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「デルフトの眺望」

フェルメールの絵を見に行った。
1度目は、思う存分、鑑賞するために。
2度目は、プルーストの気持ちを味わいたかったので、体調が悪い時に、わざと、フェルメールを見に行ってみた。
プルーストは、病床から起き上がり、見に行ったのは、パリの展覧会で、フェルメールが描いた「デルフトの眺望」だった。雲が泳いでいるように見えて、川が海みたいに広く描いてあって、そこに、癒されたのかなぁと思う。ノルマンディーでの景色をきっと思い出していたのではないだろうか。
「世界でいちばん美しい絵」とプルーストは言っていた。
私が行ったフェルメール展には、「デルフトの眺望」ではなく、「窓辺で手紙を読む女」だった。絵はちがうけれど、同じ画家が描いたものを体調の悪い人間がどう思うのか、感じてみたかった。「窓辺で手紙を読む女」は、現在は、壁に天使が現れたものが、展示されている。美術展では、天使が現れたもの、もう一方は、天使が隠されたままの状態のものが展示されていた。私は、完全に後者のほうが、好きだなぁと思った。何度も見比べているうち、眩暈がして、余計に体調が悪くなり結局プルーストのように、癒されることはなく、とぼとぼと帰った。
近年では、規則で画家の意思を尊重するために、画家が描いたままの状態を尊重し、修復され、展示しようとしているみたいだが、全部丸裸にするのもどうなのかなぁと思う。隠されたものは隠されたままでいいのではないだろうかと思うのは、私が日本人だからだろうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

追伸。友だちは、「フェルメールさん」と呼び、「プルーストさん」、と呼んでいる。
なんか可愛いですよね。


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