗としての利用はアウトなんじゃないか?と思われる方もいらっしゃると思う。
僕もそう思っていたのだが、賃貸契約時に作成する契約書に店舗利用の許可がなされていればその限りではない、ようだ、とネットで読んで納得してしまった。
読み進めていただければ分かるが、多分それは間違いだ。

そうして、もうどうしようもないな、という諦めがある状態、置かれている状況にも慣れて、そのまま日々が続いた。
その間に店舗を特定したりはしたし、自分の住んでいるエリアが、そういう風合いの残るエリアだということも知った。(この辺りの詳細は完全に省く。)
店舗を特定したところで、証拠がなく、何も出来なかった。
それに裏にはきっと怖い人たちがいるだろうことも想像できたので、何もしないことが正解だということも分かっていた。
それに男性単身で暮らすのであれば、決して悪い条件ではないのだ。
ただ、耐えられないようであれば、一年と少し経ったタイミングで引越ししようと思っていた。

しかし、去年の12月の末、その「とある出来事」が起こる。
もう年末の休暇に入っていた頃だと思う。
まだ実家に帰らず神戸にいた僕は、泊まりに来ていた彼女を家まで送って、部屋に帰ってきた後、少し昼寝をしていた。夕方頃だったと思う。

うつらうつらとしている時に、歌声が聞こえた。最初はさっきまで彼女と会っていたから、その名残で彼女の声が聞こえるのか、夢うつつの状態なのかな…、なんて思っていたが、どうやら違う。現実だ。これは現実に、どこかから聞こえている。そう気づいてバッと体を起こす。
その歌声は隣の部屋から聞こえていた。

歌声、というか、それは金切り声のような、女の人の声だった。
とにかくうるさかったし、何より不快だった。
せめてコイツの歌がもう少し上手だったら、とさえ思った。
苛立って壁ドンをしたけれど、収まる気配はない。
更に機嫌の悪くなった僕は、直接苦情を言ってやろうと思い立った。
隣の部屋のインターフォンを押すが、返事はない、多分イヤフォンをつけているのだろうか。
どうしようか悩んで、警察を呼ぶことにした。
もうなりふり構わない、こちらも戦うポーズを取ることにした。
これに関しては、隣で風営法ギリギリの営業を行なっているということに対してではなく、騒音での苦情だ、正当性はある。(実際警察に来て頂くことに対しての申し訳なさもあった。)
ただ、警察は民事不介入ではあるので、どうなるかな、と思っていたが、すぐに駆けつけて注意してくれるようだった。
物件名と部屋番号を伝えて20分後くらいに、ぴたっと歌声が止んだ。
思わず無音の部屋の中隣の部屋との壁に耳を当てる。
「すいません…もうしません…」と女性の謝る声が聞こえた。
そうしてその後、僕の部屋のインターフォンも鳴って、警察と少し話すことになった。
この際だったので、隣の部屋がメンズエステであることも伝えたが、なかなかすぐにどうこうするのは難しいとのことだった。
分かりきっていたことだが、また騒音の際にはすぐに呼んでください、とも言って頂けた。
(この辺りも少しぼかしますが、色々話した。)

今まで、隣の部屋がメンズエステであるという、風呂場のぬめりみたいな何とも言えない問題に対して、一人で堪え、あるいは戦ってきたわけで、警察に話を聞いてもらえたのは少しホッとした。
ただ、警察を呼んでしまったこと、ある種の権力に頼って自分の思惑を果たした経験は、一歩間違えれば自分を怪物たらしめる、とも感じた。

さて、これで一件落着か、と思ったが、そうは行かず、また数日後、今度は深夜にあの女の歌声とリズムを刻む大きな足音で目を覚ました。
「もう限界だ。」と思った。
深夜だったこともあり、また、その騒音は時間が経って止んだこともあって、警察は呼ばなかった。
先ほど書いた権力を頼ることへの危うさや引け目も感じていた。

ただ、もう限界だった。
翌日、出勤した後、外回りに行くふりをして公園で再度、管理会社に電話をかけた。
管理会社、と言っても、先に書いてあったように、僕が管理会社だと思っているだけで実態は僕の部屋の貸主だ。
あらかた内容を伝えると、「うーん、うちではね…」と歯切れの悪いことを言われた。
あれ、話噛み合ってなくね?と思い突き詰めていくと、
「ウチ、管理会社じゃないからね。」
と。
あれ、めちゃくちゃ勘違いしていた。
そこから管理会社を教えてもらって電話。
担当が不在とのことので、

・隣の部屋の騒音について
・警察を呼んだこともあること
・メンズエステをしていること

を伝えた。
夕方くらいに折り返しがあった。
騒音クレーム自体は良くあることだろうが、警察を呼んで対応してもらっていることやメンズエステの告発も相まってか、ある程度は取り合ってもらえた。
ただし、こちらは警察とは逆で、部屋をメンズエステとして(店舗として)利用していることに関しては調査して、その事実があれば立ち退きを要求するが、騒音に関しては不介入ですよ、という話だった。
管理会社としても、いちいち騒音に取り合っていたらキリがないんだろうなと思いつつ、メンズエステ云々に関しては、貸主や仲介会社にあたって確認してくれるようだった。

ただ、すぐ物事が動く、という状況でもない。
結局騒音への不安は拭えないままだった。
またあの女の声が聞こえたらどうしよう、とか、明日も仕事なのに、という焦りも相まって全然眠れなくなってしまった。
繊細すぎるだろ、というご指摘も一理あるな、と今では思う。ただそれだけ追い詰められてもいた。

どのくらい限界だったか、というと、店舗は特定できていたので、そのサイトにあるスケジュールから声の主が誰か、というのを特定するレベル。
思い返せば本当にくだらないことに固執していたと思う。

そんなネチネチやっていたって仕方がない。
俺にできることをやろう。
ということで耳栓を買った。
薬局で何百円かの、黄緑色のやつ。
これ、ガチで良いです。
この後もっと高いのだと効果は変わるんだろうかと思って、3000円くらいのを買ってみたんですけど全然黄緑色のには敵いませんでした。
コスパもいいし、色が派手なので、ベッドの上で探しやすいんですよね。
とにかく防音性能が優れています。
寝る時に使っています。

ただ、部屋にいる間、AirPodsとか耳栓をつけ続けるのはなんか癪で、他に何かできることはないか、と思いました。
パソコンやプロジェクターから音楽を流し続けることも考えましたが、音に波があって防音効果はそこまで望めなさそう、というのが結果でした。
そしてある日ふと、エアコンとか換気扇とかをつけている日は隣の部屋の話し声や音楽が聞こえづらくなっていることに気づきました。
この音を調べてみると、「ホワイトノイズ」と言われているみたいで、それを発生させる装置もあったので、それも買った。
これも、凄くいい。
そもそもホワイトノイズって安眠などにもいいらしく、また集中力にも効果があるらしい。(ここは眉唾です。)
そして、それを部屋で流すようにしました。

で、結果として、日中も夜間もほとんど音が気にならなくなったわけです。
ただやっぱりドアの開閉とかは分かるかなぁ、という程度です。
それは周りのどの部屋からしてるか、みたいなのはわからないし、そこまで気にはしてないです。

そんなこんな音に対して試行錯誤をしている間に、隣の部屋からの夜間の物音が一切しなくなりました。
多分管理会社からなんらかの指導が入ったのかな…と思っています。

昼に関しては、部屋にいないことが多いのと、いてもYouTubeなりネトフリなりが流れている+ホワイトノイズ+エアコン・サーキュレーターという布陣で音はほぼ気にならないです。
あとは意図してカフェに行くようにもしてます。
結局家にいてもゴロゴロしちゃうだけですからね。

今回僕の行動として、警察を登場させつつ管理会社と交渉をしたこととか、音に対して対策できそうなグッズを買ったりだとか、結構経験としては楽しかったです。
ストレスはめちゃくちゃでしたけどね。
正直会社よりもこっちの方がしんどかったというか、これで会社がもっと大変だったら、もうどっなってたことやら…と思います。

それと、もう次耐えられないな、というくらいうるさいことがあれば、その時は問答無用で引っ越そうと思います。

拙い文章で分かりにくかったところも多いと思うんですけど、僕はとどのつまり、隣の部屋にメンズエステがあるという嫌悪感とも戦っていて、だからこそ聞こえる音に拒否感を示していました。
歌声は、僕が大掛かりな行動に移すことができる一つの大きな足掛かりでもあって、その点はその女性に感謝しなくてはいけないな、と思います。もちろんしたくはないですけどね。

書き終わって思うんですけど、これって、俺の一年の振り返りの「生活編」にしてしまっていいんだろうか、まぁ、いっか。
でも一番のテーマとしてこれを挙げるくらいには本当に大変だったんです。涙。

ということで、めちゃくちゃ長い文章を読んでくれてありがとうございました。
次は仕事編を書けたらなぁと思っています。

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