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20230521-0525

五月二十一日(日)
 先週は抜歯後でぐったりとしていた。痛みはそれほど感じないのだけれど、穴が深く治りが遅い。
 ご近所さんから袋いっぱいのグリンピースをいただく。せっせと剥いて、茹でて、そのまま湯の中で粗熱をとる。剥くのは夫が手伝ってくれる。いい香り。晩ごはんの親子丼に散らす。私はつゆだくにして雑炊のようにして食べる。余ったものは冷凍しておく。

五月二十二日(月)
 グリンピースを混ぜたたまごやきをつくる。

五月二十三日(火)
 生活は、本当にささやかなことの積み重ねだ。牛乳パックを洗って開いて乾かして回収に出すとか、シャンプーやハンドソープの詰め替えとか、ごみ袋の補充とか。頃合いを見て、あるいは定期的にタオルを買いかえ古いものは切って雑巾にするとか、春が来たら毛布を洗ってしまって夏が来たらタオルケットを出してそれも寒くなったらしまわなくてはならない。人は老いていくしものは汚れたり壊れたりする。そういうことにうまく対処し続けることが、生きるということに繋がっていく。それは私にとって絶望と同じようなものだ。洗濯物がたまってもほこりがたまっても死にはしない、という考えもあるけれど、私は違う。そういうことで死にかけている。
 抜歯をしてから体重が3キロ落ちていた。

五月二十四日(水)
 最近、帰りたい、と思うことがよくある。あの頃に帰りたい。あの頃というのは子供の頃。
 前は、あの頃になんか絶対に戻りたくないと思っていた。絶対に。
 でも、それはいろいろなことを知ってしまったからで、知らなかったあの頃はそれが当たり前だったからかなしくも虚しくもなかったのだ。その、かなしくも虚しくもなかった頃に帰りたくなる。
 今は、あの頃よりずっときちんとした生活をしているのに、破綻している。何も信じていないから。破綻していても信じるものがあれば、疑うということを知らなければ、人はそれなりにしあわせなのかもしれない。
 夕方、ベルフラワーの切り戻し。バラは、一輪咲いてそれっきり。葉や茎が黒くなってしまい、もう駄目かもしれない。今日もまた、お向かいの庭で猫が喧嘩をしている。しっぽの短い茶色の猫が降参したくせに、またそっと後ろから追いかけている。この子は本当に諦めない。
 次の歯医者までが長すぎて憂鬱で本をネットでたくさん注文してしまう。

五月二十五日(木)
 人参三本を細切りにして、二本は冷凍、一本は塩きんぴらにする。ブロッコリーをレンジでチンする。
 本が一冊届く。森岡督行『ショートケーキを許す』
 こういう、偏った本が好きだ。安らかな気持ちになる。
 私も許したいし、許されたい。


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