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タイトル未定 六拾四
「今の音はなんだ…!」
公園で例の戦闘が始まって数分。ミュウちゃんと任務にあたっていた青年は爆発音とも分からない音と共に空が青白く光るのを目撃した。距離にしてそう遠くはないだけに彼の心を警戒心が満たしていく。何があったったんだ、と。
「明らかにヤツらのパターンじゃないよねー。」
「ああ。あんな爆発的エネルギーを持ったやつはこちら側にもあちら側にもいないと思うが…。」
(俺以外のやつらもこの
タイトル未定 六拾三
「「この気配…久しい…久しいのう…。」」
恐らく事切れただろう青白い小山をを背にニイッと犬歯を剥き出して笑う。先の攻撃で出来た凹みの真ん中、少し息を整えるイツムネさんの足元にクチナワとは明らかに異なるヤツがお狐様の視界を通して入ってきた。しかし「同種」である。白い体毛と紅い眼を持ち尖った耳を持つそれはどう見ても「狐」そのものではないか。
「…何か感じるから依代越しに主張して、いざ出てみたら…相
タイトル未定 六拾二
距離を詰める両者。その伸びてきた首をお狐様はまたもや拳でぶん殴る。本当に俺の体だよな…?これ。打撃を与える度に地面は沈み足場が悪くなっていく。
「「そろそろ終いにするかのう…!」」
お狐様は中段に御神刀を構えると土煙モクモクの中静かに意識を集中する。体の内、芯の芯からふつふつとエネルギーが昇ってくる。お狐様が作ったイメージなのか、青い灯火がゆらゆらと揺れそれが段々と膨張していく画像を俺も共有す
タイトル未定 六拾一
「生きる、奴ら、憎い、肉体、肉?、食べる、また、生きる、やる、事、やる」
ゼェー…ゼェー…と単語単語で自己語りを始める。見たところ目と思われる部分は見当たらないが、体長の違いに半歩ほど後ずさりしたくなる。血溜まりの中で唾液を垂らしながら2人を品定めでもするかのように頭を不規則にクネクネと動かす。
「オマエら、食べる、美味そう、チカラ、欲しい…!」
半芋虫は口をグパアと開きその長い胴体を伸ばし
タイトル未定 五拾九
ここが特A地域らしい。さっき通って来た都会の部分が表ならココは裏。まばらな建物の灯り、遠くの方には団地のような建物も見える。空と同じ黒色の御神刀に目をやる。キーンと冷たいそよ風に倣ってカチャカチャと揺れている。さし直し押してイツムネさんをチラと見る。
「着いたね。」といつもの口調。腰の巾着を開き依代の枚数を見ているのだろうか。巾着は程よく膨らんでいる。それほどなのだろうか、と少し考える。
「…
タイトル未定 五拾八
イツムネペア(仮称)とは違い、青年はミュウちゃんとニコイチとなり特A地域を目指す。場数を踏んでいるため裏路地を通りながら。所々、居酒屋の赤提灯が灯る。誘惑には目もくれず武装した2人はひた歩く。
「あのふたりさー、大丈夫かなぁ?」
拳銃は剥き出しで携帯するな、とあれほど教えたにも関わらず人差し指でクルクルと慣れた風に回しながら。何か喋らなきゃ気まずいんだよね、とミュウちゃん。
「イツムネがつい
タイトル未定 五拾七
クラブが入る雑居ビル、有名なデパートなど様々な建物が乱立するここを、片側3車線の幹線道路が貫いている。賑わいをみせていた大通りもひっそり静まり返り、数台の車が行き交うのみとなった街の夜の顔。イツムネさんとブティックが入ったビル沿いを歩く。寒い。
「いやー。まいったね。今夜の冷え込みは厳しいね。下に1枚着てくればよかったなぁ。」
マネキンの横を2人、白い息を吐きながら通り過ぎていく。もちろん、自
タイトル未定 五拾六
「うわー、まーた特A地域じゃん。上は危険な所に行かせるのほんと好きだよねー。」
部屋が暗く、顔までは見えない。自分の左のほうからそんな呆れ声が聞こえてくる。詳しくは分からないけど、単語から察しはつく。というか、ほんとにあれよあれよと言う間にだから何も分からない。
「各自、装備はしっかり整えて来ただろうな。できるだけ使って欲しくはないが、やむを得えない時はある。そういう時は惜しみなく使ってくれて
タイトル未定 五拾五
拉致された、というと語弊がある。タテナシさんに拉致されて色々あった夜から数える事2回目の夜がやってきた。静かな白い天井が視界いっぱいに広がる。起きると時間を確認するのが癖なのだが、寝ぼけまなこに時計を探してもそれらしき物は見当たらなかった為、空の色で時間を推測する昔ながらの方法を取ることにする。
「ん゙ーっ」と伸びを1回。欠伸を1回。自分を中心に流れていた遅い時間の流れが、次第に今の時間の流れに
タイトル未定 五拾四
歓迎会はその後おひらきとなり、各自解散、夜まで指示待ちという形を取ることとなった。イツムネさんの他にも談笑した人はいるが、全員について語ると永くなるので割愛させて頂く事にする。
さて。
あの青年に教えて貰った部屋に向かう。同じフロアにあるらしいその部屋は1人ずつに割り当てられるものらしい。と、言うよりかは皆帰るべき家はない(かなり前のページ参照)のでそこが家となる様相だ。社員寮というか何という
タイトル未定 五拾三
イツムネさんとはその後、食べ物をツマみつつ談笑という状態に流れていき、現在進行形。お皿が空くと自分の箸を使って手近な食べ物を取ってくれる。そんな彼女に笑顔で感謝の意思を伝えつつ。
突如イツムネさんは、こんなものを出してきた。
「君はこれを知っているか?」
白いパリッとした紙には赤い墨?で殴り書きがされている。そしてもう1つは人型をした紙のようだが…これは果たして?ローストビーフを食べながら目
タイトル未定 五拾二
一瞬の抵抗を見せた後、口内でプチトマトが弾ける。独特の青臭さと血のような味。甘さは感じられない。烏龍茶で流し込み、オードブルに盛り付けられたローストビーフに手を伸ばす。ホースラディッシュも添えるという通好み仕様。
「うまっ…!」
肉肉しさの中にホースラディッシュのピリリとした刺激が味の輪郭を明確にする。肉にかけられているタレも主張せず、肉の引き立て役という位置だ。
(生焼け肉がこれほど美味と
タイトル未定 五拾一
(何とかせぬか!童!)
芸能人の如くもみくちゃにされ、頭を撫でられたり耳を触られたりと異例の歓迎っぷり。知らない人達がパーソナルスペースにいるというのもあるが、人が密集しているので段々熱くなってきた。
「んあー!!」
全身に炎を灯し、両腕を振ってなんとか払い除ける。幸いどこにも引火してはいないらしい。各々驚いて後ずさる。炎は何故か灯った。意思を持ってやってはワケではなく、払い除けてからあぜん
タイトル未定 四拾九
残りはまだ30個近くある。バンバン開けてくぞ…!
と、いうわけで6個目(106)です。
お馴染みの、金属音を出しながら扉が開く。すると、中には長方形の木箱が斜めになって入っている。無機質な金属のロッカーの中に暖か味のある木箱という組み合わせに何故かぐっと引き寄せられ、その木箱を正面にして起こしてみる。重さはそこまで重くはない。上と下に分かれていて上が蓋になっているらしい。起こしてからココじゃ開け