見出し画像

ノンアル・ビアハンター #ERDINGER ALKOHOLFREI

ドイツ・ヴァイスビアの名門、ERDINGER のノンアル銘柄 ALKOHOLFREI を飲みました。小麦のノンアル系ビール!

先日の GW時期、新宿オクトーバーフェスト( 4/22 - 5/23 )に関するアナウンスがネットで取り上げられ、反響を呼んだ。曰く、件の緊急事態宣言を受けて、4/26以降、同イベントではビールを初めとする酒類に関しては一切を持ち帰りのみでの提供とする......つまり、会場でビールを飲めない、ということだった。

時節柄、また感染防止の実際においてもやむ無しとはいえ、ビールの祭典でビールを飲めないというのは何とも痛恨の事態であり、多くのビールファンが悲鳴をあげたのも当然だ。自分は行くことができなかった。厳しい環境の中、それでもイベントをやりきった関係者の方々には、本当に御苦労があったと思う。

宣言の延長も検討される中、今後のオクトーバーフェスト開催も予断を許さない状況だろう。

自分は毎年、横浜赤レンガ倉庫のオクトーバーフェストには必ず行っている。上記とは別の主催で、赤レンガのオクフェスは10月開催。年に3回行った年もあるくらいだ。電飾でキラキラ輝く老舗各社の看板のもと、メルツェンを初めとする伝統的スタイルを味わうのは最高だ。普段、人前でのダンスなど考えただけで赤面する自分でも、会場で生演奏される懐メロ洋楽にあわせて身体を揺らしたい気分になる。ラガーやヴァイツェンを飲み疲れたら、合間にクルー・リパブリックのエールやホットワインを挟むのも良い。海風に吹かれる屋外スペースは、もう夜には肌寒い時期。

カッコよくてイカつい固有名詞が並ぶドイツ各社のブースに混じって、赤レンガのオクフェスには地元横浜ビールやサンクトガーレンも出店する。思えば、サンクトのNEIPAを2回目に飲んだのもオクフェス会場だった気がする。透き通っていて苦味もあった当初バッチと比べて、今時の Hazy ちっくなミルキーさに様変わりしていて、驚いたものだ。

場所柄もあり、ナンパ目的の若いサラリーマンどもを見かけることは年々増えていた気がする。だが、不埒な連中のことは知ったことか。あの場所では一番飲んで一番酔っぱらい、一番場所を面白がる事こそが最高だ。そういう風に錯覚させる雰囲気が、あの、ボン・ジョビやらボーイズ・タウン・ギャングやらが響きわたる、妙に湿度の高いオレンジのテントにはあるのだった。

思い出に浸ってしまう。'19年までの盛況が本当に懐かしい。昨年の開催は見送られたが、今年も、となると本当に残念。秋までには何とか事態が落ち着いていることを祈るばかりだ。

さて、最近では欧州産のノンアルコールビールを目にすることも増えてきた。特にビール大国ドイツは、ノンアルコールビールの分野でも大国であり続けるのだろう。よく見かける銘柄といえば、ヴェリタスブロイあたりだろうか。ピルスナーを原型とした綺麗な味のノンアルコールで、美味しく飲める。カルディで手に入るお値打ち品だ。

今回、通販で買って初めて飲んだのが、ヴァイスビアの名門・ERDINGER が手掛けるノンアル銘柄。造り手が造り手だけに、特色は小麦を使ったノンアル系ビールであるという点。また、レモン、グレープフルーツの果汁入りもラインナップしている。せっかくなので、全種類いただいた。

ALCOHOLFREI / ERDINGER

外観の時点で、モコモコの泡と明るく鮮やかな黄金色が目を引く。これだけで通り一辺のノンアル系とは一線を画している。

繰り返しになるが、何と言っても小麦を使ったノンアル系ビール(※ Alc.0.4%)だ。泡持ちはアルコール有のヴァイツェンほどよくないが、鼻を近づけるとパンを想起する香り。ひとたび口に含めば、ふくよかで優しい麦らしい甘味が幸福をもたらす。テクスチャも水っぽくなく、一定の質量感を以て口に広がり、味と相まってボディのしっかり感を発現している。こう書くと濃厚一辺倒に見えてしまうかもしれないが、飲み口はスムース、後味はクリアだ。「コク」がありつつもバランスがよい。

ヴァイツェンのような外観から期待されるフェノーリックさと酩酊感こそ無いが、胃と心の満足感はナカナカのもの。自分はそもそも、小麦のビールを大ぶりなグラスで飲んで、腹をいっぱいにするのが大好きだ。ソーセージやアイスバインを食べる余力を失っても、ヴァイツェンで腹を満たすのが幸せだ。ヴァイツェンボックなんかのガツンとくる感じも合わせて楽しめれば、なお素敵だ。ノンアルコールビールを大量に飲む機会と言うのはそうそう得られるものではないが、果たしてこの ALKOHOLFREI を多量に飲んだとき、あの独特の満足感を得ることができるだろうか。そんなことを考えたりした。

以前も書いたが、海外のノンアル系ビールは一度ビールとしての発酵を経た後でアルコールを除く方式で造られている。日本では最近、 BEERY が同方式で売り出している。そういえば BEERY も小麦系バリエーションを出す予定があるらしく、今後の広まりが楽しみだ。

ALCOHOLFREI LEMON (Zitrone) / ERDINGER
ALCOHOLFREI GRAPEFRUIT / ERDINGER

ビアカクテル的な文脈を感じる、フルーツバリエーション。レモンのほうは一口目はレモネードのような風味と少しの酸味、徐々にモルトと相まって「午後の紅茶」のレモンティーのようなテイストを感じる。甘味はノーマルタイプよりもヘタっとした感じ。グレープフルーツのほうは、かなり果汁感が強く、爽やかに甘くて飲みやすい。クラフトビールを飲んでいて感じがちなグレープフルーツの「皮」感とは違う。鮮やかな果肉色もあり、ノンアル系ビールの文脈と言うより独立した清涼飲料として楽しめた。

今回の新宿オクトーバーフェストの会場でも、ALCOHOLFREI は飲まれていたようだ。代替物的な文脈であっても、SNS上には美味しさを称賛する投稿が見られた。アルコールに見合わないスポーツやアウトドアの場面でも楽しめるのが、ノンアル系が真価を発揮するところ。ビールを飲むイベントの復活だけでなく、そういったアクティビティ全般が堂々と開催される世の中が待ち遠しい。行きたい場所のリスト、そして連れていきたいビール、ノンアルのリストは、増えるばかりだ。

あんまり関係ない話。

テレビ東京系列で放送中の深夜アニメ「ODDTAXI」が面白い。夢中で見てしまった。ゆるめで可愛らしい動物キャラが織り成す、タクシードライバー × タランティーノ × 園子温的現代日本な、ハードボイルド群像劇・・・といっても漠然とした説明にしかならないが、ピンとくる要素がある方は是非ご覧あれ。アマゾンプライムにもあります。

以上

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?