漫才「彼女を助ける」

（※ツ→ツッコミ）

ボケ　どうも（コンビ名）です。よろしくお願いします
ツ　　よろしくお願いします
ボケ　突然だけどさ、俺は自分の彼女が危険な目に合ってるときは、どんなことがあっても絶対に助けられるような男になると決めてるんだ
ツ　　お～、それはいいことだね
ボケ　そうでしょ？
ツ　　でもお前、彼女いたっけ？
ボケ　いや、4年前に振られて、今はいない
ツ　　なんで振られたの？
ボケ　う～ん多分、「キモかったから」とかかな
ツ　　？！（2，3歩後ずさりして、何をしたの？！っていう表情）
ボケ　まあ前の彼女の話はいいのよ
ツ　　いやだいぶ気になるわ！
ボケ　これからの話をしようよ
ツ　　じゃあ、危険な目っていうけど、例えばどういう状況を想定してるの？
ボケ　例えば、大好きな彼女が車に轢かれそうになった時、俺は絶対に自分の身を挺して彼女を助けようと決めてるの
ツ　　ああ、それはかっこいいね。自分が身代わりになって、たとえ死んだとしても彼女を助けるってことね
ボケ　そうそう
ツ　　うん、良いと思う
ボケ　でしょ？
ツ　　う～ん。でもお前ってそんなカッコいい人間だったっけ？
ボケ　え？
ツ　　お前ってそんな聖人みたいな人間じゃないと思うんだよね
ボケ　なんで？
ツ　　お前みたいなガリガリで喋り方もボソボソしてて顔色も悪いストーカーみたいな人間がそんなことできるわけないと思うんだわ
ボケ　、、、かわいそう
ツ　　自分でかわいそうとか言うなよ！申し訳ないわ！せめて反論してくれ！
ボケ　わかったよ
ツ　　だからとりあえず、お前はそんな聖人みたいな人間じゃないだろうってことよ
ボケ　いや、俺は聖人だよ
ツ　　そうなの？
ボケ　うん
ツ　　じゃあさ、その大好きだった彼女が、お前が死んだ後に、また新しい彼氏作ってもいいの？
ボケ　いや、それはダメ
ツ　　なんで？お前聖人なんだろ？
ボケ　うん
ツ　　だったら新しい彼氏作っても許してやれよ。新しい彼氏がいた方が、彼女のこれからの人生のためにも、いいんじゃないの？
ボケ　だって、新しい彼氏を作ってる暇なんてないと思うよ
ツ　　なんだって？
ボケ　俺が死んだあと、その彼女は、新しい彼氏を作ってる暇なんてないの
ツ　　どうしてだよ？あるだろ
ボケ　まずね、彼女には、俺が死んだあと、俺のお墓を作ってもらうの
ツ　　うん
ボケ　それで、毎日墓参りに来てもらうから
ツ　　毎日！？
ボケ　うん。だって、身を挺して命を守ったんだから、それくらいしてもらわないと
ツ　　毎日って、それいつまで続くんだよ？
ボケ　一生
ツ　　一生！？お前彼女に一生自分の墓参りさせるの！？しかも毎日！？
ボケ　そうだよ
ツ　　例えば、その彼女が仕事忙しくて夜遅くまで働いた日も？
ボケ　うん
ツ　　もし地震とかの大災害に巻き込まれて、避難しなきゃいけない日も？
ボケ　うん
ツ　　お前どこが聖人だよ！そんな地獄の毎日ならむしろ死んだ方がましだろ！
ボケ　そんなことないだろ。命が一番大切なんだから
ツ　　そりゃそうだけど！でもさすがに毎日墓参りはやりすぎだって
ボケ　そうかな？
ツ　　せめて墓参りは1年に1回だろ！
ボケ　う～ん
ツ　　毎日墓参りは勘弁してやれって
ボケ　じゃあ、毎日墓参りは辞めて、別の事をしてもらうしかないか
ツ　　別の事？
ボケ　うん
ツ　　例えば？
ボケ　例えば、毎日腕に2キロの重りをつけて生活してもらうとか
ツ　　お前何にも分かってねえよ！そんなことして何の意味があるんだよ！
ボケ　俺の愛の重さを理解してもらうんだよ
ツ　　そんな無意味なことするならまだ墓参りの方が理解できるわ！あと毎日っていうのやめろ！
ボケ　毎日っていうのがダメなの？
ツ　　てか見返りとして何かをさせるな！無償で助けてこそ意味があるんだろ！
ボケ　じゃあもう何もさせない！これでいいんだろ？
ツ　　そう、それでいいんだよ。それでこそ聖人だよ
ボケ　その代わり、新しい彼氏作ったら、俺が呪い殺すけどね
ツ　　いややっぱ聖人じゃねえよお前。もういいよ。
ボケ　ありがとうございました