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【日記】おすすめされたまんがたちの感想をするぜ

年末年始にDMMのセールがあったので「おすすめのまんが(あんまりしんどくないやつ)を教えてくれ」とフォロワーに頼ったところ、かなりいっぱいおすすめ来たので相性の良さそうなやつを読んだぜ。
せっかくなので特によかったやつを1作品700字くらいで感想するぜ。


メダリスト(つるまいかだ)

フィギュアスケートシングル選手の夢破れた青年・司と、引っ込み思案で大人たちから見放された少女・いのりが、コーチと選手という立場でオリンピックを目指してフィギュアスケート界をのし上がるスポ根漫画。めっっっっっっっっっっっっちゃ面白いです。
正直わたしはフィギュアスケートにミリも詳しくなく、このスポーツの漫画を読むのもほぼ初めて。それでもこの世界の特殊さや技の解説をとても丁寧に盛り込んであって、しかもストレスなく読ませる工夫がすごい。そもそもノービス(シニア・ジュニアより年少のクラス)から成長を描くのは珍しいことのようです。
主人公いのりのフィギュアスケートにかける情熱と才能はもちろん少年漫画として最高に熱いものがあるんですが、彼女のコーチ司が、己の夢を教え子に託しつつ、かつ、彼女を肯定してメンタルもフィジカルも支える健気さに目頭が熱くなります。ほんとにこの師弟のさあ~!お互い完全に信頼し合っているのが本当に最高なんですよ。今のいのりちゃんの執念と頑張りが、過去の司先生を救っているところもあるので……そこが何よりも尊くて……師弟なのは間違いないんだけど、同じ目標を志す仲間でもあるから、絆がめちゃくちゃ強いんですよね。
漫画としてのレベルも高く、試験や試合の演出や描写にめちゃくちゃドキドキします。演技中のいのりちゃん、ハイパーミラクルかっこいいので見てくれ……彼女が世界を抱く女だ……
主人公周辺のキャラも大変濃い。ワイの推しは理凰くん。コンプレックスとスランプで雁字搦めでしたが、司先生にデレてからのギャップがたまらん。暗く冷たい闇から明浦路司というあたたかい光に掬われた男…(こういうシチュエーションが一生大好き)まじ永遠にいのりちゃんと司先生取り合ってバチバチしてほしいんだよな。良すぎる。
いのりちゃんと同じ年ごろの子供たちもたくさん出てきます。みんなスケートが大好きで、スケートで勝ちたくて、上手くなりたくて、一生懸命で健気です。こんなもん全員優勝だよ…!となってしまう。
2023年1月現在は7巻まで。びっくりしたんだけど、つるまいかだ先生、この作品がデビュー作なんですって。ひっくり返ったわ。すごすぎ。


スキップとローファー(高松美咲)

官僚になるため、地方から上京してきたちょっと天然でちょっとヘンな女子高生・岩倉美津未が、曇りのないまっすぐな心持ちで周りのクラスメイトをハッピーにする漫画。
わたしこれ少女漫画だと疑ってなかったんだけどカテゴリ的には青年漫画なんですねえ!?ほんとだ!アフタヌーンじゃん!完全に少女漫画のつもりで読んでたわ。作風も雰囲気もそうだったから…
とにかく雰囲気作りが秀逸な漫画。過剰な心理描写は極力抑えられ、みつみちゃんの「妙に元気でなんか変」なところに始終ニコニコさせられます。彼女の周りの、高校生らしい、けれど本人たちにとってはとっても大変な悩みを持つクラスメイトたちを、ゆっくりほぐして幸福にしていくみつみちゃんの無自覚な手腕、大変すばらしい。読んでてすごくあったかくなる。みんなみつみちゃんが好きになっていくし、そんな彼女自身も悩んだり葛藤したり恋したりしながら、幸福に高校生活を送っている。最高だ。最高のやつやで。
またこの多幸感あふれる雰囲気に、やさしくて素朴な絵柄がスペシャルドンピシャマッチングしてるのが本当に沁みる。幸せ。
彼女たちの葛藤や、友情のありさまを見て、キャラクターが深堀りされるたび、「よかったね」と思うことの幸福感、ぜひ体験してほしい…読むだけで心が満たされる漫画、スキップとローファー。
わたしは10代女子としてとてもリアルなキャラクター江頭さんを推していますが、みつみちゃんの周りってマジで最初から人格者が多いんですわよね。その中でひとり強烈な劣等感を持って尖っている江頭さん、の考えること、ほんとに「わかる…」が多くてやばい。思春期に取る行動や考えることなんて、こういうものなんですよ。だってまだ子供だし、未熟だし、学校なんていう集団生活を強いられていたら、何かしら歪んだ思考になるものわかる。でも江頭さんはそれ(性格の悪さ)を自覚して、指摘されて怒りながら恥じているし、みつみちゃんと触れるうちに影響されて、素直で素敵に、大人になっていくんですよ……
泣ける。青春ジュブナイル。ありがとう。2023年1月現在8巻まで。一生続いてほしい。


金の国 水の国(岩本ナオ)

敵国同士の王女と青年が、偶然出会って恋に落ち、お互いの国を救うファンタジー漫画。
って書くとディズニーの映画みたいだな。
戦争の終結のため、お互いの国から姫には婿が、青年には嫁が贈られるはずが、国のトップは誠実さに欠け、それぞれに犬、猫が贈られてしまう。戦争にしたくない思いからどちらもそれを受け入れ、その後出会った二人はお互いの正体を知らないまま、協力関係となる。
お話的にはとてもシンプルなんですが、それぞれの国の問題や環境の設定などが作り込んであって、姫サーラの誠実さや、青年ナランバヤルの賢さが映えてすごくよかったです。
しかしこの物語は根底にある「愛」の感情がとても力強く描かれていて、主役2人の最初は利害の一致だったのに一緒に過ごすうちに生涯共にいたいと願うようになったり、お互いのために未来ある選択をしたり、相手を貶されて怒ったり、ぐっとくる演出が多かったです。「お嬢さんが生きている間にA国を水に困らない国にしてえんだ」愛…愛だよ!この愛を守らねば……
あと、サーラの姉の、己の国に対する愛も大変深く、サラッと数ページの描写だったんですが、彼女がなんとしてもこの国を守りたいと思っているのがよく伝わってきました。このシーン泣けるんだよな。サーラに対してちょっと当たりの強い姉上なんですが(なんとなく妹への期待の裏返しなのかな~と今は思う…)、芯の強い、出来る女性なのだとわかります。愛人にした男の能力を見抜いて大臣にしていたの、まじでかっこよすぎる。
1巻完結で大変読みやすかったんですが、欲を言えばもう1巻ぶん掘り下げて描いていたら、もっと満足度が高かったかもしれん…と思った。ちょっと描き切れていなかった感じも感じた。
でもほんとにいい話だった……純愛に心が洗われた。今年アニメ映画になりますが、「金の国」がフルカラーで映画館のスクリーンで観れるの楽しみだな~となりました。映画のボリューム的にはちょうど良いね。
欲を言えばお嬢さんが族長をぶちのめす(飲み比べで)とこ見たかったですわ~。


シャングリラ・フロンティア(硬梨菜/不二涼介)

クソゲーばっかやってるがゲームの腕はピカイチのクソゲーゲーマーが、全世界で大流行中の神ゲー「シャングリラ・フロンティア」に挑み、攻略を目指す漫画。
いわゆるなろう系小説のコミカライズですが、シンプルにわくわくできて楽しい漫画です。あくまで設定が「VRゲームの攻略」なので異世界転生モノではないのですが、それとよく似た読み応えですね。主人公がめちゃくちゃゲーマーだからゲーマーらしい用語がいっぱい出てくるのもの楽しいし、ガチで命の危険とかがあるわけじゃないので安心して読めるところも良い。人が死なない!リスポーンがある!最高です。
未来のVRゲームなのでリアルさながらの体験ができるわけですが、このゲームの作り込みがかなり細かく設定されていて、世界観に飲めり込めるところが良いですね。たまにご都合主義もありながらも(主人公補正はないとね)、持ち前のゲームうま男スキルでガンガン攻略していく主人公の強さは読んでいて気持ちがいい。ほんとにゲームが上手いんだよな。頭もいいし。ゲーム仲間たちとも悪友って感じでゆるく仲良く接していて、今時っぽいちょっとドライな性格も良い。
あとずっと鳥の被り物してるところが個人的にすごく大好き。この頭装備永遠に取らないでほしい。アイデンティティになってるからないと思うけど、装備ずっと変えるみたいな展開になったら読むのやめる。そんくらい好き。
わたしは人外好きでもあるので、ゲーム内NPCに獣人多いのも良いですね!紳士装備の猫獣人♂出てきたときはテンションブチ上がってしまったな。
あとシンプルにすごく漫画が上手いです。ギャグとアクションの緩急も良いし、あんまり癖のないタッチなので画面全体が読みやすく、何より作画の力が…画力が高い。背景も綿密だし、一切において手が抜かれていない感じ。絵、うめ~~~ってなる。
シャングリラ・フロンティアだけじゃなくてたまに他のゲームにログインして楽しんでる描写とかも好き。あくまで全ての非現実的要素は「ゲーム」として徹底して描かれているのがこだわりを感じます。
単純にシャングリラ・フロンティアというゲームが今後どう展開していくのか、楽しみですねえ!伏線もいっぱい張ってある。良いわくわく漫画。
でも「~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~」はだせえ。


彼方のアストラ(篠原健太)

宇宙への進出が当たり前になった未来で、惑星キャンプに出掛けた主人公たち9人が、何者かの思惑によって強制的に宇宙で遭難させられてしまう、という漫画。
ジャンル的にはSFサバイバルミステリー?サスペンス?文字列にすると盛ってる感すごいな。
一体だれがなんのために自分たちを「遭難させた」のか?という謎をバックボーンに、偶然見つけた宇宙船で故郷に帰ろうと全員で頑張る話なんですが、このシンプルなストーリーの中にあらゆる伏線が細かく散りばめられていて、後半にはそれが一気に回収されるんですね。超!気持ちいいぜ!
子供たちだけで宇宙で遭難というかなり絶望的状況なのに、セリフ回しや演出で深刻になりすぎないよううまく描写されていて、かつキャラクターたちが有能+だいたいポジティブなのでほんとに遭難してんのか?って感じられるシーンもしばしばあります。遭難、すごく楽しそうなんだよな。大変なごむ。大変よろしい。
9人ともそれぞれの特技を生かしていくつものピンチを乗り越え、最初はぎこちなかった関係も疑いようもなく深まり、キャプテンカナタの「俺たちが家族だ」というセリフでワイの涙腺は崩壊しました。そこから先はほぼ泣きながら読んでました。エ~~~ン
正直なにを感想してもネタバレになる…という感じなので未読の方はぜひ読んでいただきたいのですが、9人が9人とも、それぞれに事情があって、冒険を通じ仲間の助けを得てゆっくり良い方向へ変わっていく様はほんとまじでエモとしか言いようがありませんわ。
キャプテンカナタ、めちゃくちゃかっこいいです。彼の言葉や行動に何度ぐっときたか。ほんとに10代なの?信じられん。やっぱアスリートはちげえぜ。
ギャグのノリもテンポ良くて好きです。パーティ直前のピタゴラスイッチハプニングはまじで笑ったな。ウルガーがふわ~って浮いたので耐えられなかった。
実はラスト4話をまだ読めていないのですが、読み終わりたくなさすぎてまんじり…としています。いや~ほんとに良い漫画なんですよ。アニメもいつか見たい。
全5巻完結。大変読みやすいボリュームです。


舞妓さんちのまかないさん(小山愛子)

京都花街にある舞妓さんが暮らすおうち「屋形」を舞台に、そこでまかないさんとして働く16歳の少女とごはん、舞妓さんたちの舞台裏を描くヒューマンドラマ漫画。
「ドラマ」というほど大げさな物語は起こらない、毎日の暮らしがほのぼのと綴られています。一般の人間は知ることのない、「舞妓」という特殊な職業の裏側で、少女たちがどうやって暮らしているのか、というところに「非日常」感があって、でも毎日食べている食事は、わたしたちのよく知る「日常」の料理です。そのギャップが大変良い。
舞妓さんって正直めちゃくちゃ過酷な職業だと思うんですよ。まだ10代の子どもなのに、休みは月2回、賃金なし、朝から深夜まで年上の大人を相手に働きます。やめたくなるだろうなあ~と思うのに、この作品はそういった過酷さへのネガティブな感情を一切描きません。
出てくる登場人物も明るく楽しく、誠実なひとたちばかりで、読者はノーストレスです。「現実味がない」と言えばそれまでだけど、この漫画はごはんを通した「癒し」をテーマにしているので、そうやって読者に元気を与える意味があるんだろうなあと思います。
実際、まかないさんとして丁寧にがんばるキヨちゃんと、舞妓ちゃんとして健気に努力するすーちゃんの相思相愛っぷり、ほんとに可愛くて癒されてキュンとするんですよ。お互いがお互いを尊敬し合い想い合っていて、一生そのままでいてくれ……となる。特にすーちゃんの健気さといったらよ…涙が出ちゃう。
今ちょうど15巻あたりを読んでいるんですが、京都に健太参戦となってからは、なんだか1話1話が強烈に尊くて、毎話涙ぐみながら読んでいます。感受性豊かすぎんか?
キヨちゃんがみんなのために作るごはんのあたたかさと、人が人を想うあたたかさに、違いなんてねえんだ…そうやってみんなごはんを食べて、頑張って生きているのです。ワイもがんばろう。
あと、作画がめちゃくちゃ丁寧かつ大変上手いので、漫画としてもノーストレスです。いやまじモノクロのごはん作画、すごいんですよ(もちろんカラーもすごい)。超おいしそう。絵がうめえ~~~


そんな感じです。感想たのしいなあ!
今は「ボールルームへようこそ」と「恋情デスペラード」を読んでいます。読み終わったら感想追加するかも~

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