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Seven Questions#19 トニー・スー(DoorDash)

原文はこちら ※原文は2018/10/17のものです
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トニー・スーは、アメリカの1000以上の都市で利用されているオンデマンドデリバリーサービス「DoorDash」の共同創業者兼CEOです。大学院とフルタイムの仕事を両立させていた2人の移民の子どもである彼は、自分で決断する方法を早くから学んでいました。5歳の時には、大好きなテレビ番組「Who's the Boss」の主人公に触発されて、自分の名前をアメリカ名にすることを決めました。


Q1. あなたがこれまで学んできたことの中で、日々大事にしていることはなんですか?

自分の発言で、自分の達成したいことを邪魔してはいけないということです。これは顧問弁護士のキース・ヤンデルがくれたアドバイスです。私は早く行動に移すのが好きで、明確でよく考えられたコミュニケーションの優先度がいつも低い人間でした。ガレージで3人だけで会社をやっていたときはそれでもよかったのですが、DoorDashが5年目を迎えるころには、何をどのように言うのかを意図的に決めることが非常に重要になってきました。

人は交渉ごとのような大きな、プレッシャーのかかるやり取りには準備して臨むものですが、私はより小さな、日常会話のようなやり取りの方が、実際はより重要で準備するものだと考えています。日々のほとんどの仕事は日常会話でやり取りされるのです。事前に自分の目的を書き出して、相手と共有するようにしていますし、また相手の目的が何かも考えるようにしています。それが理解できれば、自分が望む結果に繋がるコミュニケーションを格段に取りやすくなります。


Q2. 起業する人に何か一つアドバイスをするとしたら、どんなアドバイスをしますか?

小さく始めなさい。特に最初のうちは、会社は壮大な理想を伴うものではなく、小さなプロジェクトのように感じられるべきです。あなたを好きになってくれるような最初の顧客たちにたどり着くために、あなたが乗り越える必要がある具体的なリスクや問題を書き出すのです。そしてそれだけに集中しなさい。長期のプロダクトビジョンや、どれくらいの資金を調達したかなど、他の一切のことは心配しなくて良いのです。
私たちがDoorDashを始めたとき、3つの問いを持っていました。「顧客はこのサービスに5ドルを払ってくれるだろうか?」「レストランは売り上げの何パーセントかを私たちに払ってくれるだろうか?」「ドライバーはこの賃金で働いてくれるだろうか?」という3つです。非常にシンプルなビジネスプランでしたが、これが私たちが何かを成し遂げられるかどうかを知るために必要な答えでした。

最も難しい問題から始めるのもまた重要だと思います。私たちにとってそれは顧客にまつわる最初の問に関するものでしたが、それは、なぜ私たちの最初の大きな事業展開がサンホセ東部なのかということでした。私たちの事業はパロアルトとマウンテンビューでは成功しました。そして多くの人は、私たちがそこからサンフランシスコやロサンゼルスの西側に進出しなかったことを不思議に思っていました。しかし、私たちはプライシングの面でこのプロダクトが主流になりうるかを知る必要があり、そのためにはマウンテンビューに似た市場に進出しても意味がないと考えたのです。


Q3. どんな小さな変化が、あなたの人生に大きな違いを生みましたか?

まだこれを徹底してできているわけではないですが、夜のうちはスマートフォンを別の部屋に置いておくというのを始めました。よく眠れるようになりましたし、もし起きてしまっても仕事始める誘惑を確実に最小限に抑えられます。これは良いライフハックです。

他の小さな変化は、どこにいても必ず続けているものだと、ランニングです。私は、週の平日の2、3日と週末の2日、朝走るようにしています。マリン・ヘッドランズか、どこか自然のある場所へ行くことがほとんどです。心と体をうまくコントロールする手助けになるので、習慣として続けられているのだと思います。走っているときは格段に調子がいいように感じます


Q4. あなたが知らないことで、知りたいと思うことは何ですか?

たくさんありますね。特定のテクノロジーについてや、より良い聞き手になる方法は知りたいです。しかし大抵の場合、私は何かをすればするほど、そのことが分からなくなるということに気づきましたが、それは良いことだと思っています。古い先入観はなかなか消えてはくれませんが、排除しなければなりません。世界は変わっています。私たちも、自らの考えをアップデートしなければなりません。

何かについてもっと知りたいと思ったとき、私は同時に2つのことをするようにしています。何かしらの視点を持っていることは大事だと思いますが、同時に初心を忘れずに事前に何も知らないような状態を保つようにもしています。あとは、自分の頭の中にある反対の視点を、自分が当初持っていた視点と同じくらいの強さで持ち続けられるかどうかです。時々反対の視点が勝ち、自分の考えをアップデートすることになります。


Q5. 今あなたの枕元にある本はなんですか?

かなりありますね。私は自分が読めるよりもたくさんの本を買ってしまう悪い癖があり、そのうえ本を読むスピードが遅いので、妻に毎週のように文字通りせかされています。最近だと、都市が一般的に会社よりも長く存続することについて書かれた『Scale』、不確実性からどのように強さが生み出せるのかのかについて書かれた『Antifragile』、何が人をモチベートするのかについて書かれた『The Elephant in the Brain』を読んでいます。

ちょうど読み終えた本だと、OKRについてのジョン・ドーアの本『Measures What Matters』や、数カ月前には『Play Bigger』を読みました。顧客や競合に書かせるのではなく、自分自身でカテゴリーを生み出し自分の物語を書くべきだというのが定説です。私は常にこの方法を信じてきたので、確証バイアスが働いている部分はあるかもしれませんが、事例を掘り下げていくのが好きでした。

最近読んだ別の本だと、ウィリアム・ソーンダイクの『The Outsiders』も読みました。ウォーレン・バフェットを始めとし、ほとんどの人が聞いたことないような7人を含む8人のCEOが、どのように最大手のテックカンパニーをしのぐ成果を生み出したのかについての本です。8人には共通して持っているいくつかの特徴があります。例えば彼らはみな会社の評価が下がると大量の自社株買いをしていました。やっていることは倍返しで彼ら自身に賭けていたということですが、従来の常識には反することです。


Q6. あなたが、自分が何かについて間違っていると気づいたのはいつですか?

私はいつも間違えています。戦略策定や人材採用など、重要なことを正しく行おうとしていますが時にはそれらを誤ってしまいます。しかし、プロダクトや機能についての考え方など、小さな物事について間違ったときはより嬉しい気分になります。率直に言うと、私はそういったことに関しては頻繁に間違えるべきだと思っています。なぜなら、視点の切り替えは成長の要素の一つだからです。もし私が常に正しければ、何かを見落としているか、十分なリスクを取れていないのではないかと心配になるでしょう。

失敗にもっと慣れるために、DoorDashでは全てのチームミーティングを良かった点と悪かった点の話から始め、悪かった点について最初に話します。うまくいかなかったことが、なかったことにならないようにしたいのです。なぜなら、大抵の場合、失敗と向き合うことが実際には正しい答えにたどり着くもっとも簡単な方法だからです。


Q7. あなたにとって最も重要な時間の単位は何ですか?またそれはなぜですか?

DoorDashにとっては、最も重要な時間の単位は「1年」だと思います。会社とはたくさんのチームやプロジェクトの集合体であり、その中にはお互いに依存しあっているものもあります。つまり、いくつかの指標であっても目立った変化を起こすには、思ったよりも時間がかかるのです。また、重要な時間の単位は会社の成長に合わせて変化するものだと思います。例えば、もしあなたが新しい領域を生み出しているなら、重要な時間の単位はもっと長くなるでしょう。しかし、今現在においては、1年が私たちにとって最も適した単位です。

ほとんどのチームや個人においては、重要な単位は「1週間」だと思います。なぜなら、1週間という単位は私たちの成功や幸せの感覚と非常に密接に結びついているからです。私が終わらせたい重要なことの大半は、1日以上かかります。1週間のうちに3つ片付けられれば、嬉しさを感じられます。私は通常、その3つのことが毎週何なのかは知っていますし、自分の誠実さを保つために毎週末ちょっとした儀式のようなものをしています。それは、次の週の見通しを立てるのに合わせて、その週に自分の少なくとも半分以上の時間を、その重要な3つのことに費やせていたかを振り返ることです。もしできていなければ、私は自分が集中すべきことをシフトさせる必要があることが分かるのです。


Hard-won advice(努力して得た教訓)

1. Communicate with intention(意図をもってコミュニケーションをせよ)
2. Start small(小さく始めよ)
3. Lowlights before highlights(良かったことの前に悪かったことを話せ)


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