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ユーザーにもGoogleにも刺さるコンテンツを作るための6つの品質基準

弊社キュービックには「紙媒体出身の編集者」だけが在籍するエディトリアルデスクというチームがあり、メディアのコンテンツ品質向上に力を注いでいます。


ユーザーの課題を解決するためにも、SEOで成果をあげるためにも、デジタルメディアはコンテンツの品質向上が必須といえます。


しかし「品質の高いコンテンツ」とはどういうものなのか?どういった基準でこのコンテンツ品質を測るべきなのか?品質を定義して定量的に計測することはとても難しく、各社苦戦しているのではないでしょうか。実際にTwitterでも関心の高さがうかがえました。

何かのヒントになればということで、今回は弊社のコンテンツ品質基準を簡単な解説込みで公開します。
※あくまで弊社独自のコンテンツ品質基準です。

キュービックのコンテンツ品質に対する「基本思想」

(1)ユーザーの課題解決に繋がること、キッカケを提供できること

キュービックは「ヒト・オリエンテッドなデジタルマーケティングで、みんなの明日が変わるキッカケを生み出し続ける」をミッションとしています。

だからこそ、課題を抱えてインターネットにアクセスしたユーザーの「明日が変わるキッカケ」につながる記事になっているかどうかを、品質基準の中心に置いています。


たとえば、ユーザーが「箱根 旅館」と検索してキュービックのコンテンツにたどり着く。そこで旅館Aの存在を知り、「行ってみたい」と思ったけれど、実際に足を運ぶまでには至らない。これはキッカケにつながっていないため、キュービック基準では「高品質なコンテンツ」にはあたりません。


繰り返しますが、これは弊社独自の基準です。キュービックではコンテンツのゴールをあくまで「ユーザーの課題解決」に置いているため、一歩踏み込んだ品質定義をしています。

一方で、写真をメインコンテンツとした旅行を疑似体験できるような性質のメディアであれば、「いつか行ってみたい」「読んでいるだけで満足」のような感想・体験の提供でも十分だと思います。

(2)Googleに評価され、検索順位が上がること

(1)はコンテンツそのものの観点ですが、こちらはそれをユーザーにデリバリーできるかどうかという観点です。


せっかく良いコンテンツが作れたとしても、ユーザーの目に触れなければユーザーの課題解決には貢献できません。このため(2)の観点も捨て置けません。

なお、Googleなどのプラットフォームは、ユーザーのインターネット体験を向上させるためにテクノロジーを磨いていますから、Googleに評価されて検索順位が上がること(=トラフィックを獲得できること)とユーザーにとって良いコンテンツというのは、大きな意味ではイコールになります。

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「プラットフォームをハックするスキルは本質的でない」と言われることもありますし、大筋では僕も同意。

もっとも、ことコンテンツ品質という意味においては、Googleの評価を獲得するべく磨き込むことはユーザー体験の向上につながることが実際に多く、基準の原点に置くに値すると考えています。


以上2つの基本思想を、6つの基準にブレイクダウンして運用しています。

1.網羅性
2.一貫性
3.助動性
4.信頼性
5.可読性
6.独自性

1.網羅性:ユーザーのニーズを網羅的にカバーできているか

「ピザ」のサイトを作るのであれば、宅配してくれるお店の情報だけでなく、たとえばピザの作り方や種類、ピザの歴史など、関連情報を幅広く盛り込めているかという観点です。

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ヒントとしてサジェストワード(関連検索キーワード)をサポートしてくれるツールを用います。それらのキーワードに関するwikiを作り込むような感覚でしょうか。

・機械的な定量情報だけではカバーしきれないニーズもあるので、定性的な観点も入れる
・なんでも網羅すればいいというものではなく、ユーザーニーズに応じた適切な道幅を考える
・内容の幅の広さだけでなく「深さ」もこの網羅性に含む

たとえば東京ー大阪間を移動したいというユーザーのなかにも、とにかくコスト重視、快適さ重視、スピード重視などニーズはさまざまです。

「網羅性」の観点においては、どんなニーズのユーザーにも納得してもらえるような情報の提供を考えています。

2.一貫性:記事全体のメッセージは一貫しているか

タイトルからアイキャッチ、ディスクリプション、本文、そしてCTAまでが一貫しているか。補助的な情報は、それとわかるようボリュームを抑えたり、ユーザーに伝えたいことが最初から最後まで明確になっているか。これらの観点を「一貫性」と呼んでいます。

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ここで重要なのが「読者と対話する」というマインドセットです。

読者の感情の動き(感情曲線)を意識し、頭の上に浮かぶであろう「?」をキャッチすること。それを解消して「!」に変えるコンテンツをタイミングよく提供すること。こんなことをイメージしながら記事を何度もチェックします。

一貫性の基準の中には、ほかにも以下のようなポイントが挙げられます。

・段落間のつながりは自然で、無理なく接続ができているか?
・読者が違和感を感じることなくスムーズに読める流れになっているか?
・トンマナが一貫しており違和感がないか?

3.助動性:ユーザーのアクションの後押しができているか

「助動性」とはおそらくキュービックの造語です。

・ユーザーが一歩を踏み出すキッカケを提供できているか
・アクションを起こす後押しができているか

を大事にするという基準です。

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ユーザーが実際にピザの宅配を注文するに至ったか。コンテンツを読んで「ここのピザがおいしそうだな。頼んでみよう」と思ってもらえたか。


迷った結果として別のサイトに行ってしまったり、ピザの注文をやめてしまうようだと、(キュービック基準では)品質の高いコンテンツとはいえません。


感情の動きとして、「どこが(どれが)おいしいのかな?」から「ここおいしそうだから、頼んでみよう!」に変えられたらOK。


一方で「助動性」は、行き過ぎると営業色の強いコンテンツになるので注意が必要です。ユーザーを強引に誘導するようなコンテンツは品質が高いとはいえません。ユーザーに最良の選択をしてもらうことが目的ですから、押し売りをするべきではありません。


微妙な線引きにはなりますが、あくまで「ベストな選択ができるようにユーザーの背中を押してあげること」が重要。

4.信頼性:ユーザーにとって信頼できるコンテンツか

この信頼性は、デジタルメディアを運営する者にとって、もっとも大切な基準とも言えます。

信頼性がカバーする要素は非常に広く、

・インタビューなど一次情報に基づいて作られているか
・アンケートなどファクトベースで作られているか
・専門家による執筆・監修か
・権威性のある機関や人物による裏付けがあるか

などさまざまな基準で測ります。

たとえばキュービックは、薬剤師さん向けの転職メディアを運営していますが、コンテンツの制作にあたり薬剤師さんへのインタビューも頻繁に行なっています。

薬剤師の資格もなく、当然薬剤師としての勤務経験のない我々が信頼性の高いコンテンツを作るには、やはり一次情報や専門情報をしっかり集めていくことが不可欠です。


一次情報や専門情報を収集しながら書くコンテンツには、専門用語や「その業界の人しか使わない言葉」が自然と多く含まれるようになっていきます。これも信頼性を高める技術のひとつ。

IT業界に身を置く僕なら、「ファインダビリティスコア」と出てくるコンテンツは、「お、わかっている人が書いているんだな」と信頼しやすくなります。 (なりませんか?汗)

薬剤師には薬剤師の、IT業界にはIT業界の専門用語があります。ユーザーから信頼を得るためには、ユーザーとの共通言語を獲得することは欠かせません。


また、監修者も「立てれば良い」というものではありません。「この情報を知りたいユーザーは、どんな人が言えばもっとも納得できるか?」の観点から最適な権威性を考え、それに合わせた監修者(著者)をアサインします。

5.可読性:読みやすいか、ストレスなく届くか

コンテンツの品質を高めるうえで、文章の読みやすさ、わかりやすさも重要なポイントです。どんなに網羅性や一貫性の備わったコンテンツでも、可読性がなければ読んでもらえません。

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・すらすらと引っ掛かりなく読める文章になっているか
・回りくどい表現を使っていないか
・難解な内容をわかりやすく、読みやすく表現できているか
・数値的なデータは表やグラフで整理・表現できているか
・文字量は適切でユーザーに過度な負担を強いないか

これらのほかにも、

・一方的な説明の押し付けになっていないか
・ペルソナの知識レベルに合わせた専門性・難易度になっているか
・なんとなく読みにくい、くどい、など読者にストレスを与えていないか

のような、踏み込んだ定性基準も言語化しています。

紙媒体出身の編集者の皆さんは言葉の感度が(当たり前ですが)高く、彼ら/彼女らがいじった文章はスクロール量や滞在時間にてきめんにヒットします。「ちょっとした違和感の積み重ね」は軽視できません。

6.独自性:他のメディアでは得られない情報があるか

「独自性」は、6つの品質基準のなかで特に難度が高く、弊社としても注力していきたい基準です。

以前こんな Tweetをしました。死ぬほど伸びませんでした。

初めて聞いたときに衝撃を受けたのですが、書籍・雑誌系の編集者は、Webメディアのように「ユーザーが欲しい情報を提供する」というマインドセットだけではダメだそうで。


独自の切り口で企画を考え、「これどう?」と投げかけ、話題の獲得、そしてユーザーの共感を獲得することに情熱を注ぐらしいです。

紙媒体出身の編集者を擁しているキュービックとしては、エディトリアルデスクに今年はこういう踏み込んだチャレンジをしてもらわないといけないと考えています。もちろん1〜5が整った前提で。

ただし、独自性を追求するうえで注意しなければならない点が2つあります。

1つ目は、独自性はどんな記事においても必要なものではないということ。比較記事や、ユーザーの課題を解決するいわゆる教科書コンテンツでは、独自性はそこまで求められないでしょう。

2つ目の注意点は「独自性」といっても、何も奇をてらう必要はないということ。

たとえば、ウォーターサーバーのメディア「ミズコム」では、各社からウォーターサーバーをお借りして、実際にメンバーで使ったうえで比較するコンテンツを作成しました。


実際に使ってみることで気づくことも多く、他メディアではやっていない独自性のある企画になったと思います。ライバルが「面倒くさくてやらないこと」「やりたくてもできないこと」を率先してやることも独自性を高める手段となります。

まとめ

今回ご紹介したうち、1〜5の品質基準ができていれば現在のグーグルは評価してくれることが多いです。


しかしこれからは「6.独自性」がなければ勝てない時代になっていくと僕は考えています。ここについては弊社もまだまだ発展途上。業界を牽引していけるよう、日々精進していきます。


このnoteが多くのメディア運営者・コンテンツ制作者の皆さんのお役に立てると嬉しく思います。

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