夢と目標の違いってなんですか?
僕がこの2つの違いに気づいたのは27歳の時です。
当時、僕は会社で働きながら競技を続けていました。
9時から15時まで釣具のルアーメーカーで働いていました。
開発、広報、物流などの部署を経験しました。ルアーがテストされ、作られ、市場に出回り、どうやって販促に繋がるかなど物づくりとは何かを学ばさせてもらいました。
陸上を続けたくても続けられない。その一番の理由は資金面です。会社で働いて給料がもらえる。大学院卒業後、バイトを3つ掛け持ちして競技を続けていた頃と違い、非常に恵まれた環境でした。
競技も自由にやらせてもらうことができました。
どこで練習しようがOK。試合に出ても結果は社内でメール一つで共有し終わり。試合で負けようが誰にも何も言われませんでした。
会社に所属し約1年が経ったところです。
デスクワークをしていると普段鳴らない僕のデスクの電話が鳴りました。
電話を取ると2階にいる社長でした。
「今、社長室来れる?」
なんだろうと思い社長室に入る、社長の目の前に座り言われた言葉は
でした。頭が真っ白になりました。
2つの質問に答えられない自分がいました。
結果が出なくても何も言われない。
給料が減ることもない。
気づいたらぬるま湯に浸かっている自分がいました。
その日、家に帰って自分の夢はなんなのかをもう一度紙に書いて考えました。よく夢はなにか?目標はなにか?を問われたりすると思います。
一旦、今の自分の夢と目標を紙に書いてみました。
ここで、あることを考えました。
夢と目標の違いってなんだろう?と
この違いってなんなのかを僕は答えることができませんでした。
そこで辞書で調べてみました。
全く意味が違いました。
僕が感じた夢と目標の違いはなにか?それは
高校の時、大学の時、最終学年になった時に自己ベストを更新する先輩たちがいました。3年生パワー、4年生パワーなんて言われていましたが、僕はこれには理由があるんだと感じました。
学校の宿題も「いつまでに」「なにをするか」が先生から出されます。
学校の行事や試合や試験も「いつ」「なにが」行われるかが分かっています。だからこそ逆算ができるんです。
マラソン大会があります。ただいつやるか分かりません、何キロかも分かりませんだと頑張りようがありません。
当時僕は、
「いつか」オリンピック、世界選手権に出れたらいいな
になっていました。
オリンピックは4年に1回。世界選手権は2年に1回。
それは決まっています。
「期限」を自分の中で決めていないから頑張れない。
僕の中でこれに気付けたのは本当に大きかったです。
僕はその日中に、次の日に社長に自分の覚悟を示そうと思い、資料を作成しました。
本当はもっと膨大な資料があるのですが、一部公開します。
決意表明書、トレーニングの計画表、今の自分自身のタイムがオリンピックの標準記録を突破するためにどこを改善すればいいかなどをまとめ社長に一から説明しました。
僕が決めた一番大きな「期限」は
2012年のロンドンオリンピック出場すること。
出場できても、できなくてもそこで競技を引退する。
でした。
それが決まることによってゴールが決まります。
そこから逆算をして今日1日をどう過ごせばいいかが分かってきます。
当時、順天堂大学に僕の信頼する方がコーチをしており、インカレで上位を独占するほどの強豪大学でした。コーチに練習させてもらう許可をいただき、毎日15時に仕事を終えて1時間かけて通いました。自分よりもタイムが遅い学生にボコボコに練習でやられる日々でした。苦しくも充実した毎日でした。何気なくただ練習していた日々が、期限が設定され、やるべきことが明確になり、毎日自分の成長を感じる毎日でした。楽しかった。
3年スランプの後、社長の一言から自分の考えと行動を見直し、翌年、自己ベストは更新できなかったものの、過去最高のアベレージを記録し、400mハードルでは、日本GPシリーズ2位、日本選手権5位、4x400mリレーで全日本実業団でチームが優勝(アンカー)、特殊種目200mハードルでは当時のアジア最高記録、日本最高記録を樹立。
僕は思います。
夢は自分の願望でしかないです。
目標を持ってください。目標には「期限」があります。
得たい成果から逆算し、1年、半年、3ヶ月、1週間、1日の過ごし方を考える。それを毎日できたか、どうか振り返る。
これが、スポーツをしてきた人が素晴らしいと言われることではないかと思います。
自分自身、この考えは今でも染み付いていています。
当時社長からもらったこの言葉が僕を変えてくれました。
本当に感謝しています。