音楽は芸術か否か

ふと思ったことがある。
絵やアートは芸術というのに音楽は芸術と言わない事だ。
何故だろうか。
音楽も絵もアートも全て創作して表現するものだと言うのに。
何故音楽のことを芸術と言わないのだろうか。
音楽評論家がよく口にする
「これはまるで芸術です」
という比喩は何故比喩でありそのままの意味ではなのだろうか。
音楽は芸術では無いのだろうか。

体の五感から考えてみようと思う。
絵や、彫刻、陶磁器など芸術と呼ばれるものたちはそこに実在している。そして肌で触って目で見て感じている。
しかし音楽は肌でも触れないし、音を視覚で常に確認することは不可能だ。
しかしライブに行けば爆音のスピーカーから出る、「音圧」という肌へ伝っていくものがあるし、「周波数」というものを見れば音を視覚で確認することも出来る。
そもそも「楽譜」という美しいものがあるではないか。
ということは五感での感じ方による違いではないようだ。

じゃあ次に規模で考えてみようと思う。
音楽も含めた芸術の中で1番規模の大きいものはなんだろうか。
僕が思うにそれは音楽である。
音楽には本当に多種多様の楽器やジャンルがありがあり、国によってまるで違う。
日本だけでも、能楽から始まり、雅楽や浄瑠璃、吟詠や民謡、演歌など様々な音楽の歴史がある。
そこで自分が思ったのがこうだ。
音楽、もとい音楽家の母数が多くなり音楽は芸術から離れひとつのジャンルとなった。
そして同じく芸術家の中から音楽家が離れたと。
そう推測した。

私はこの時点で芸術と音楽の関係性について何も調べてはいないし、ただ自分の想像の中でふくらませた話を書いているだけなので真実はまだ分かっていない。
なので最後に芸術のWikipediaを見て答え合わせをしようと思う。

芸術とは、表現者あるいは表現物と、鑑賞者が相互に作用し合うことなどで、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動を表す。文芸(言語芸術)、美術(造形芸術)、音楽(音響芸術)、演劇・映画(総合芸術)などが、芸術の諸分野である。

Wikipediaを見る限りでは音楽も芸術の一部だったようだ。
では何故私のような考えを持つ人がいたのだろう。
小説などの文芸は芸術だと分かる。
絵画やアートなどの美術も芸術だと分かる。
演劇、映画などの総合芸術も芸術だと分かる。
では「音響芸術」という言葉が浸透していないのはなぜなのだろうか。
私が思うにそれは、人との距離感にあると思う。

芸術といえば先に何を思い浮かべるだろう。
絵画?骨董品?演劇?
一番最初に音楽や漫画、アニメという人は余りいない筈だ。
絵画に興味のない人が、美術館や博物館でみた、その人に取っては珍しい絵画を芸術と呼ぶ。
骨董品に興味が無い人が、ふとテレビをつけたらやっていたなんでも鑑定団に出ていた珍しい骨董品を芸術と呼ぶ。
映画なんて全く見ない人がたまたまテレビでやっていた有名な恋愛映画を見て芸術と呼ぶ。
何ら違和感はない。
少なくとも私たち日本人は「芸術」というものを偶像化しすぎている気がする。
だから身近にある「音楽」というものを「芸術」と結び付けた時に違和感が生じるのだ。
もう少し「芸術」というものの見方を変えてみると、新しい世界が開けるのかもしれない。

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