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Seven Questions#2 エリック・ユアン(Zoom)

原文はこちら ※原文は2018/6/28のものです。
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エリック・ユアンは、2011年創設で現在は10億ドル以上の評価を受けているビデオコミュニケーションツールの企業「Zoom」の創設者兼CEOです。Zoomのアイデアは、彼が中国で大学に通っていた時代に、当時のガールフレンド(のちに彼の妻となる)と電車で10時間離れたところに住んでいたことから生まれました。


Q1. あなたがこれまで学んできたことの中で、日々大事にしていることはなんですか?

毎朝起きた時、私は「今自分は幸せか?」と自分に問いかけています。もしその答えがイエスならエネルギーに満ち溢れ、もしノーなら、「その状態を変えるために何ができるか」をさらに自分に問いかけます。
これをしている理由は、私は自分が幸せだと感じれていない時に生産性が低下しがちであったり、自分自身のネガティブな態度を家族や会社に伝播させてしまうことがあるからです。

私はこのことに苦労して気づきました。
シスコにいた頃、私は毎日たくさんのコードを書いていました。最初の頃はとても楽しく、生産性も高く、周囲の人にも良い影響を与えていました。しかし最終的には、私が何かを変えようとした時、周囲の人に影響を与えることができませんでした。意思決定を下しているのが自分ではないことに気がつき、そのせいで私は楽しさを感じられなくなっていました。チームメンバーは私が仕事を楽しめていないことを感じ取っており、家族もそれを感じ取っていました。その時私は、人を助けたいと思うなら、自分が幸せであることを自分自身が知っておかなければならないことに気がついたのです。

今では、何か気になることが出てきたときはすぐに飛び込んで解決するようにしています。プロダクトに問題があってスケジュールが遅れていたり、セールスチームが商談を成立させるのに苦労している時などです。
私は常に、そういった問題を迅速に解決するためにできる限りのことをしていることを確信しています。


Q2. 起業する人に何か一つアドバイスをするとしたら、どんなアドバイスをしますか?

会社の文化こそが、私にとって最も優先すべき事項です。会社の文化は、チームよりも、プロダクトよりも、ビジネスモデルよりも、投資家よりも重要なものです。これらのことは、いつでも修正したり、改善することができます。しかし、文化は最初の1日目から確立されなければなりません。そして一度あなたが文化に関して問題を抱えると、それを解決するのは非常に困難なのです。

私たちの文化は、従業員に幸せを届けるという目標を中心に構築されています。幸せな従業員はお客様に幸せを届ける方法を知っているので、これによって多くの問題が起こる前に解決されています。この文化こそが、私たちが競合他社よりも優れた業績をあげることができている主な理由の一つです。
文化が少しでもおかしな方向にずれていると、たとえ会社が良い方向に進んでいても、それは持続せず、崩壊してしまいます。


Q3. どんな小さな変化が、あなたの人生に大きな違いを生みましたか?

私の人生に最大の変化をもたらしたのは小さなことではありませんね。それは最初の息子であるロイが生まれたことです。
子どもができてからはより大きな責任感を持つようになります。自分のことを気にするだけではダメだということに気がつくのです。あなたは子どもにとって良い模範でなければならず、自分が学んだことを伝えていかなければならないのです。


Q4. あなたが知らなかったことで、知っておきたかったことはなんですか?

色々なことを知っておければ良かったと思います。Zoomを始めた頃を思い返してみると、会社を作るために何が必要なのかを知っておければ良かったと思いますが、もしそれを知っていたら今ほど起業を楽しめていなかったかもしれません。

起業すると、誰もが「やめておけ」「きっと失敗する」「あなたも、あなたの家族も苦しむことになる」と言ってきます。周りのほとんど人がそんなが話をしてきました。誰一人として、起業することがどれほどエキサイティングなことであるかは教えてくれませんでしたし、自分が何か重要なものの一部になり、世界に大きなインパクトを与えていると感じられることも教えてくれませんでした。
実際に起業してみるまで、私はそのことを知らなかったのです。


Q5. 今あなたの枕元にある本はなんですか?

ちょうどナイキの創業者フィル・ナイトが書いた『Shoe Dog』を読み終えたところです。彼らの創業当初、何もかもが今よりはるかに困難だったことが思いもよりませんでした。当時はベンチャー・キャピタルなんてなかったので、彼らは地元の銀行からお金を借りなければなりません。それでもナイトは成功を収め、今では誰もが聞いたことのある素晴らしい会社を作りました。彼の粘り強さと情熱が、それを成し遂げたのです。
彼は今の多くの若い会社にとって、良き手本を示していると思います。


Q6. あなたが、自分が何かについて間違っていると気づいたのはいつですか?

私がしたことに何かネガティブな反応があったときは、いつも一歩引いて何故そうなったのか理解し、必要であればしっかりと謝罪するようにしています。
私の長男は今高校3年生で、最近のテストでの成績が悪く、彼に苦言を呈することがありました。「毎日遅くまで寝ていなければ、もっと良い成績が取れるはずだ」と言ったのです。ロイは、自分は既にテストのためにも頑張っていたし、バスケットボールも頑張っていたので、私が間違っていると言ってくれました。彼は、朝YouTubeでバスケットボールの動画をみるのが好きなのだそうです。彼は私に「父さんには父さんの考えがあるのはわかっているし、僕に全ての科目でAを取って欲しいのもわかる。でもこれは僕の人生なんだ。僕は大学に行ってバスケットボールを続けたいし、僕の考えもわかって欲しい。」と言い、とても合理的な説明だと思いました。だから私は彼に謝り、同時にいつか一緒にジムに行ってあげようと思いました。


Q7. あなたにとって最も重要な時間の単位は何ですか?またそれはなぜですか?

毎日のすべての瞬間です。1日のどの瞬間も、私にとっては等しく重要です。
朝か夜がより大事だとか、若い時が大事だとか歳を取ってからが大事だとかは私は思いません。あなたが何かをしようとしている時、そのすべての瞬間を楽しんでください。もし一瞬でも無駄にしてしまえば、二度と戻ってこないのです。


Hard-won advice(努力して得た教訓)

1. Culture comes first(文化が第一である)
2. Set an example(模範を示せ)
3. Enjoy every minute(あらゆる瞬間を楽しめ)


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