見出し画像

アンサンブル・コルマ 第4回演奏会

出演する30年来の旧友からお誘いを受けて聴きに行ってきました。素晴らしい!の一言に尽きる、なかなか味わうことのない素敵な時間を過ごすことが出来ました。

***

日時:2023年4月2日(日) 14時開演
場所:杉並公会堂 大ホール
指揮:坂入 健司郎
曲目:
 フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」
 ラヴェル:組曲「クープランの墓」
 プーランク:シンフォニエッタ

杉並公会堂へ来たのは恐らく約10年ぶり。当時はまだ「乾いていない」匂いがした気がしたけれど、調べてみたらリニューアルは2006年らしいので単なる勘違いかも。響きの良い席とかはあるのだろうけど、素人なので、サッカー観戦同様に全体が見渡せる2階席を確保。

プログラムに目を通してまず驚いたのが指揮者の坂入さん。1988年生まれって、つい最近じゃんか。しかも慶應義塾大学経済学部卒業ですと? きっと、音楽もそれ以外も才能あふれる人なんだろうね。羨ましい……

開演前から奏者はステージ上でそれぞれの時間を過ごす、自分はあまり見たことのないスタイル。ヨーロッパ風なのかな。知らんけど。静寂になった後、コンサートマスターが入場。

さて演奏。

冒頭から弦楽器がべらぼうに上手い(語彙に乏しい)。ヴァイオリンが各4プルトで、弦は総勢30人くらい。少数精鋭なんだろうけど、これだけの腕前の人“だけ”を集めるのは相当に大変だったんじゃないかな。
ppからffまでとっても楽器が良く鳴っていたし、特にミュートを取り付けた時の囁くような音は非常に官能的で好きです。生まれ変わったらヴィオラ奏者かな。

金管も抑えの効いた演奏がとっても良かった。オケ全体の音量に合わせ、優しい音で音を溶け込ませるのは易しいことじゃないと思うのだけど、奏者のみなさん難なく吹きこなしていた。禿げそうになるソロも、自己主張しすぎず、でも繊細な音をホールに響かせていたのが印象的でした。
いぶし銀の集まり、と言ったらお若いメンバーにはやや失礼かもしれないけれど、そんな感じ。実生活では、そういう存在でいたいと思う。

さて木管。ソロもアンサンブルも、これまたべらぼうに上手い(語彙www)。おフランスの香りが醸し出されていたのは、木管の響きのお陰と言っても過言ではないと思う。フランスへ遊びに行ったことないけど。
それはさておき、アマチュアオケあるあるで曲ごとにパートチェンジをしているため、つまりほぼ全員にソロがあって、全員が全員「お見事!天晴れ!」な演奏。なかなかお目にかかれない。

最後は打楽器、ティンパニー。第二の指揮者と言われるだけあって、後方からオーケストラから支えていた、のだと思う。というか、オケに溶け込みすぎていて、どうやったらあんなに気配を消せるのだろう。忍者修行でもしていたのか?(違う)
縁の下の力持ち、とでも言うべきか。


曲ごとの所感は手短に。

フォーレとラヴェルは、とても心地よい演奏でした。前述の通り、弦のアンサンブルも管の各ソロも素晴らしく、「この響き、もっと聴いていたいぞ」と思っていました。ちなみに、同行した嫁さんは、あまりの心地よさに8割くらいは気を失っていました(笑)。

プーランクのシンフォニエッタが聴きたくて行った、というのもあります。大学生の頃にCDで聴いて、「何とも不思議な曲だなあ」と感じて30年。久々に聴いたのですが(あえて予習しなかった)、随所にプーランクっぽさ(何?)が出ていて、心の琴線に触れる演奏でした。
このオケで、ピアノ協奏曲や2台ピアノを聴いてみたいなあ……

コンマスを中心とした一体感は、単に練習を回数多くすれば実現できるレベルではなく、きっと中心メンバーに吸い寄せられるように集まった人たちなんだろうね。
見たところ、特に男性の頭髪から推測するに、大先輩が多いオケのように見受けられたけど、中高年になってもあれだけのレベルを維持して音楽を楽しんでいるのは本当に羨ましいと感じた次第。
そういう意味では、旧友も凜とした姿が本当に素敵で、取り巻きとしては30数年前に一瞬だけタイムスリップした気分になりました。

お疲れさまでした。誘ってくれてありがとね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?