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三年生の私が伝えられること

結婚指輪を買うまでのプロセスです。
こちらにまとめています。
https://note.com/4848momo/m/m1496e472cace
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がんになって初めて、病気にも「進級」という考え方があることを知りました。
「二年生になりました」
「一年検診クリア!無事進級できました」
そんなツイートやブログも、この界隈ではちらほら見かけます。
告知を受けた当時は、この進級がとても眩しく思えました。
学生の頃の進級は、そこまで頑張らなくても自然と迎えられるものだったけど、今回の進級は命懸けというか命そのもの。どうなるかまったく分からない。
むしろ「生存率」というパーセンテージでは、五年生に進級できる可能性は6%と丁寧に教えてくれます。
だから、三年生はとてもとても大先輩に思えたし、五年生なんか見かけると神様を崇めるような気持ちでした。

先日私は、ステージ4の肺がんの告知から三年を迎えました。
三本の薔薇で花束を作って、自分に贈りました。
薔薇の数が何十本にもなるなんて日がきたらいいなあ。
長生きしたらかなり高額な花束になっちゃう!

きっと今不安に思う誰かがこの文章にたどり着いて、希望を感じているかもしれません。
皮膚科の先生に中止を打診されるほど酷い薬疹が出たり、酸化マグネシウム必須の便秘になったり、味覚障害が出たり、激太りしたり。
「目が見えなくなっても、命の方が大事ですので」と言われたり。
心膜に転移してるせいか胸が痛むこともあるけど、概ね穏やかな三年間を過ごせました。
その秘訣はなにか。
たぶん、おおくの人が知りたいこと。

ひとつは、医療の発展のおかげ。
そう聞くと、がっかりした人の方が多いかな。藁にも縋りたい人は沢山いるもの。
だけど残念ながら、標準医療以外に私がお勧めできる治療法は何もありません。それが本音。
にんじんジュースも飲んでないし、糖質制限もしていません。
研究対象として、すごく迅速に対応してくれた病院に助けられました。がんゲノム医療に助けられました。
それだけだけど、それが大事。
癌とは、一括りにされがちだけど、部位や変異、ステージによっても様々で、まったく同じ比較対象となる人なんてなかなか見つかりません。
だから、「私はにんじんジュースで直しました!」と言う人がいたとしても、そもそもからだが同じ状況なわけじゃない。
主治医と意見が合わなかったら、標準治療に嫌気をさして投げ出しちゃうんじゃなくて、別の(ちゃんとした病院の)先生を探して欲しい。
遺伝子パネル検査など受けたい検査を受けてなかったら、意見をしたり、セカンドオピニオンも考えてみて欲しい。
がんの治療法としてある標準治療を、コミュニケーションを理由に投げ出すのはとてももったいないから。

もうひとつは、たぶん、私が落ち込むこともありながら元気にいられたのは、メンタルのコントロールがうまいんだとおもう。
がんはどう頑張っても自分の思うようにはならなくて、ぶんぶん振り回されてぼっこぼこに殴ってくるから、身体的な部分を自力でどうにかしようとするのは諦めて、精神的な部分をカバーすることに注力した方がずっといいのかなと。
楽しむことなら、自分の面舵次第でどうにか出来る場合も多いです。
「こんな死と向き合わざるを得ない状況で楽しめだと?はぁ?」
そんな声も聞こえてきそうだし、もっともなんだけど、辛い思いしてまで延命してるんだよ??
楽しまない方がもったいない!悔しいじゃん!

何のために生きてるのかは人それぞれだけど、楽しむ気持ちを持っていた方が肩の力を抜きやすい気がします。
体だけが元気よりも、心が元気であることの方が難しいかもしれない。
だからこそ、気持ちの安定を、楽しむことを大切にすることを忘れないでいようとおもっています。

「桃花さんは強いですね」とよく言われるし、「あなただからそういられる、私は違う」そんな声も聞こえてきます。
でも、わたし、そんなに強くない。

プロポーズの後破談になって、リタゲで何度も出てくる指輪の画像に押しつぶされそうになって、
自分で買う!って決めて、ついにお店に入った先日。
あーやっぱり綺麗だなぁと遠くから覗き込んでみたら、
「結婚指輪をお探しですか?(店員さん満面の笑み)」
「あっ!ひゃっ!いえ、あ、はい!あ、でも大丈夫です!うへへへへ」
逃亡してしまいました。

情けないよ。
周りを見渡したらカップルだらけで、指輪見にくる中にこんな孤独な女おらんよなぁとしみじみ。
はぁ、みんなはよ買えよ!ってそろそろ思ってるやろなぁ…なんて落ち込む。
誰かカップル風に見えるよう隣に立っててほしい。
こんなことこそ、レンタルなんもしない人さんにお願いすべきかも。

ふと見ると大好きなBAKEのチーズタルトやさんが。キャッキャしながら買ってすっかりごきげんになって帰りました。だめなヤツなの。
でもメンタルを保つと次にまた何かが出来て、誰かに恩返ししたり与えたりすることが出来る。
一時的に回避したり、出来ないことが増えると、呆れられたり自分でも呆れたりすることがたくさんあるとおもうけど。
体の状態はどうにか医学に助けてもらって、心の状態は自分でバランスを取る。
それが私のがんとの向き合い方でした。

自分に合った方法で、できるだけ望む形で、多くの人が進級できることを願っています。

花束は、散る前にドライフラワーにしたよ。

**追記**
2021年6月でまる3年を迎えました。
ということは、わたしは3年生じゃなく4年生ですね。
拡散してくださった方もいて、タイトルから今更修正もできずこのままにしておきますが、わたし4年生でした。あはは。(あほ)

人生第二章を歩むための、なにか"きっかけ"を与えていただけたら嬉しいです!あなたの仕事や好きなことを教えてください。使い道は報告させていただきます。(超絶ぽんこつなので遅くなっても許してください)