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20210316


朝食の準備をしている途中、パンを焼くための魚焼きグリルをあたため、牛乳をあたため、ふと振り返るとチューリップの花が壁にもたれていて、そこに曖昧な朝日が曖昧に注いで曖昧な影をつくっていた。
壁にもたれていて、と書いたが、もたれさせたのは私だ。くったりと頭を垂れる姿もいいのだけれど、花瓶が倒れたらいけないなと思い、壁にもたれさせていた。その、自然にもたれたのではない感じ、その姿勢にさせた張本人を、じっと見つめている感じ、見つめられている感じ。静かな視線。

小川洋子『シュガータイム』を読み終えた。よかった。林真理子さんの解説もよかった。
昔は本を読んでいて、終盤にネタ明かしをされると「なるほどそういうことか!」と嬉々としていたように思うけれど、最近は「言うてくれるな」とかなしく思う。推理小説以外は種明かしをしてほしくない、こちらで勝手に考えるから、という気持ちになる。置いてきぼりにしてほしい。


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