【モジュラーシンセ】monsoonなど、 Mutable InstrumentsのCloudsクローンやグラニュラーシンセシス搭載機材について調べてみる
モジュラーシンセで非常に人気の高いメーカーに、mutable instrumentsというフランスのメーカーがありました。非常に残念ながら2022年ごろに廃業してしまいました。
このメーカーが素晴らしいのは、ソースコードや設計を公開していたことです。中でも非常に人気のモジュールにcloudsという、dspを使ったデジタルモジュールがあります。
主な機能はグラニュラーシンセシスやリバーブのようですが、裏モードが多数あるらしく、公開されたソースコードを元にそれらの機能を強化した派生モデル(clone機)がたくさん出ました。
非常にたくさんの派生モデルが出ていてよくわからないので、各種派生モデルをまとめてみます。また、cloudsがきっかけだったのか、グラニュラーシンセシスを使うハードウェアも多数出ているので、ちょっと調べてみました。
また、当方の所有しているclone機の一種、monsoonについても調べてみました。但し、ただ使ってみただけでファームウェアのインストール方法等は調べていません。ご了承ください。
とはいえ、、、当方モジュラーシンセを本格的に始めたのは2020年くらいからなのでら2015年からあったというこのモデルについてなかなか深くは語れなさそうなのでご了承くださいませ涙 またグラニュラーシンセシスも使ってる人は数十年前から使ってるので、今更感もあるかも知れませんが泣
当方はmonsoonという派生モデルを所有していますが、オリジナルのCloudsは触ったことないです。
オリジナルのCloudsはあまり中古でも見かけませんが、派生モデルは中古で結構出てきます。
Mutable InstrumentsのCloudsとは
Cloudsはモジュラーシンセの歴史的な名機のようです。
グラニュラーシンセシスをモジュールにしたことにより、サウンドをリアルタイムで加工できることが凄いのです。
あらかじめサンプリングした音でなく、リアルタイムに加工して再生し、かつcvでコントロールできるのはなかなかすごいですね。
さらに、前述のようにソースコードを公開することにより、各種の派生モデル(clone品)が作られることになります。
シンセサイザーにおけるDX7みたいなものですかね。
Mutable Instrumentsが廃業してしまったのがとても悲しいですね。(モジュラーシンセに限らず、電子楽器メーカーは廃業してしまうことがよくありますね。みんな機材でたくさん遊んでたくさん買いましょう)
Mutable Instruments 最後のモジュール Beads
なお、Cloudsをベースに、ハードウェアもソフトウェアもゼロから作り直したBeadsというモジュールがありました。2021年くらいに発売されたのですが、このモジュールを最後にMutable Instrumentsは活動をほば停止してしまいました。悲しい...
当方はBeadsも所有しています。Beadsはたまに中古で出てきますね。
Beadsには裏モードはあるのでしょうか。
グラニュラーシンセシスを強化したモジュールのようですが、自らで発音もできるみたいです。このモジュールもまだ使いこなしていないので研究しないとですね。
尚、Beadsには情報公開されたフリーコードをベースにした、clone品はありませんが、海外の掲示板の噂を見てると本来は情報公開される予定があったそうです。CloudsよりCPUかなど、相当中身が強化されているみたいです。
グラニュラーシンセシスって
これらのモジュールでよく聞くグラニュラーシンセシスですが、どのようなものなのでしょうか。古くは1980年代から現代音楽とかで使われていて、当初はmax/mspとかのソフトウェアで試されていたようです。2000年あたりからdawのソフトウェアシンセで搭載され始めた出始めた音響編集技法のようです。この数年でCloudsの普及などによって、モジュラーシンセや他にもハードウェアがジワジワと出ています。
サンプラーやディレイって、元の音を録音する機械です。グラニュラーシンセシスだと、その際にサンプリングする時間単位をもっと短く刻んで、並び替えたり再加工する、というイメージがあります。
グラニュラーシンセシスについて紹介してる記事をいくつかリンクを貼っておきます。
蠱惑の楽器たち 72. 電子音源の仕組み12 グラニュラー合成
記事の最後でグラニュラーシンセシスなどを搭載した機材を紹介しています。
ただ、グラニュラーシンセシスって、音は面白いんですが、演奏への導入がかなり難易度が高いように思えます。そのせいか、まだ導入されている機材も少ない気がしますね。もっと色々機材を触って可能性を見つけてみたいです。所謂音響派とかエレクトロニカでよく使われていたのでしょうか。
ふと気がついたのですが、Rolandのairaとかに搭載されているスキャッターって、グラニュラーシンセシスの一種かもしれませんね(グラニュラーとは名言してませんが)
あれもサンプルした音を細かく刻んだりする仕組みですね。
KORGのwavestationもサンプル時間が長いですが、サンプルを並び替えたりするので発想が似てるのかも知れません。
monsoonの使い方
当方が所有しているmonsoonはpushermanで購入したキットでした。parasiteというファームウェアがインストールされています。
このmonsoonですが、まず第一印象として、元のcloudsとuiが全く違う、といことがあります。中身や元は同じなのですが、cloudsでよく使われていた機能を元にしてuiを再設計し直したという感じがいたします。
(cloudsにあったpitchとblendつまみってどこいった?、と思ったら、、pitchつまみは tuneになったみたいですね)
また、このモジュールを通した音ですが、8bit audioモードの音がとても魅力的ですね。
なお、派生モデル含めて、こちらのページを非常に参考にさせていただいております。
monsoonの操作方法(ボタン周りの基本操作概略)
このpushermanのモジュールはparasiteというファームウェアが入っています。
(ファームウェアについては後述)
細かい各モードの操作は後ほどリンクを貼るマニュアルをご参照ください。
一旦、clockfaceのページを参考にして基本的なボタン操作だけ記載します。多分、displayボタンによるモード切替ボタンはどのモードも同じなのですが、freezeボタンはモードによって異なるかもしれません。
ディスプレイ(disp)ボタン1秒押し
サンプルレート切り替え
(1秒押してボタンを離すとサンプルレート切り替えモードになります。LEDが赤色に点灯します)
8bitaudioモードというのに、ここで切り替えることが可能です。音がLOFIでいいです。
ディスプレイ(disp)ボタン5秒押し
モード切り替え
(5秒押してボタンを離すとモード切り替えモードになり、ボタン押すたびにモードが切り替わります。ledがオレンジ色に点滅します)
下の各モードの説明で〇を並べました。
〇〇〇●
これは家のmonsoonのモード切替の点灯状態を表します。
●がオレンジ色の点滅状態という意味です。
※なお、マニュアルによってモード切り替えのLED表記が左右逆になっているものもあるようです。また、μBurstなど、他のclone機だとまたモード切り替えの方法が違うようです。
LOAD & SAVEボタンについて
LOAD & SAVEボタン(鉛筆マーク)を1秒長押しすると、記憶するメモリーをdisplayボタンで選んで、現在の状況を記憶できます。
LOAD & SAVEボタンを押す際、短く押すとロードになります。ただ、フィードバックした音が出て事故りそうなことが多いのでお気を付けください。(freezeボタンと連動しているようで、メモリーからロードされてしまうのでしょうか)
LOAD & SAVEボタンを数秒長押しするとどうもリセットされるみたいです。
という、ことらしいのですが、この辺りのメモリー記憶操作は正直はよくわかりませんね、、うまくやるとTRIGインプットと合わせて簡易的なサンプラーみたいに使えそうですが。
このメモリー周りのuiが強化されているTyphoonは使ってみたいところであります。
以下はcloudsモード(Granular Processor)での説明です。
モードによって多少使い方が変化するようです。
FREEZEボタン
FREEZEボタンを押していると、入力信号ではなくメモリー内のデーターを元に加工します。FREEZEボタンを押さない限りは入力信号が常に加工されて続けられるということでしょうか。
monsoon 各種のモード
モードごとに4つのスライダーやつまみの役割が変わります。
各モードの詳細な操作方法については下記や各種マニュアルを参照ください。
また、オリジナルcloud風にまとめているマニュアルもありました。
monsoon 各モードについて
各モードについて簡単な説明をまとめてみました。試し録りをして、Twitterにあげた動画へのリンクを貼っておきます。あまり違いがわからないかもですが、参考までに。
また、各モードの違いとスライダーですが、前述の細かい操作はリンクの資料を見ていただけたらと思います。下の4つのつまみはたいていのモードで変わりませんが、後半の一部モードでガラッと変わってしまうようなので要注意です。一番左のかかり具合調整と、一番右のリバーブのかかり具合調整はよく使いますね。
ぶっちゃけ、どのモードもよくわからないので、モードを切り替えつつ、適当にいじるのが楽しいのかもしれません。
1) Granular Processor
〇〇〇●
オリジナルcloudsにも搭載されている基本のモード。グラニュラーシンセシスができます。
2) Pitch Shifter / Time Shifter
〇〇●〇
まんまピッチシフターですね。
3) Looping Delay
〇●〇〇
高機能なデジタルディレイです。
4) Spectral Madness
●〇〇〇
サンプリングした二つの要素をモーフィングしたりできるらしいですが、正直よくわかりません。
以下2つはオリジナルCloudsには搭載されていなくて、他のファームウェアから搭載されたものですね。
5) NEW: OliverB – Reverb mode
〇●●●
高性能なリバーブのようです。これはなかなか面白いですね。
6) NEW: Resonator
●〇●●
ringsみたいな金属音を再構成できるモードのようです。
monsoonのいいところ
安くて比較的省スペースの割には高機能。
リバーブの音が物凄く良い。
各種モードが楽しい。
8bit lofiモードの音が好き。
clouds系モジュール複数台用意するだけで色々なことできそう
monsoonのイマイチなところ
やっぱり各モードの操作は難しくてよくわからない
(すぐ忘れる)特にメモリー記憶周りがわかりづらい
たまに物凄い爆音が出て事故りそう
偉大なオリジナルを作ったmutable instrumentsがなくなってしまったこと(このモジュールのせいではないですが)
cloudsの派生モデル各種について
cloudsから派生したクローンモデルがこのmonsoon以外にも色々あるみたいです。系列を図式化してまとめるとこのような感じでしょうか。
μBurstは省スペースでmonsoonと同じ機能を持つため、結構使ってる人が多いみたいです。
他にも何種類かクローンがあるのですが、monsoonとμburst以外のモジュールはあまり見かけないでしょうか。monsoonの操作性が大好きなので、Typhoonも今度キットで作ってみたいですね。(表面実装済みキットは慣れると楽です)
Typhoonは前述の、LOAD & SAVEボタンとメモリーボタンが独立しているようで、サンプル周りの操作性がだいぶ向上していそうな気がします。
Clouds派生機の各種ファームウェアについて
この紹介したClouds派生機ですが、インストールされているファームウェアが各種あります。
今回紹介したmonsoonにはparasiteというファームウェアが入っており、互換機で一番メジャーなファームウェアのようです。
μBurstなどもparasiteがインストールされていることが多いようです。
但し、たまにparasiteでもバージョン違いがあり、細かいところの操作に違いが出る場合もあるようです。
類似のモジュールや機材など
あまり意識してなかったのですが、モジュラーシンセのモジュールだとcloudsのようなグラニュラーシンセシスを取り入れているモジュールは色々出ています。
よくみると面白そうなモジュールが沢山あります。
ただ、モジュラー以外のハードウェアだと非常に珍しくsonicwareとarturiaが出しているくらいだけなのでしょうか。
いくつかリンクを貼っておきます。
qu-bit Mojave
qu-bitからもグラニュラーシンセシスモジュールが出ていますね。
砂漠の風と砂丘を意識してデザインしてるそうです。素敵なデザインですね。
instruo arbhar
instruoからも出ています。これもまたデザイン素敵ですね。マイクが内蔵されてるのが良さそうなのと、テープのようなデザインがいいですね。ただここのメーカーはなかなか高価です。(その分デザインと性能が良さそうです)
sonicware liven texture labs
sonicwareの小型低コストグルボのlivenシリーズからもグラニュラーシンセが発売されています。ハードウェアのグラニュラーシンセは実は珍しいので、色々使えそうですね。
デザインもとても可愛いです。
arturia microfreak
Arturiaの小型シンセ、microfreakにもグラニュラーモードが搭載されているようです。
元々はcloudsと同じmutable instrumentsのplaitsのファームウェアをベースに開発したみたいですが、独自のモードが入ったりしてるようです。
実際に触ったり所有していないので詳細はわからないのですが、、ご了承ください。
chase bliss audio mood mkII
最近素敵な高機能コンパクトエフェクターをたくさん出している、米国のchase bliss audioにmoodという人気のエフェクターがあります。mkiiもありまして、グラニュラーシンセも使えるようです。
1010music nanobox lemondrop
小型デジタルミキサーで有名な1010musicからもグラニュラーシンセシスを搭載した機材が出ていました。非常に小型で使いやすそうですが、見かけることがあまりない気がしますね。4音ポリでエフェクターも搭載しているようです。
Bastl Instrument MG MONOLITH(Microgranny Monolith)
モジュラーシンセ各種で人気のBastlからもグラニュラーシンセシスが使える小型サンプラーが出ていたのですね。これもあまり見かけないかも。
Tasty Electronics GR-1
オランダの電子楽器メーカー、Tasty Electronicsからもグラニュラーシンセのハードウェアが出ています。大きな液晶が気になりますね。
これもあまり見かけないかな。日本に正規代理店は今のところなさそうです。
GR-Megaというももう少し安いグルボ的なシンセも今度発売されるようです。
このメーカーのECR-1という大型デジタルモジュールはたまに見かけますね。
HOLOGRAM ELECTRONICS MICROCOSM
このエフェクターもかなり良いみたいです。
詳細なレポートを上げてる方がいました。
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