営業マンが辛い状況を乗り越えるための心の保ち方
「40’s Biz talk」は法人営業やBtoBマーケティングが専門の40代男性2人、杉本浩一と柳澤大介がお届けするポッドキャスト番組。
音声番組の内容を読みやすく要約してnoteでお届けしています。第7回は「辛い状況を乗り越えるための心の保ち方」です。
それでは、本編の内容をお届けします。
辛い状況を乗り越えるための心の保ち方
柳澤:杉本さん、今日、話したいテーマがあるんですよね?
杉本:そうなんですよ。この前、営業で辛かった時の話をしたじゃないですか。そうしたら、いくつかコメントがあって。実は辛かった時の話もそうなんだけど、心の保ち方、辛い状況を乗り越えるためというか。
自分が壊れないためのマインドセットって大事なんじゃないかなって気がついて。それは話した方がいいよなって思って。
おっさんとしては、こういうのは若い人に伝えておきたいなって気はするんです。
柳澤:うんうん。
杉本:そこを話そうかなと思うんですけど、いいですか。
柳澤:いいですよ。ちなみに杉本さん、何かありますか。秘訣っていうか。
杉本:あります。ちなみに辛い時ってどんな時かって言うと、私の場合は2つあって。
私はシステム関連の営業が長かったので、システムが止まるとか、不具合が起きることって避けられないじゃないですか。
あってはいけないことなんですけど、完璧なシステムはないので避けられない。
トラブルが起きると提供している会社の責任であり、矢面に立つのは営業なので、当然怒られるんですよ。
この時の辛さがまず一つ。あとは営業だったら誰しも経験しがちな、数字が上がらない時。この2つだと思うんです。
幽体離脱した気分で客観視する
杉本:それに対しての解決方法がいくつかあると思っていて。
1つは、幽体離脱した気分になって客観的に捉えること。トラブルの過中にいると、なんかうわー大変だってなるんですけど、他の人が大変なのを見る時って別に自分は大変じゃないじゃないですか。
自分がトラブル対応の矢表に立っている時に、それを幽体離脱した気分で遠くから眺めてみるっていう状況を考えてみた時に、なんか滑稽になってくると思うんですよね。
「めちゃめちゃ汗かいてるよね(笑)」みたいな。「もう完全に顔面蒼白だね」っていうのがまず面白く見えてくるし。
あと結局のところ、自分が「うわ大変だ大変だ」ってなってても、客観的に見ると大変なことでもないんですよ。
遠目から眺めてみると、結局このお客さんのトラブルになったことで迷惑はかけてるかもしれないけれども、人の命に関わるシステムもあるとは思うけれども、一旦そうじゃない前提だとした時に、そもそも命には関わってないよね。
あるいは、これ直れば大丈夫だよね。そういうふうに考えていくと大したことじゃないなって冷静になれると思うんです。
実際は「大したことじゃないよ」って誰かが言ってあげられれば一番いいんだけど、大抵の場合そんなことは言ってくれないので、自分でそういうふうに思うしかない。
みなさんに言っておきたいんですけれども、大したことじゃないんですよ、トラブルって。失敗とか大したことじゃないので、それがわかれば少し落ち着くんです。
あとは、実際に顧客に囲まれて何を言われるかっていうのを予習してみる。「バカ野郎」とか「どうすればいいんだ」とか、「賠償責任はどうなるんだ」とか。
いくつか想定される文言を頭の中で予習しておくと、実際の席に立った時に、心の準備ができているので受け止められると思うんです。
柳澤:杉本さんは過去に一番大きかったトラブルってどんなことがありましたか?
杉本:一番大きかったのは、あるお客さんのメールシステムが止まったっていう。クラウド型のメールシステム。
今だとGmailとか当たり前じゃないですか。当時はそうでもなくて、メールのシステムはオンプレミスというか、ちゃんと作って提供するっていうのが多い時に、初めてクラウド型で提供した時です。
その時って今ほどクラウドっていうのも一般的でなくて、トラブルも多かったわけですよ。そういう時に提供したら、案の定3日ぐらい止まったんです。
柳澤:仕事のメールシステムが3日止まるってなかなかですね。
杉本:でしょ!メールって連絡手段の根幹ですし、当時は受発注もメールでやってたんですよ。
それが止まるから受注を受けられない。つまり、完全にビジネスの機会損失になる状況なので、私はですね、一応、夜は返してくれたけどほぼ軟禁状態でした。
柳澤:いたんですか…客先にずっと。
杉本:いましたよ。窓が1個しかない小部屋。太陽が昇ったか沈んだかぐらいしか分からない窓の部屋で1日過ごしていました。
扉の前にはクライアント企業の部長が待機してるわけですよ。トイレの時しか出られないみたいな。今だと絶対ないと思うんですけど、当時はそういう経験があって、これは辛かったですよね。
でも経験すると生きて帰れることがわかるので、ああ良かったってなるんですよね。
柳澤さんもありますか?過去のトラブルや心を保つ方法。
柳澤:そうですね。僕も杉本さんと一緒で、命までは取られないからなんとかなる!と考えるようにはしているんですが、実際にトラブルが起きるとパニックになっちゃうことありますよね。
俯瞰してみると、実はそんなに大したことじゃないことでも、それが起きてる時って自分にとってはすごく一大事のように感じる。
20代の時にそういう失敗が多くて、その失敗を何回も繰り返していくと、トラブルが起きてもいつか必ず収束することが身をもってわかる。
杉本:そう、わかるんだよね。
柳澤:明けない夜はないじゃないですけど、後々「あの経験でしといてよかったな」みたいに思えることが、なんとなく分かってるんで。
今は目の前のやるべきことを粛々とやって、時間が過ぎるのを待ちますね。
杉本:初めてトラブルを経験する人たちにはどうアドバイスすればいいんでしょうね。耐えていれば抜けられるよって言えば大丈夫なのか。どういうふうにアドバイスしたらいいですかね。
問題点を書き出して整理すること
柳澤:僕はトラブルが起きた時に心を落ち着かせる方法があって、これは汎用的に使えると思うんですけども。
まずは紙に書き出します。いま起きてる問題や解決すべきこと、どんなタスクがあるのか。で、自分でコントロールできることと、自分ではコントロールできないことってあるじゃないですか。
自分でコントロールできることは一生懸命やる。で、コントロールできないことは他の人に助けてもらうのも含めて待つしかないですよね。
でも一回書き出すと、頭の中でもやもや考えていたものが整理されるので、かなり心は落ち着きます。
杉本:あー、俺も幽体離脱とか言ったけど、実際に幽体離脱する時には書き出してました。
書き出すと確かに、大したことないって分かる。それが客観的に見てるってことなのかな。
柳澤:自分の努力でコントロールできないことってあるじゃないですか。例えば杉本さんのシステム障害だと、杉本さんがエンジニアではないので、それに関しては対応してもらうのを待つしかないじゃないですか。
杉本:そうなんですよ。
柳澤:ってなると、それはどんなに頑張っても自分ではコントロールできないから、自分が努力する対象からは捨てますね。
杉本:そうですよね。ただただひたすら最前線で耐えていくっていう。助けてくれって。ただ叫ぶっていう(笑)
柳澤:あとトラブルが起きた時に僕が心がけているのは、そういう時ほど直接相手と会って話す。
トラブルが起きた時って会いたくないし、怖いからSlackとかメールで連絡しがちなんですけども、トラブルが起きた時のテキストのメッセージって相手からきつい言葉が返ってきたりするじゃないですか。
でも直接話したりすると意外と相手の怒りが収まる。面と向かってはそこまできつく言わない方が多いので、そういう時ほど会いたくないけど会いに行くことを心がけています。
ユーモアと笑いに変えて乗り切ること
杉本:これは万人に通用するわけじゃないかもしれないですけど、私はとにかくどこかにユーモアを入れるっていうのをやってましたね。ユーモアを入れるっていうのは、相手にじゃなくて自分たちに対して。
例えば上司と謝罪に行く時とかは、「今回やばいですね、「切腹最中、持ってく必要ありますかね」とか。
「どうします? めちゃめちゃ焦ってるっていう感じで、霧吹きを頭にかけて冷や汗を演出しますか」みたいなことを言っていましたよね。
「杉ちゃんはやったほうがいいかもしれないな。そんなこと言ってる時点で焦りが足りないわ」みたいなこと言われて。
そういう冗談を言うとリラックスするっていう。
それから、トラブルをゲーム風に楽しむっていうのはけっこう大事かなと思って。
僕、自分が頭を下げた回数を数えていたことありますよ。「お前大丈夫か?麻痺しちゃってない?」って言われるかもしれないですけど。
それで収まった時に「やってやったぜ」っていう感じで報告すると、「いや流石だな」みたいなことを言われるわけですよ。
「よくそんな飄々としていられますね」みたいな。
あとは数字が上がらない時にどうするかって話。これどうですか?柳澤さんはどうしてます。数字が上がらないとき。そもそも辛いって思いますか。
行動できないことが一番のストレスになる
柳澤:辛いっていうか、やばいって思います。そういうとき僕はどうしてるかっていうと、もう売れてる人に聞きに行きます。今どうやってますか?って。
杉本:なるほどね。売れてる人に聞きにいく。解決するためにとにかく頑張る。
柳澤:昔とてもピンチだった時に相談したら、その先輩は8時から来て営業の準備してるって聞いて。僕も出勤を1時間早やくして、退勤を1時間後ろに伸ばしたらやっぱ成果出たりしました。
杉本:辛いから何もしないとかじゃなくて、基本アクションに繋げると。
辛いと思っててもしょうがないから。柳澤さんの場合はヤバイだけど。もうアクションできてるわけですよ。それは素晴らしいです。
杉本:私は最初、なかなか動くことができなかったんです。やる気がなくなっちゃうっていう。私はヤバイってより辛いってなったんですけど、経験を重ねてくると黙ってても解決しないことがわかってきた。
仕事が溜まってヤバイなっていう時、提案書を書き出すとか、見積書を作るとか、契約書を一回眺めるとか、何か走り出してしまえばその後ずっと続いていくっていうか。
僕は、最初それができなかったんですよね。
さらにもう一歩踏み込むと、トラブルの時と同じなんですけど、「これ俺には関係ない」って一度切り離しちゃう。
前にYouTubeをやってた時、「営業でノルマが達成できませんどうしましょう」っていう視聴者からの質問に、「ノルマなんか気にするな」っていうタイトルで動画を出した。
で、営業の中でも「はー!?」みたいな。いろんな人から言われたんですけど。
そういうことを一回切り離してみることで楽になる人もいるんじゃないかなと思うんですよ。どうしても嫌だったら逃げちゃうとかも含めて、一番大事なのは生き残ること、健全に働くことだと私は思っていて。
結局、「無事是名馬」っていう言葉があるんですけど、どんなにノルマ達成しない人でもですね、親父になって分かるんですけど、怪我しないで健康でさえいられれば、いずれ改善したり成長するんです。
それが一番大切なんじゃないかなって思うに至りました。特に若いうちはね。ベテランになってもそれだと困りますけど。
営業はノルマにとらわれるんですけど、一番向き合うべきは顧客であったり社会であることだと思っているので。
顧客のために一番ギブできること何かっていうのを考えるのに集中した方がいいんじゃないかなと思うし、そこの理解が営業には必要なんじゃないかなって最近思います。
柳澤:Amazonのベゾスがいいこと言っていて、「ストレスの要因っていうのは激務とかそういうものからは生まれなくて、行動できていないことが一番ストレスなんだ」って。
なのでストレスはやるべきことをやっていると回避できる。だから杉本さんがさっき言っていた、「止まっちゃう」みたいな時が一番ストレスを感じやすいらしいです。
杉本:そうなんです。だから止めちゃいけないんですよ。パンチは打ち続けなきゃいけない。防御しないで打ち続けろと。それは本当そうだよね。
でもベゾスって、働いている人の定量的なデータを取って、効率的に動いているかどうかとかめっちゃ監視してるわけでしょ。
なんだろう、もやっとしましたね。悩ませる暇もないぐらい働かせるっていう感じなのかな、みたいな。
柳澤:確かにね(笑)。
杉本:管理されて動いてさえいれば、なんか大丈夫だよっていうことでも言えるのかもしれないし。監視されてる方はなんか嫌なんじゃないかなとか、もやっとしましたけど。いや、面白いですね。
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