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Seven Questions#13 マルコ・ザッパコスタ(Thumbtack)

原文はこちら ※原文は2018/9/5のものです

マルコ・ザッパコスタは、7000億円(まだなお成長中)のローカルサービス市場において、毎年数百万のユーザーと数十万人のプロを繋ぐマーケットプレイスであるThumbtackの共同創業者兼CEOです。彼はもともと大学で研究者になるつもりでしたが夏の間の長く短調なラボでの作業を経て、研究者になる代わりにThumbtackを操業することを決めました。


Q1. あなたがこれまで学んできたことの中で、日々大事にしていることはなんですか?

自分が何者であるかではなく、相手がどんな人であるかを理解することです。誰かと関わる時、人は自身のフィルターを通してその人を見てしまいがちです。特に初めての創業者は、しばしば自分にとって魅力的なマネージャーが、マネージャーのデフォルトになってしまうように思います。しかし全ての人には個性があり、彼らはあなたと同じように考え、作業をし、感じるわけではないのです。彼らの頭の中で実際に何が起こっているのか、より深ぼって見つけなければなりません。

私はThumbtackが大規模に採用を始めるまで、このことを本当の意味で学べていませんでした。なぜなら、採用のタイミングが、あなたが考え方やモチベーションの多様性に初めて触れるタイミングだからです。そういった新しい観点を取り入れることはとても価値があることですが、それは同時に相手に共感し、相手の気持ちになって考えるためにより努力しなければならないということです。


Q2. 起業する人に何か一つアドバイスをするとしたら、どんなアドバイスをしますか?

あなたが作っているプロダクトにではなく、あなたが解決している課題に本気で向き合いなさい。何かを作るのは面白く、エキサイティングですが、そのモチベーションは長くは続きません。そうしたモチベーションは、何か大きなことを成し遂げるために10年かそれ以上は続かないでしょう。

自分が生み出しているインパクトから生まれるモチベーションこそ、長期にわたって持続し続けるものです。私の場合、2018年の今もなお、一般の人がプロフェッショナルを雇うのはとても難しく、またプロの人にとっても、自身の時間や才能を使って生計を立てるのは難しいという現状をとても憂いていました。この問題を解決するために働き続けることが、私の長期的な原動力になっています。Thumbtackの戦略や戦術は何度も変わってきましたし、私の役割も変化してきました。しかし変わらず楽しく、やめられないのは、私がいまだにこの最終目標に向かって働き続けているからです。


Q3. どんな小さな変化が、あなたの人生に大きな違いを生みましたか?

チャットのメッセージ以外の全てのプッシュ通知をオフにすることです。ニューヨークタイムズの通知やTwitterのストーリーの通知など、全く必要のないノイズが多すぎました。そういった認知負荷をなるべく減らしたかったのです。だんだんと通知を減らしていきましたが、今もスラックのいくつかのスレッドからは通知がくるようになっています。しかし、妻や友人、両親を差し置いてまで、私の集中を邪魔するには値しないと判断しました。

今となっては、メールへの反応も少し遅くなってきたかもしれません。ただそれで良いと思っています。いまだに必要以上にメールを確認してしまっていますから。しかし、通知をオフにすることで私は受動的ではなく、より能動的になれたと思います。インボックスのトップにあるものではなく、本当に重要なものによりフォーカスしやすくなりました。


Q4. あなたが知らないことで、知りたいと思うことは何ですか?

ブランド構築についてもっと知りたいと思います。私はテクノロジー畑で育ってきたので、ブランド構築は最近まで一切身近なものではありませんでした。私は、シリコンバレーはブランドの力を過小評価していると思います。道具箱の中で、必要な道具として見なされていないのです。しかし、それは間違っています。ブランドは、テクノロジーと同様に固有の効果を持つものであり、計り知れない価値を生み出しうるのです。

ありがたいことに、我々はそれを学ぶ手助けをしてくれる素晴らしい人を雇いました。クリエイティブディレクターのマテオと初めて面接した特のことは今でも覚えています。彼との面接はありきたりな面接とは全く違う感じで、今ではそれが、面接の間ずっとThumbtackが人々にどのような印象を与えているかしか話していなかったからからだと思います。印象とは、人が何を覚えているかであり、我々のバリュープロポジションとは別物です。この考え方はまさに眼から鱗でした。


Q5. 今あなたの枕元にある本はなんですか?

ちょうど昨日の夜、ディニー・マクマホンの『China’s Great Wall of Debt』を読み終えました。人類史上最大の借金は今まさに積み上がっており、他の全ては主要な金融危機で終わりを迎えているというのです。この本は3分の1くらい読んで、得たかったものを得れたと感じました。私はノンフィクションの本を最初から最後まで読むことは滅多にありません。機会費用が大きすぎます。あなたが読み続けている全てのページは、他の本で時間がなくて読めなくなる1ページなのです。

次に紹介するのは、エリック・カンデルの『In Search of Memory』です。彼はノーベル医学賞を受賞し、記憶の生物学的なメカニズムを改名した人物です。この本は、彼のキャリアとどのようにして海ナメクジの神経系をマッピングして記憶の理論を発展させてきたのかについて書かれています。そのあとは、リチャード・ローズの『Energy』を読む予定です。彼は核兵器についていくつかの著書を書いており、その一つはピューリッツァー賞も受賞しています。この本は、薪から始まり、石炭の採掘、石油と原子力の時代、そして太陽光と風力を使う今に至るまでの、人類とエネルギーの関係の歴史についての本です。


Q6. あなたが、自分が何かについて間違っていると気づいたのはいつですか?

いつもです。Thumbtackにまつわる最も大きなものとしては、長い間見積書は自動化できないと思っていたことです。しかしある日それを試してみると、私たちは自分たちが間違っていることに気づき、サービスを使う際の全ての体験を、ユーザーとプロの双方にとってより良く、素早いものに変えることができました。

一般的に、私は間違えることをいちいち気にしてはいません。優れた考え方とは、「自分が持っている情報を踏まえて、何が最も良い、もしくは最も詳しい意見なのか」ということだと思います。科学の世界では、正しいとか間違っているとかいう概念はなく、あるのはただ「確からしさ」という考え方だけです。起業家も同じように物事を処理すべきだと思います。なぜなら、起業家精神とは発明よりも発見が多いからです。仮説を持って、検証し、そこから学ぶのです。自分が検証したことや、考えに基づく強い信念を持つことが大事です。しかし、もしあなたが何か新しいことを学んだならば、それが顧客との会話からであれ新しいデータからであれ、それに応じて自身の信念をアップデートしなければなりません。

だから私はデータ・ドリブンという言葉が好きではないのです。なぜなら、データはあなたがしたことを教えてくれるものであり、それは本来どうあるべきかとは違うということを意味しているからです。アイデアは、私たちの本音や直感から生まれます。データはそれを検証するためのものにすぎないのです。データはあなたがどこへ行くべきかを教えてくれるのではなく、ただあなたが行きたかった場所に辿り着けたかを教えてくれるものなのです。


Q7. あなたにとって最も重要な時間の単位は何ですか?またそれはなぜですか?

ちょうど今は、妻との間に最初の子どもが生まれたばかりなので、1日という単位が大事です。朝仕事に行く前に娘に会うこともあるし、時には夜の仕事が入ってその時に遊ぶこともあります。毎日を充実させるために、家にいる時はなるべく遊ぶようにしています。

彼女の変化の速さを踏まえても、1日という単位がより重要だと言えます。子どもの変化は本当に、より細かい時間の単位について人に考えさせるものです。彼女はちょうど笑い始めたばかりです。オナラをしたときの顔ではなく、実際の笑顔で、「あなたに会えなくて寂しかったから、今起きた時にあなたの顔を見ているわ」という笑顔を見せてくれます。そしてそれが最高なのです。


Hard-won advice(努力して得た教訓)

1. Think like a scientist(科学者のように考えろ)
2. Problems over product(プロダクトではなく問題と向き合え)
3. Finishing books is overrated(本を読み切ることは課題評価だ)


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