christmas tree

ぼくはずっとそこにいる。
もう何年も。はるか遠いむかしから。
たくさんの景色をぼくは見てきた。
だれかが泣いているのを。だれかが幸せそうにしている景色を。ただ、ぼくはいつも見ているだけだ。ぼくにできることはない。
だけど、鳥の声や太陽が昇る音、夕陽が沈む音、星が流れる音、きみの話しを聞くことはできるよ。いつでも。
そんなぼくが、たった1日だけ、動いてもいい日があるんだ、それはきみたち人間には誰も気づくことのない、わずかな動きなんだけれどね。
トナカイの鈴の音が空から降りてくるころ、ぼくは少しだけ背のびをするんだ。
ぼくの指先に、光を通して星をひとつずつ編むように夜空に絵を描く。たくさんの鳥や動物たちを。 その日だけは、好きに描いていいんだ。

Merry Christmas

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