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浜を照らした光たち

スプリントコーチの秋本真吾です。
子供たちからトップアスリートまで人の足を速くすることを仕事にしています。

2022年3月20日。いわきFCにとって大きな1日になりました。
いわきFCの一員になってまだ2ヶ月足らずの僕が軽々しく言ってはいけないかもしれません。2012年に創設されてから10年。Jリーグに参入し、初めての勝利を地元福島県浜通りの地で実現させました。

今日僕は初めての経験をしました。

試合開始前にいわきFCの監督コーチスタッフ選手が全員ロッカールームに入りました。

村主監督が信じられないほど落ち着いていて、冷静に、淡々と話す。
村主監督の「絶対に勝とう」という声に全員が声を出す。
チームが一つになった瞬間、なぜか涙が止まらなかったです。

今までこんな経験したことあったっけ?仲間と一緒にリレーで走ったり、嬉しい思いや悔しい思いもたくさんしてきた。感動して泣いたことってあったかな?

選手ではなく支える側になった今、こんなにも一つの目標に向かって一つになるその輪の中に自分がいることがありがたく幸せな気持ちになりました。

陸上競技という自分自身との戦いにはない。
僕は味合うことができなかった感情だったと思います。


試合後、また全員がロッカールームに集まりました。

村主監督の表情は試合前と同じでした。これからまだ試合があるかのような表情でした。選手を褒め称え、本当によく頑張ったと言った後、ニコっと「ナイスゲーム」と笑って言った瞬間、チームが歓喜しました。

正直、こういう感覚になるのが初めてで。
一つの勝ちがこんなにも嬉しいなんて思ってもいませんでした。

心からこの瞬間を味わえたことに心から感謝します。


最後に、僕がどこか心の奥底で嬉しいのにしっくりこない感情でした。それは試合に出れなかったメンバーの存在です。

僕はスタンドで試合に出れなかった選手の席で見ていました。

9番の鈴木翔大選手がゴールを決めたときにどの選手も冷静でした。勝利したその後もです。

それは嬉しくないんじゃないんです。
きっとその場に自分がいれなかったことが心から悔しいからだと思うんです。

もちろん誰とも話していないので分かりません。
でも、僕はそう察しました。いや、むしろそうでないといけないんだと思います。

試合に怪我やほんの僅かな実力の差で選ばれなかった選手もたくさんいます。熾烈なメンバー争いがこれから繰り広げられていくはずです。いわきFCというチームは全員で戦っています。

僕も現役時代にライバルがベストを更新していく姿を見て、心から嬉しいなんて一度も思えませんでした。

強いチームになるために、まだ始まったこの長いシーズンを戦っていくために、僕は僕の与えられた選手の足を速くするという仕事を全力で全うしようと思います。

いわきFCに関わる全ての皆さん、本当におめでとうございました。
そしてこれからも、「魂の息吹くフットボール」で熱狂空間を創り出していく一員でありたいです。

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