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【ダンジョン潜り:追補編】 ~化身と、肉の体~

 アーマバとその子らを含む多くの神々は、肉体を持ってこの地に存在しているわけではない。
 彼らは「神々の階層」「天界」などと呼ばれる場所に住まうとされるが、それは地の子らの思い描くような物理的な空間とは異なると思われる。どちらにせよ地の肉体をもつ者たちにそれは知覚できない。

 神々が大地に降り立って活動しようとするとき、彼らは化身と呼ばれる一時的な肉体を身につける。そして地の子らは化身の姿を取った彼らを認識し、話し、相互に干渉するのだ。

 もちろん、化身のありさまは神によって異なる。
 例えば月神ティラは過去、頭に動物のような角を生やした長髪の男性の姿で現れた。
 ティラの妻であるバンクは、強靭な鱗に覆われた肌を持つ女狩人の姿をとったと言われている。
 マイーズルはその「銀の翼」の異名の通り 輝く翼をもつ鳥人の姿として知られ、ヴァルガマージャは巨大な空飛ぶ魚として、ネカワウーは丸太のような二本足で立つ虎として言い伝えられる。

 神々はこのように自らの好む化身の姿をとるが、決してひとつの姿に縛られているわけではなく、地に降り立つたび全く違った化身を用いる神も存在する。

 暗闇の大戦においては両陣営の神々のほとんどが化身の姿をとって大地にあり、地の子らと積極的に関わろうとした。しかしそれは彼らが肉体的な脅威にさらされることをも意味し、事実多くの神が傷ついた。

 肉体をもつ生命のうち、もっとも強大な者たちがである。
 竜は、アーマバが大地を耕し整えるために造り出した種族であった。
 竜たちは大きく、並外れて力強く、その体は桁違いに強靭で、賢かった。その体は山、鱗は鉄、目は宝石、心臓は溶岩、息は猛火。そしてその大顎や爪はあらゆるものを打ち砕いた。

 アーマバは竜に、地の子らとして最大の力を授けたため、化身の姿をとった神々でさえ彼らには及ばなかった。
 暗闇の大戦において遂にエンシを追い詰め、倒したのも竜たちであった。竜の多くはアーマバの子らに従ったが、一部の強力な竜たちはエンシの策謀に加担した。

 竜を含め、神の体をもたない大地の者たちが天界に上げられることもあった。それはまさに、それらの者たちが神となることを意味する。
 そうして神となった者たちの中には、竜レヴアルやその娘ロウル、そして暗闇の大戦で魔神を殺し自らも息絶えた大魔術師モローグなどがいる。

 前述のように神々は化身の姿で地に現れることもあるが、普通は自らの神官巫女を通して意思伝達をすることがほとんどである。
 ある神々は自らを崇拝する信徒たちの一団を保護し、多くの神官を働かせている。ティラのように各地に寺院をもつ神もあるが、逆に人知れず存在し、隠者のような神官を任命している神もある。

~目次~

金くれ