【創作大賞感想】納豆ご飯の人生一周目エッセイ
『人生一周目。魂が赤ちゃん』
妻の納豆ご飯が過去に占い師に言われたコメントである。
不服そうにしていたが、納豆ご飯の魅力はむしろそこに詰まっていると思う。
それは納豆ご飯が創作大賞に出した二本のエッセイによって改めて感じた。
納豆ご飯の文章はピュアで正直だ。
もちろん『人生何周目ですか?』と感じるような洗練された文章は素晴らしい。
納豆ご飯自身も本当はそういう文章を目指しているはずだ。
しかし人生一周目の人間にしか書けない文章も、同等の価値があると思う。
納豆ご飯は感受性が豊かすぎる。気づくと何かに感動して、しょっちゅう涙を流している。観る風景が綺麗だったり、蛍を見つけたりとか、ついスルーしてしまいがちな日常の一コマに感動する。何に関しても初めてに近い感覚を受けているように感じる。
納豆はそういったピュアさに加えて文章もかなり上手いと思う。
世の中には天才や秀才という“才”の文字がつく人がいて、今回の創作大賞だけでもそう呼ばれる人をたくさんお見かけした。
でも彼女も“才”の文字が入る人間なのではないかと本気で思う。
“才”を“ピュア”で包んでいるので、表からは見えにくくなっているだけである。
この感想が単なる妻贔屓ではないことを二本のエッセイを読めば、すぐにわかっていただけるはず。
【祖母が死ぬ前に読みたかった本】
納豆ご飯が、祖母が若いころに読み、もう一度読みたかったという本を探すという話。
実際にあった祖母とのエピソードなのだが、予想を裏切る展開と読者に考えさせるようなメッセージ性が、短い文章の中に丁寧に組み込まれている。
また本人は書きながら気づいているかどうかはわからないが、祖母の性格をしっかり受け継いでいることがわかる。
こちらはアップしてから、納豆ご飯のフォロワー様中心にいろんな方が読んでコメントを寄せている。
ただもっといろんな方に読んでいただきたい。
【朽ちて行く家と、母との約束】
納豆ご飯の母の故郷、岩手にある祖父母が住んでいた空き家の話。そして納豆ご飯と母との約束。
孫目線からの祖父母宅での思い出と、娘目線からの母親の背景をドラマチックに書いている。
一本目のエッセイに登場した祖母が、納豆ご飯の母親とは色々とあったことにも少しだけ触れている。こういうリアルなところまで踏み込むのは、彼女のピュアさ故だと思う。
一本目のエッセイに比べると反響は少なめではあるが、こちらも同等の魅力があると思う。もっと広まってほしい。
納豆ご飯がエッセイを二本上げた後、どんなことを口にするのだろうと思っていたら、
「小説書けばよかった」
と言った。
どこまでも正直な人間だと思った。
しかし人生一周目の人間が書く等身大のノンフィクションが、ときにフィクションを超えうることを、納豆ご飯の二本のエッセイが証明する。
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