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あったかい世界

今日は結婚流産を経て、改めて気がついたこと、感じたことを記したいと思います。

R4.3月、私たち夫婦の間に、小さな命を授かり、初めて病院を訪れた際、先生からこんな質問をされました。

「あなたにとって、お産とは何ですか?」

私は、ゆっくりと内に意識を向けました。

「繋がり」

その言葉が、シンプルに心の真ん中にポンと出てきました。

私にとって、お産は繋がり。
言葉にすると、スーッと腹落ちしました。

先のnoteでも書いた通り、私たちのもとに来た小さな命は、お腹の中でお役目を終えて、旅立っていきました。

短い間ではありましたが、私たち家族にとってはかけがえのない存在であり、その命からもらったギフトは両手からこぼれ落ちるほど大きなものでした。

流産したことを記すことは、ためらいもありました。

「体調不良のため、しばらくお仕事をセーブします」と、理由を曖昧にすることもできました。

そうしなかったのは、あの時、病院で「お産は繋がり」と、自分の言葉として表に出していたからだと思います。

R4.4月、流産翌日、産院の先生は私の目をまっすぐに見つめ「立派なお産でした」とおっしゃいました。

もし、そのプロセスがなかったら、このことを公にすることはなく、無理をして普段通り仕事を進めていたかもしれません。

夫が検診に同伴していなかったら、私に対して、こんなに「✋STOP」をかけてくれなかったかもしれません。

「小さなお産とはいえ、お産はお産。
産後は気持ちがたかぶり、今は大丈夫そうに見えるかもしれませんが、これからまた徐々にホルモンバランスが変化してきます。
そのプロセスの中、体調の変化や感情面でも辛さが増すこともあるかもしれません。とにかく、しっかり休んでください」

先生からのこの言葉を、私以上にしっかりと受け取ってくれたのは夫でした。

夫は、私のスケジュールの見直しと、私の仕事を全てカバーするべく、すぐに調整を始めました。

夫が楽しみにしていた来月の海外出張や予定を全てキャンセルして、あっという間に、私の仕事を引き受ける段取りを整えてくれました。

「ここまでしなくても大丈夫。私は動けるよ」

思わず動いて、何かしようとする私を、何度も止めてくれました。

「命をかけてこの時間をくれた赤ちゃんのことを考えてね。
ちゃんと休んで。家族にとって、こっちゃんの体が一番大切なんだよ。
僕たち家族は、チームなんだよ」

これまで、わりと1人で気合いで何でも乗り越えてきた人生だったので、うっかり、これまでの感覚で乗り切ろうとしていました。

今回起こったことは「私」だけの話ではなく、「家族」の話なのだと気がつきました。

「家族」にとって、私はかけがえのない存在。
そして、私にとっても「家族」はかけがえのないもの。

実は、私たち夫婦は、ともに歩んでいこうと決めた時に、グランドルールを決めていました。

夫婦間のグランドルールは、聴きなれない言葉かもしれませんね。

グランドルールというのは、組織開発、講座を進めたり参加する上で、当事者が大切にしたいこと、ぜひ守りたいことを考えて合意した上で作った約束のことです。
運営側が作ることもありますし、当事者全員で作ることもあります。

これを、夫婦間でも作ってみました。

私たちは2人ともコーチです。個人から組織まで幅広く支援をさせていただいています。特に、チームや組織の関係性を扱う時には、一番初めにルールを作ることを大事にしています。このルールがあるのとないのでは、その後の関係性に大きな違いが出てきます。

そんなわけで、半年ほど前に、我々夫婦もグランドルールを持つと良さそうだねと、2人が大切にしたいことを盛り込んでつくっていたのでした。

私たちのグランドルール

夫がこれを改めて思い出させてくれました。しんどいとき、助け合って生きていくんだと思うと、すごく安心できました。

ここ数日、夫とこれまで以上に沢山話をしました。繋がりが、これまで以上に感じられ、関係性もより豊になったように思います。

温かい繋がりの中で生きるって、こんなにも安心できて、力が沸いてくるものなのかと感じています。

私は人生前半では、どこか「人は道具である」「人は駒の一つである」という世界の中にいたようなところがあるので、今の世界観がとても温かくて沁みます。

人を道具としてみたり、モノのように扱う世界ではなく、心から尊重して関わりあえる世界が広がっていくことを願っています。

本来、人はあったかいんだ。
家族、仲間、繋がりの全てが、そんなことを、思い出させてくれました。

とことんあったかい夫

大切な予定を調整してまで仕事を代わってくれた仲間の皆さんにも、心から感謝しています。代打をお願いするのは心苦しいと伝えた際に、こんなメッセージをくれました。

人生の大切なときに、何らかの支えになれることは、私の人生にとってとてもかけがえないことです。
心からそう思えたんだよね。ギフトを受け取ったような気持ちです。
だから心苦しいなんて思わずに、私が幸せそうにしている姿を想像してくださいね。
R4.4.27

こんな仲間と一緒に仕事が出来ているんだと思うと、すごく幸せで、嬉しいです。あったかい気持ちで胸がいっぱいです。

そして、noteを読んでくれたクライアントの方々からも温かいメッセージをいただきました。
今週いっぱいはセッションはお休みさせていただきたいことをお伝えすると、誰もが心からハグしてくれるような返信をくださいました。

ありがとうございます。
人って、あったかい。
心の底から、そう感じます。

昨今のニュース含め、日々さまざまな事が起こり、人は何故こんなにも分かり合えないのか悲しくなることもありました。
でも、ここ数日、こんなにも人はあったかいのかと、人の持つ根源的な深い愛を感じています。

ここ数日、私たち夫婦は皆さんからのお気持ちが嬉しくて、よく泣いています。

夫は人前で泣く人ではなかったのですが、徳さんがお空に旅立ったことを機に、スッと感情が表に自然に出せるようになったように感じます。
(徳さんについては先のnoteに記してあります)

徳さんのことをシェアした後、沢山の方からの「徳さん、ありがとう」の言メッセージをいただきました。その言葉を受けとると、たしかに、ちゃんと彼はこの世に居たんだという感じがして、私たちはすごく嬉しいです。

もし、流産のことを誰にも伝えていなかったら、私たち夫婦は悲しみの方に気持ちが向くばかりだったかもしれません。

もちろん、「悲しみ」の感情はとても大切で、私たち夫婦もその感情とともにいる時間を大切に過ごしました。

徳さんのことをシェアしたことで「実は我が家も…」というメッセージやコメントを沢山いただきました。お祈りや励ましの言葉も、ありがとうございました。

みんな、それぞれ乗り越えていらっしゃったんだと思うと、胸がギュッとなると同時に、命の尊さや愛を感じました。

ふと、夫が言いました。

「こっちゃん、お産は繋がりって言ってたよね。本当にそうなってるね。
温かくて力強い繋がり。みんなと、繋がっているね。
お産は、繋がりだったね」

今回のことで、自分自身、家族、そして沢山の人の想いとの繋がりを感じました。それを、感じられたこと、思い出せたことは、私の人生においてとても大きなものとなりました。

この気持ちを、感謝とともに記しておきたく書きました。
改めまして、皆さんありがとうございました。

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