見出し画像

Seven Questions#12 ジョン・リッチティエッロ(Unity Technologies)

原文はこちら ※原文は2018/8/29のものです
Unity TechnologiesのCrunchbaseはこちら

ジョン・リッチティエッロは、世界をリードするリアルタイム3D開発プラットフォームであるUnity TechnologiesのCEOであり、世界中の30億台のデバイスでゲームや様々な体験を提供しています。彼は36年のキャリアの中で、Electronic ArtsのCEOやElevation Partnersの共同創業者兼マネージングディレクターなども歴任してきました。


Q1. あなたがこれまで学んできたことの中で、日々大事にしていることはなんですか?

ほとんどのミーティングに臨む前に、どのようなバージョンの自分でその会議に参加するのかというマインドセットについて、30秒考えるようにしています。私の生まれつきの性格は、かなり猪突猛進で攻撃的です。CEOとしては珍しくはないと思います。しかし、自分がリーダーシップを発揮する上で最適な性分と、仕事をする上で最適な性分は必ずしも一致しません。なので私は、「自信過剰で、威圧的で、攻撃的なバージョンの自分でこの会議に臨みたいのか?」と考えるのです。答えはもちろんNoです。なぜなら、私はチームメンバーが何を考えているのかを知りたいのです。そしてそれを理解できるまで、私は何も始めないと決めています。

その代わりに、他人の最善の意図を想定し、常に好奇心を持つようなマインドセットで会議に臨むようにしています。周囲の人の意見をしっかりと聞かなければ、重大な失敗を犯しやすくなってしまいます。チームメンバーが何を信じていて、それがなぜなのかを繰り返すことができないくらい集中できていないなら、そのミーティングはサボってしまった方が良いでしょう。


Q2. 起業する人に何か一つアドバイスをするとしたら、どんなアドバイスをしますか?

誤った意思決定に固執しないことです。あなたが強く推進していた大型採用やプロジェクトが、早い段階で思っていたほど賢明な判断ではなかったことがわかった時、全社員の前に出て行って「おっと、失敗してしまった」というのは難しいものです。ただ何かが良くなることを期待して、無駄にした半年間を正当化するために人々が生み出す入り組んだ理論的根拠は、驚くべきものです。しかし、人々がつまづかないように死んだネズミをカーペットの下に隠すことはできません。あなたのチームはすでに気付いているのです。

例えば、会社のカルチャーと合わない人を雇ってしまったとしましょう。以下の2つのうちいずれかのことが起こります。1つは、他の社員があなたが意図的にこれまでとは異なる方針を取ったのだと解釈し、もはや自分はこの会社には合わないのだと考えることです。もう1つは、他の社員があなたが馬鹿すぎてこの新入社員が会社に合わないことを見抜けなかったのだと考えることです。どちらにしろ、あなたは会社に悪い雰囲気をもたらし、それをさらに悪化させてしまうことになります。

私は重要な意思決定を下す時は常に考え、自分にこう問いかけるようにしています。「もし私がこの意思決定をやり直せるとしたら、そうするだろうか?もし私がこの意思決定を回避できるとしたら、そうするだろうか?」あなたはいつでもそれを回避できます。自分が間違っていてかつ何もしていない時は、そのような誤った意思決定を毎日繰り返しているようなものです。


Q3. どんな小さな変化が、あなたの人生に大きな違いを生みましたか?

30年前に営業として働いていた時、上司が訪問で街を訪れたので、私は日曜日に彼をディナーに招待しました。私はディナー後にお酒を飲みませんかと提案しましたが、彼は19:30までにホテルに戻る必要がありました。後々になって、彼が毎週日曜日に2時間、次の週の計画を立てる時間を取っていたのだとわかりました。彼は「そうすることで私は、今週何を意思決定しなければいけないのか、何のミーティングに参加するのか、人に何を聞かなければならないのか、ということが明確にわかっている状態で月曜日を迎えることができるんだよ」と教えてくれました。

それ以来、私はずっと同じことをしています。日曜の夜か、月曜の朝に早起きしてその1週間の計画を立てるのです。シリコンバレーでは即座に決断する力に大きな価値があり、それは実際に重要です。しかし、私は多くの人が、彼らはぱっと現れて、物事を即座にやってのけることができると思い込んでいるように思います。私は、少ししか準備をしていなければ、即座の対応力はほとんどいつもうまくいかないということを学びました。


Q4. あなたが知らないことで、知りたいと思うことは何ですか?

私はいつも他の人が何を考えているのかを知りたいと思っています。そして、自分が尋ねようとすれば彼らは大抵答えてくれるということにも気付きました。大抵の人は、難しい交渉や取締役へのプレゼンテーションの途中で止められて、「あなたはそれについて本当のところどう思っているんですか?それはあなたが本当にやりたいことなのか、もしくは私たちはただおしゃべりしているだけですか?」と聞かれれば不快な思いをします。

正しい聞き方をすれば、しばしば良い答えが得られます。その際、あなたは質問への返答を前向きに聞こうとしなければなりません。特にあなたの聞いていることが、「ここで失敗したのかな?もっとうまくやれたんじゃないかな?」ということであれば尚更です。その気まずさを押し切って、真実を知りたいと思っている物事についてはっきりさせるようにしています。


Q5. 今あなたの枕元にある本はなんですか?

50冊くらいありますが、私が次に読もうと思っているのは、ウォルター・アイザックソンの『Leonardo da Vinci』です。私は伝記が好きです。ただ、私はスティーブ・ジョブズについて書かれたウォルター・アイザックソンの本は読みませんでした。なぜなら私はスティーブに何回か会ったことがあり、自分の記憶の中の彼を誰かのスティーブ像で上書きされたくなかったからです。しかし私はダ・ヴィンチについては知らなかったので、安心して読むことができました。

また、ユヴァル・ノア・ハラリの『Sapiens』も読んでいます。最後に近づくにつれて捗りませんでしたが、それ以外はとても好きです。面白いと思ったのは、社会を進歩させてきた根本的な信念についてです。例えば私は、通貨を信頼システムであると思ったことは全くありませんでしたし、宗教がどのように大規模に組織化しなければならなかったのかについて考えたこともありませんでした。私は、「Unityが今後どう成長していくか」ということについて、普段の私の考えを超えてより大きな視野で検証させてくれる本が大好きです。


Q6. あなたが、自分が何かについて間違っていると気づいたのはいつですか?

以前、私たちのチームの中でもとりわけ、目が眩むほど立派な経歴をもった人を雇ったことがありました。素晴らしい会社のシニアVPレベルの役職で働き、素晴らしい大学を卒業し、そういったところです。しかし不幸なことに、彼は我々の文化にはフィットしませんでした。彼は政治的で、ミーティング中に他の人の意見に口を挟むこともありました。私たちは何度もそういったUnityらしくない振る舞いについて話しましたが、彼はそのフィードバックを受け入れませんでした。6週間後には、すでに3、4回の警告をしていました。

私たちは執行部のオフサイトミーティングをしており、その日の午後彼はメインプレゼンターの1人としてスケジューリングされていました。しかしその日の朝、彼は議論に口を挟み続け、その結果議論が誤った方向に進んでいました。なので私は彼をランチに誘い外に連れ出しました。彼は何が待っているか気付いていました。彼は「私をクビにするつもりなんだろう?」と言い、私は「そうだ。今すぐに。」と言いました。

私はこの採用は大きな決断だと伝えていましたが、自身の誤りを認めなければなりませんでした。彼がランチの後も戻ってこなかった時、チームは私にスタンディングオベーションをしました。私は今でも経歴至上になってしまうことがありますが、今は自身のバイアスもより認識していますし、あらゆる角度から検討して確信するために全力を尽くします。経歴は根本的な人間性を凌駕することはできないのだと悟りました。


Q7. あなたにとって最も重要な時間の単位は何ですか?またそれはなぜですか?

全ての時間の単位に重要な指標があり、私はその全てについて主張を持っているように思いますが、強いて言うならば次の3ヶ月でしょうか。なぜなら、その期間は私にとって難しい期間だからです。次の3年については、私はうまく扱うことできます。大きな目標に向けて皆の視線を揃え、向かう先へのより良い、明確な道筋を示すことができます。しかし次の90日に関しては、それがより困難なのです。


Hard-won advice(努力して得た教訓)

1. Listen deeply(丁寧に聞け)
2. Don’t marry bad decision(誤った意思決定に固執するな)
3. Plan your week(1週間の計画を立てろ)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?