エンタープライズISの「職人芸」を言語化してみたよ

はじめに

SmartHR Inside Sales グループの446 / よしむ(@446)です。

現在、SmartHRのインサイドセールスは企業の従業員人数によってに3つのTierに別れており、私はエンタープライズユニットに所属し従業員数2,001名以上のいわゆる「大企業」の商談機会を創出することをミッションとしています。

インサイドセールスの体制について詳しくはコチラを参照ください。

そして自社、他社問わず「エンタープライズの攻略は職人芸」と「型化はできない」と耳にすることが多く、SmartHRもエンタープライズユニットは比較的職人気質なメンバーが多いかも。

一方で「エンタープライズのメンバーってこれが自然にできているんだよね」と共通する部分があり、今回のnoteではSMB、MMBと比べた時にエンタープライズのインサイドセールスでより大切になる考え方を言語化してみます。

前提:「顧客の解像度を上げる」は全ての規模で必要

インサイドセールスは、マーケが獲得したリード(顧客情報)へアプローチし、お客様とのコミュニケーションを通してマーケ段階で得られていない顧客の情報を集め課題を特定し、SmartHRで解決できる場合には商談をセットします。

では、エンタープライズとSMB、MMBがどう違うのか?
それは、顧客の解像度を上げることの難易度だと思います。

解像度が上げられない → 課題の特定ができない → 解決策の提案ができない → 商談が取れない

エンタープライズに初めて取り組む方は、☝️のような良くない流れにはまりやすいのではないでしょうか?

大企業ならではの複雑さ

・人事領域でも業務が細分化されているので、企業の全体像を把握するために複数の担当者様からヒアリングをさせてもらう必要がある
・同一企業で複数の担当者様リードがあり、誰にアプローチするのが適切なのか分からない
・システム検討に関わらない方から得た情報で誤った判断をしてしまう
・そもそもリードがない
・企業独自のオペレーションがあるケースが多い
・グループ企業やシェアード企業などシステム導入に関わるステークホルダーが多い
・すでに競合製品が導入されていて、ニーズを顕在化できない

書き出すとキリがなく、上記のような複数の要因により解像度を上げる難易度が高くなります。さらには企業の担当者様自身(レイヤー問わず)も、上記の複雑さにより「解決した方が良い課題」に気付いていらっしゃらないケースも多いです。誰も何も分からない状態。

結論、「頑張って接点をたくさん作ってできるだけ情報を集めて、解像度を上げましょう!」という話なんですが、次に解像度の上げ方のコツをあげてみます。

企業の解像度を上げる7つのコツ

①業界特性や企業情報から課題を仮定する
②リード情報やインターネットの情報から担当者様の役割を想像する
③担当者様の業務領域を知る
④部門毎、さらには部門内セクション毎の立て付けを知る
⑤導入中のシステムを知る
⑥業務オペレーションを知る
⑦グループ企業、シェアード企業との関係性を知る
※担当者= 実務担当者、ではなく相対する方(すなわち全レイヤー)の意

え、当たり前やん...それだけ?と思いますよね。

もちろん1人の担当者様から、または1社から①〜⑦全ての情報を取得できて商談がセットできたら最高ですが、そこが難しいのがエンタープライズ。

まず、👇を前提として持つ必要があります。
エンタープライズは1人から得られる情報は少ない
・1人にNOと言われても、NOじゃない場合がある
・関連会社A社にNOと言われても、関連会社B社から活路を見出してグループ全体検討へ繋がる場合もある
・インサイドセールスだけじゃ引き出せない情報もある(クロージングに託す)

大企業の「人事部 部長」に「うちは完全に効率化されているから不要」とご回答いただいたけど、別の担当者様にアプローチしてみたら実はその部長は「教育」の部長で、労務領域は管掌外の方だった。
実際にこのようなケースは往々にして発生します。

また、SMBやMMBで自然に回収できていた情報でも、エンタープライズでは情報の取りに行きかたを工夫しないと絶対にサクセスできません。(断言)

どうやって情報を集めるのか?

リードがない場合、アウトバウンドコールや手紙、懇親会への参加、社内外のコネクションを活用など様々な手法がありますが、「接点が持てそうであればとにかく動く」に尽きると思います。(①〜②で仮説を立てて実行する)

リードがある場合、①〜③は確実に実行できるので、まず「この方にはhogeの部分でお力添えできるかも。hogeについてもお伺いしてみよう。」と仮説を立ててアプローチをします。

■ 「この方はSmartHRで提供できる領域とは別領域のご担当だな」→ 「この方での商談獲得は難しいな」と判断した場合

④がお伺いできたら:次のアプローチ先を特定できる、または別の方に繋いでいただける
⑤がお伺いできたら:SmartHRで解決できる潜在課題を特定できる、それを伝えて担当部署に繋いでいただける
⑥または⑦がお伺いできたら:別企業へのアプローチが必要かどうかの判断材料になる

といったように、解像度を上げるための情報は得られます。1日の会話で発するワードTOP3に「ちなみに...」が入るくらい、接点を持てた担当者様から色々なことを教えてもらっています。良い情報を教えていただくための質問を複数パターン持っていると安心です。

☝️をひたすらに、さまざまな角度から行うことで商談獲得にじわじわ近づくことがエンタープライズならではの醍醐味。コツコツと地道なプロセスですが、受注した際に1社から得られるインパクトは大きいので労力だけで割り切るのはナンセンスかなと思います。( 一方で予算未達はさらにナンセンスなので、複数社で☝️のサイクルを回せるだけの基礎力も必要)

■商談獲得ができた場合
商談が獲得できた場合も、①〜⑦のヒアリングからBANTP(P?)情報の肉付けや他部署の巻き込み依頼を行い、より良い商談を目指します。

が、IS段階で情報を引き出しきれない場合は商談での深掘りをクロージングに託します。(どうしても接点を作りたい企業だとシステム体制などから潜在ニーズを見出せたら、「サービスご紹介アポ」をさせていただく場合も。)

ここで大切なのは取得できた情報の粒度や、情報を取得できていない理由は様々なので、できるだけ齟齬がないように伝えること

ちなみにBANTPの「P」は、クロージングから「プロジェクト化しているかどうかを事前に把握したい」という要望を受けて付け加えた項目です。
エンタープライズは案件によって初回商談の温度感に差があるので、顧客・IS・クロージングの認識を合わせる良い項目として機能しています。

【ISでBANTPを埋められなかった場合の申し送り例】画像1

☝️のフリーテキスト部分以外にSFDCにデフォルトでセットされているヒアリング事項があり、全てはISの解像度をクロージングへ引き継ぐために記載しています。

まとめ

エンタープライズは職人芸と言われがちですが、インサイドセールスとしてやるべきこと・やっていることの本質はSMB、MMBとなんら変わりません。

ただ、企業規模による複雑さやアプローチ手法の多様さにより、成果を出すために求められる知識量や想像力、実行力の水準は高いと言い切れます。

そして受注までの道のりはさらに複雑なため「初回商談セットでISの仕事は終わり」ではなく、クロージングと連携しながら新たな突破口を見つけてご検討を進めることにも貢献できれば、全社一丸でお客様の解像度を上げられる → お客様がSmartHRにより良い価値を感じてくださることに繋がるのではないでしょうか!

やっぱりまだまだ伸び代しかないSmartHRのインサイドセールスグループなので、☝️にチャレンジしたい方がいらっしゃれば是非是非お声がけくださいませ!

(マーケの獲得してくれるリードに対して、人が足りていな〜〜〜い!)


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