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20240302-0308


三月二日(土)
 言霊があるのなら、私は私に呪いをかけ続けているのだろう。
 産直にて、キャベツ、菜の花、ほうれん草、大根。スーパーにミモザの束が売っていたので買ってきて花びんに生ける。あかるい色。部屋の中が一気に春らしくなる。
 菜の花を水に放ち、トマトを切り、人参をラペにする。菜の花、ブロッコリー、トマト、ベーコンをオリーブオイルで蒸し焼きにし、茹でたペンネと絡める。冷凍していたパンを焼き、添える。
 夜は菜の花に豚肉を巻いて焼く。

三月三日(日)
 うつくしいものはなくなってしまう。
 そうでないものはいつまでもあり続ける。
 午前中、いつか使い道があるだろうとため込んでいたお菓子の缶などを使い、冷蔵庫の上と食器棚を片づける。ヨーグルトビスケットを焼く。ほうれん草を洗いゆがく。キャベツは洗ってちぎり、油あげと味噌汁にする。たまごやきを焼き、ゆかりと黒すりごまのおにぎりを握る。
 おやつは午前中に焼いたヨーグルトビスケットに、ロミユニのキャラメル・ブルターニュをのせる。贅沢な甘みとかすかな苦み。口の中がいい香りで満たされる。
 夜、鶏肉と新じゃがを焼く。

三月四日(月)
 労働。帰り道、あたたかく、あかるく、かなしくなる。私は黒い上着に黒いズボン。
 晩ごはんは鶏の照り煮、ほうれん草の梅おかか和え、キャベツのごまマヨ、人参ラペ、大根人参油あげの味噌汁。

三月五日(火)
 つめたい雨。

三月六日(水)
 休日。朝からくるみのクッキーを焼き、トマトを切り、人参をラペにし、ほうれん草をオリーブオイルで蒸し焼きにする。ほうれん草はつやつやに仕上がる。Rさんへの手紙を半分清書する。牛そぼろを混ぜたおにぎり、ほうれん草のたまごとじ、トマト、海苔の味噌汁で昼ごはん。
 ご自愛という思考も、実行することも苦手なのだけれど、自分で自分のためにご飯をつくり盛りつけ食べるということは大切だなと思う。食べるということは、生きることを許可することになるのだし。
 許可?
 夕方、ポトフを仕込む。大根人参キャベツベーコン。塩と、オリーブオイルだけで。月並みな表現だけど、びっくりするくらい野菜があまい。
 変わりたいのか、変わりたくないのか、死にたいのか、生きたいのか、さむいのか、あついのか、眠たいのか、空腹なのか、欲しいのか、何もわからないな、と思う。

三月七日(木)
 帰り道、あたたかい。行く時は寒いので、服装がそぐわない。軽装で自転車を漕ぐ若い人たちを見て、いいなあと思う。

三月八日(金)
 私は私のつくったものがたりの中で生きている。

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