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MCUならではの切り口『スパイダーマン:ホームカミング』

権利の関係でディズニー+で配信されていないとのことだったのでU-NEXTで視聴。コロンビアピクチャーズのロゴから始まるのが新鮮。

今作はスパイダーマン作品として3度目の実写化ですが他のスパイダーマンとはまったく異なった切り口ですごく面白かったです。


ヒーローの理想と現実で悩む高校生

今作のピーター・パーカーはすでにスパイダーマンとしてスタークにスカウトされたところから描かれています。スタークに会えたことに興奮しましたがアベンジャーズのメンバーにはなれず、それ以降も近所でヒーロー活動をしているのに身近に大きな事件は起きずスタークからもお呼びがかかりません。

ピーター・パーカーを「ヒーローになった高校生」ではなく「ただの高校生でしかないヒーロー」として描いているのがこれまでのスパイダーマン作品と異なる点でした。アベンジャーズが当たり前にいる世界だからこそヒーローという存在が記号化している、というのがMCUだからこそできるスパイダーマンの切り口です。

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スタークにスーツを取り上げられた際にはショックは受けていましたが、アイデンティティを失うということはなくその後の高校生活を楽しんでいました。ヒーロー活動はピーターの生きがいやアイデンティティなどではなく、ただの構成する要素のひとつなのです。SNSのアカウントのような温度感でしょうか?

一緒に住んでいるおばさんに正体を明かさないのは(おばさんの身を案じているのもありますが)「絶対に辞めさせられる」からだとも言っています。ある意味すごく現実的で等身大の青年です。ヒーロー第2世代的な描かれ方は漫画『僕のヒーローアカデミア』やアニメ『TIGER & BUNNY』などと通ずるものがありますが、セルフパロディ的なこともエンターテインメントとして面白いのが見事です。

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「親愛なる隣人」の意味合いが他の作品と違うのも面白いと思いました。他の作品ではスパイダーマンをたたえる言葉だったのが世界規模で活躍しているアイアンマンに言われると皮肉になっています。

ヴィランも現実的

ヴィランに関してもMCU的ですごくリアルです。きっかけは、復讐心や世間への憎しみ、野望のためではなく、職を失ったことでした。戦闘の残骸撤去の仕事を政府に横取りされ職を失ったため、闇ルートで素材を仕入れ、ハイテク武器に改造して売りさばくという仕事を始めます。「8年間FBIにもアベンジャーズにも目を付けられなかったのに」と言っていたため、本当に職業として行っていたことがわかります。

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演じているのはマイケル・キートン。マイケル・キートンは『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)でロバート・ダウニーJr.の活躍を嘆いていました。それがスパイダ―マンのヴィランとして機械の翼をつけて登場。しかも「バードマン」のように自らの力で飛ぶわけではなく機械の翼がないと飛べず、鳥ではなくハゲタカ(Vulture)なのも最高に皮肉が利いていて好きです。

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気になった小ネタ(?)

『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)でキャプテンの部隊の兵士役のケネス・チョイが先生役で出演していました。後ろの棚の上に白黒の写真と勲章と、おそらくキャプテンも一緒に写っている写真が飾ってあったので先生は兵士の子孫なのでしょう。

Marvelの創始者スタン・リーがカメオ出演しているのにも反応するようになってしまいました。今回はピーターの近所に住んでいる老人でした。

隠されたネタに気づくようになってきたのでそれなりにMCU知識も深まってきたのかなと感じました。


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