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さいご:5歳の娘と500円

お金の価値をまだ知らない5歳の娘。今年の正月、初めてお年玉をもらい意気揚々と買い物に出かけた娘の話である。自分が欲しいものが買えないショックを抱えながら、どうやって気持ちを切り替え買物を全うできたか、そんな話を書いてます。

オモチャ売り場では、欲しいと思ったモノがことごとく500円以上だった。500円の価値があまりにも小さく感じた娘。500円の価値が低いわけではないけれど、このままだと価値を誤解してしまうかもしれない。そう焦った私は、娘を連れて今度は100円均一に向かった。

「ここは全て同じ金額で買えるんだよ。」「108円で買えるから、500円持ってれば4つは買えるよ」そう娘に伝える。「そうなんだー!!!」「ここにあるものは買えるんだね!」喜ぶのも束の間、娘はキョロキョロとお店の中を見回しながらお店の中に消えて行った。髪飾りや折り紙、縄跳びやオモチャの数々。「これも買える?」「これはどう?」と何度も聞かれる。「大丈夫、108円だよ。」と伝えると安心したようににっこり笑ってまた別のものを見回す娘。頭では分かっていても、やはり買えるかどうかを確かめたくなるようだ。

何度も商品を手にとっては戻す、を繰り返した後、娘が買うと決めたものは「おもちゃの刀」だった....。鬼滅の刃にはまっている娘ならではの選択である。「まだ買えるよ。他に何か買う?」と聞いてみるが、堅実な娘は「今日はこれでいい。お金がなくなっちゃうといけないから。」とそっと教えてくれた。

レジに並ぶ娘を少し遠くから見守る。片手に刀のおもちゃ、もう片手には肩からかけたお財布ポーチを握りしめ、前のお客のレジでのやり取りをじーーーっと伺っている。お金を出すタイミング、レジのお姉さんとのやり取りなど、心の準備をしているようだ。その後、しっかりとレジで200円を渡し、92円のお釣りとレシートをもらう。

お釣りを落とさぬよう、ゆっくりゆっくりお財布に戻し、レシートをクシャクシャっと握りしめながら、安堵と自信が入り混じった表情で、私の元へ走ってきた。

「ちゃんと買えたよ!」「沢山お金もらっちゃった!」そう弾んだ声で説明する娘は不安から解放されて自信に満ちた表情をしていた。まだおさまらないドキドキした胸の鼓動も聞こえてきそうだ。そんな娘に「すごく上手にお買い物できたね!」と私も褒めちぎって、仲良く手を繋いで家路に着いた。

お金が増えたわけではないけど、それを説明するのは家に帰ってからにしよう。今はこの達成感を娘が味わえただけで十分だ。これをきっかけに、楽しみながらお金との関わりを少しずつ増やしていければと思っている。



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