女と男

どんなに心持ちがあっても、努力しても、生まれ持った性の差は埋められない

身長も、脚の長さも、腕の長さも、手の大きさも。

誰も私を責めはしない。
だけど、実際その場で使い物にならない女の私がいる。

手が小さい故に、背が低いが故に、力がないが故に、女であるが故に。

気の使えない同期からは、「もうお前はそこで立って見てればいーじゃん」と言われ
逆に先輩からは気を遣われる。

悔しくて悔しくて堪らない。

どんなに大変な仕事でも、女の少ない環境でも、
この仕事を選んだからには女だからって理由で簡単に物事を諦めたくない。
「女の子だからね、無理しなくていいよ」なんて
実際本当に人手が必要な場所で言われても
不甲斐なくて、自分が情けなくて凹まずには居られない。

本当に気の遣えない、嫌味ったらしい同期でも
男で身長が高くて力があれば
きっと現場では女の私なんかより重宝される


きっとこの現場に配属されるのはコイツだ、

そう思ったら途端にこれから先に絶望した。

予想でしかないけど。

でも結局建設現場ではひ弱な人間は現場のお荷物にしかならない。

やる気も根性も人あたりの良さも
建設現場で何になる?
なんの役に立つ?
私は役に立つ?
私は必要とされてる?

申し訳なさと悔しさで泣きそうだった。
でもここで泣いたら
余計に女の印象が悪くなる。
そう思って必死に我慢した。

休憩なんてそっちのけで
今私が使い物にならなかった分、私の出来ることで取り返そうと思って別の仕事に取り掛かったら

「ねえ、疲れたー?疲れたでしょー?」
気の遣えない同期から声をかけられて

「疲れたっていうか…
私は大して力になれなかった」
悔しくてそれしか言葉が出なかった

嘲笑したあと、近くを通った先輩に男が
「伊藤さんが疲れたって言ってますー」
なんて余計な一言を言った

気を遣ってくれたのかもしれない。
でもそれが逆に悔しくて堪らなかった。

「全然大丈夫です!疲れたなんて言ってません!」
笑って誤魔化したけど

「疲れたよね。休憩取ってきな」
そりゃそういうに決まってる。

取り返したかったのに、
悔しい気持ちを埋めたかったのに
他で役に立ちたかったのに。

些細なことだけど
自分を否定せずには居られなかった

1年後に私の居場所はどこにあるだろう。


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