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Seven Questions#20 ジョン・ドノバン(AT&T)

原文はこちら ※原文は2018/10/24

ジョン・ドノバン氏は、AT&Tでの過去10年間で、CTO、CSO、テクノロジーおよびオペレーションのグループプレジデントを務め、直近ではAT&TコミュニケーションズのCEOを務めました。彼は自身の成功が2つの要因によるものだと信じています。それは「素晴らしい両親」と、「自分を素直でいさせ続けてくれた故郷」です。


Q1. あなたがこれまで学んできたことの中で、日々大事にしていることはなんですか?

この質問の答えは人生の中で変わってきましたが、今私が日々大事にしていることは、自分の育ち方だと思います。私の家族は大家族で、都心の労働者階級地域の小さな家で育ちました。その環境のおかげで私は地に足のついた生き方と感謝の気持ちを忘れずにいられましたし、歳を取るにつれて、私は幼いころ頃の教訓により助けられるようになっています。

人生は本当の自分に素直でいられればとても楽になりますし、あなたがCEOのような大きな仕事についた時は、自身の信念や価値観を知っていることが必要です。意思決定は本能的に、自分自身の核となるような部分から生まれる必要があるのです。

キャリアを通して力を増していくと、家と呼べるようなものの存在がますます重要になってきます。「ネットワーク」は必要ありません。必要なのは、あなた後押ししてくれたり、言われてくないことを率直に伝えてくれたり、あなたを原点に立ち返らせてくれるような人、すなわちあなたの支援者や友人です。例えば、私の母は物事をシンプルにする驚くべき能力を持っていました。母は私に、「私にはあなたがそれらの全てんおことをどのように頭の中で整理しているのかわからないけど、毎日周りの人に親切にする時間を見つけられていて欲しい」と言ってくれるでしょう。

Q2. 起業する人に何か一つアドバイスをするとしたら、どんなアドバイスをしますか?

人として正しい人を雇いなさい。あなたのビジネスプランや競合、機械や脅威、これらは全て時間と共に変化します。あなたを成功に導いてくれるのは人であり、大小の人間関係です。あなたがいいチームを作ることを求めていたり、足並みを揃えられさえすれば良いという点では小さな人間関係ですし、あなたが顧客や従業員を集団レベルで理解する必要があるという点では大きな人間関係が必要です。

起業家はしばしば初期の頃、人や文化の問題を見落としてしまいます。そう言った問題を、成長痛のようなものだとみなしてしまうのです。しかしもしエンジニアチームが営業チームと対立していたら、彼らはお互いの振る舞いに対してだけでなくそれ以外の点でも対立し出すようになりますし、それは成長を阻害することになります。小さな会社が天井にぶつかった時、それは売上や拠点数や人員数の問題ではほとんどありません。それは文化の問題なのです。


Q3. どんな小さな変化が、あなたの人生に大きな違いを生みましたか?

長期の計画を書き出すことです、それはいくつかの点で私を助けてくれています。1つは、責任感を忘れずにいさせてくれることです。もし私が今後10年で他の領域でベストな状態に会社を持っていきたいと書いていた場合、再びその計画を読み返した時に自分の判断が甘かったことに気づくかもしれませんし、その領域にもっと資源を集中させる必要が出てくるかもしれません。長期的な計画の他の利点としては、論争の渦中に居続ける精神力を持たせてくれることです。私は今日や明日の問題に囚われることが少なくなり、心の中に長期の目的を持っているからこそ困難な状況も乗り切ることができます。

私は自身の長期計画を26歳の時に初めて書きました。そこでは、私が引退するときのことを見据えて55歳までの次の30年について書いていました。しかし私が若く、まだ未熟だったために、その計画は全て私がビジネスマンとしてやりたいことについてしか書いていませんでした。夫や父にになることについては何も触れていなかったのです。数年後、私は残りの人生全てについての新しい計画を書きました。これは仕事人としてのことだけでなく、個人のことや家族のこと、自分の精神面についてなど、あらゆる側面から書きました。それ以来半年に一回くらいの頻度で読み返していますが、今の所それを変更する必要性を感じたことはありません。


Q4. あなたが知らないことで、知りたいと思うことは何ですか?

一番最初に頭に浮かんだのは、今はもう知っていますが、もっと早く知りたかったと思うことです。私は自分で自分の時間や複雑で大きい仕事に対するストレスをコントロールできているととても幸せを感じます。もし私がこの力を30年前に持っていれば、もっと生産的な人間になれたと思います。

私は以前、自分で”モンキー”と呼んでいるもの、すなわち自身の脳の中でいつも過去や未来のことを心配している部分に完璧に支配されていました。もし明日の朝に、先月の財政面での結果が想定通りいかなかった理由について話すミーティングが入っていたら、モンキーは会議の前にそのことについて考え、なぜうまくいかなかったのか長い時間悩み続けるでしょう。しかしその時間は全て無駄です。妻との食事中や朝の迷走中にそのことを心配してもいいですが、どちらにしろ明日の朝8時まで会議は始まらないのです。

何年か前、私は自分の中のモンキーを倒しました。私はそれに実際に名前をつけ、ハントしたのです。今は何も心配することが無くなったということではありません。心配するための時間を設けるようにしたということです。私は会議の前にその会議のことで頭がいっぱいにいならないようにしているので、そのおかげで他のとても重要なことに時間を使えています。例えば、私は今毎月集中的に改善したい徳のようなものを決めています。2月は人間性で、今月は勤勉さです。毎日最初にそのことを思い出し、1日の終わりには自分自身を評価する時間を少し取って責任感を持ち続けています。もしいまだにモンキーに支配されていたら、私はそんな時間を取ることはできていないでしょう。


Q5. 今あなたの枕元にある本はなんですか?

私は普段一度に3冊の本を読むようにしています。それは、私が「楽しませてくれる本」「ライトに読める本」「集中が求められる本」の3種類を求めているからです。ちょうど今は、New York Timesのデヴィッド・サンガーの『Perfect Weapon』を半分くらい読みました。これは、DNCのハッキングについての本です。また、スディール・ヴェンカテッシュの南シカゴでの麻薬取引や暴力についての本『Gang Leader for a Day』もも読んでいますし、刑事司法システムにおける人種バイアスと戦った弁護士であるブライアン。スティーブンソンの回顧録である、『Just Mercy』も読んでいます。私は子ども達に、読書は筆者との対話であると教えています。そして、本を読み始める前に、筆者が何を大事にしているのかを知るためにその人について調べなさいと言っています。

私はしばしば、そのテーマについてより多く理解を得るために1つのトピックに対して複数の本を読みます。数年前、私は量子物理学と量子エネルギーについての本を確か6冊くらい読み、それからカリフォルニア工科大学の教授に会いにいきました。『Gang Leader for a Day』と『Just Mercy』を読む前は、フレデリック・ダグラスの自伝を読みましたし、映画や『Selma』や『13th』を見たり、たくさんの新聞記事を読んだり、エイヴァ・デュヴァーネイやアル・シャープトン、オプラ・ウィンフリーにも会いました。ただ学ぶことが目的ではなく、その情報を持って何か行動を起こすことが目的なのです。AT&Tでは、”Believe Chicago”というプロジェクトを立ち上げ、銃の恐怖や高い失業率の影響を最も受けているシカゴの地域の改善するために活動しました。仕事や教育、安全を改善していくために自分たちにできる限りのことをして、善良で思いやりのある隣人になるかどうかは私たちの会社次第です。私たちはシカゴから学んだことを抽出して、別の都市でも展開することを計画しています。


Q6. あなたが、自分が何かについて間違っていると気づいたのはいつですか?

2007年にiPhoneが初めて発表されたときのことを覚えていますか?これはAT&Tの独占サービスで、私たちのネットワークがテストされていました。当時私はCTOだったのでその責任者をしており、それはまるで核の冬を生き抜いているかのようでした。映画の『The Martian』のような感じでしたが、さらに悪いことに私は孤立していて、同時に私の周囲には私を殺したいというような目で見ている人がいたからです。『The Martina』と『The Walking Dead』の合体版のような感じでした。

自分が間違っていることに気づくの簡単です。自己評価の方がより重要です。自分のミスを合理化したいという衝動に抵抗しなければなりません。偉大な会社の偉大な経営者で、毎日ミスをしていることを自覚できるほどの謙虚さがない人を見つけるのは難しいと思います。私はしばしば、新しい仕事を始める人に「私は知りません」「私はミスをしました」「ごめんなさい」「助けてください」といったフレーズが書かれたカードを手渡しています。私は失敗することになれなければなりません。なぜなら、それが私たちがより成長する方法だからです。

また、私たちは自分たちの失敗を許すことにもなれる必要があります。数年前、私は今までの人生でおそらく最高のドキュメントを書きました。私は過去に犯した思いつく限りの失敗を書き出し、それを何回か読み返し、全て消しました。それが、見えない荷物を全て引っ張り出すための自分なりの方法だったのでこれからはその荷物を持たずに前に進むことができます。


Q7. あなたにとって最も重要な時間の単位は何ですか?またそれはなぜですか?

私にとって最も重要な時間の単位は、朝の3時間です。私は毎朝だいたい4:15くらいにおきますが、7:15まで文字通り電子機器には一切触れません。クレイジーなように聞こえるかもしれませんが、その3時間がある時はその日1日をよりスピード感を持って過ごすことができることに気づいたのです。迷走をして、自転車に乗って、本を読んで、今日買いに行って、計画や戦略を立てたりします。私はルーティンの中身が何であるかは重要ではなく、そもそもルーティンを持っていることと、それによってあなたがより大局を見る心の余裕が持てていることが重要だと思います。その時間を上手く確保して賢く使えていると、私は1日が進むにつれてより生産的になっていくのです。


Hard-won advice(努力して得た教訓)

1. Remember where you came from(自分の原点を忘れるな)
2. Kill your “Monkey”(あなたの中の「モンキー」を打ち負かしなさい)
3. Don’t just read: act(読むだけでなく、行動しなさい)


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