本当の愛 【エッセイ】
昭和の時代。
当時、中学一年生で、テレビドラマを観ていた。
恋愛もので、あとははっきりしないが、内容の一部だけ衝撃的で覚えていることがある。
男が夜遅く、酔っ払って帰宅した。帰りを待っていた女は言った。
「何してたの? ずっと待っていたのに」
「うるせぇ。いちいち口出しするな」
「私、あなたを愛しているの」
しばらくの会話のあと、男は、「うっ」と言いながら、テーブルの上にゲロを吐いた。
「本当に俺のことを愛しているなら、これを喰ってみろ」
女は男を見て、ゲロをじっと見つめると、顔を近づけて食べ始めた……。
これが「本当の愛」なのか。多感な時期である僕は、そう思った。
真似をしたことはありません。結果は目に見えているので。
「気持ちが悪い、そんなものが喰えるか!」
「愛していたけど、そんなことを言う男が、そのことで嫌いになった」
大多数がそうであり、そう言うのは簡単ですが、果たして深く考えるとそうなのか。
もし、本当に愛している人が言ったのなら、喰ってもいい。
そんな人は、いるとは思うのです。
僕は喰うのは、絶対、嫌だけど、そういうことを言う人も嫌だけど、
喰ってもいいと思えるような人と出会いたい気持ちはあります。
ぜひ、サポートにご協力ください。 サポートは評価の一つですので本当に嬉しいです。サポートは創作のアイデア探しに充てさせていただきます。