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『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』

ドルビーシネマで鑑賞。何度見てもドルビーシネマのオープニング映像はテンションが上がります。緊急事態宣言前に見に行けてよかったです。

『ガメラ2』とは相反する描き方

前作の『ガメラ2 レギオン襲来』は超硬派なサスペンスと自衛隊の活躍を描いた作品でした。突如現れた謎の怪獣レギオンを科学的に解明し、当時の自衛隊の戦力で対処するところが非常にリアルでした。


しかし今回はうって変わって物語の中心は奈良の山奥に住む少女比良坂 綾奈、怪獣たちの解釈もレギオンとは異なりかなりスピリチュアルに分析されていました。

イリスは元々少女の住む地域の伝承で神として祀られており、目覚めたとき世界を滅ぼす存在として守られてきました。封印が解かれたイリスはガメラへの憎悪を持った綾奈の意思と共鳴して成長していきます。

ガメラに関しては生態系を守る地球の守護者であり、マナという地球のエネルギーのバランスが崩れたせいで怪獣が異常発生している、と語られていました。

『ガメラ2 レギオン襲来』と比べると大きくテイストが変わっていますが、『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』のような解釈が特殊かというとそうでもなく、その後も『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)や『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)など、スピリチュアルや考古学、民俗学と結び付けて怪獣を表現する作品もあります。個人的にはリアル路線の方が好みではありますが、怪獣特撮はリアル路線と科学を超越したスピリチュアル路線のどちらに帰結しても作品として面白いものになるのは興味深いです。


息をのむほどリアルなミニチュア特撮

渋谷が焼き尽くされるシーンと破壊される京都駅は何度でも見たいと思うほど見事でした。怪獣による破壊としてもですが、都市部で起こる災害として見ても非常にリアルです。渋谷のスクランブルで爆発が起こるシーンは最近だと『サイレントトーキョー』にもありました。CGや大人数のエキストラを使って撮影されたそちらと比較してもかなりのリアリティで、1999年の作品とは思えませんでした。

特に京都駅に関しては特撮で破壊されるためにデザインされたのではないかと思えるほど見事。鉄骨1本1本が壊れて、質量を感じました。現在の技術ならCGで本物かCGかわからないほどリアルに作成することもできるんでしょうが、ミニチュアだからこそある”味”もここまでリアルで深みが出るのかと驚きました。

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映える怪獣

炎を上げている京都の町に照らされるガメラは本当に画になっていて美しかったです。日本家屋は階層が低いですし木造だと炎が上がりやすいので怪獣が映えます。ミニチュアを使った実写シーンだけでなく、CGで合成された、月明りの下で透明な翼を広げて飛翔するイリスも美しい。夕日に照らされてイリスが成長していき綾奈と融合するシーンも幻想的でした。

全体的に怪獣が映えるシチュエーションや構図を意識して作られているように感じました。

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まとめ

ミニチュアや特撮はリアル、ガメラのデザインもシリーズで最も生物的なのにシナリオはスピリチュアル寄りというのが面白いと思いました。

渋谷を焼き尽くすガメラは破壊神のようで目玉が取れているギャオスに容赦なくとどめを刺す姿はむしろすがすがしい。見る立場によっては怪獣の印象が変わるのも特撮の面白いところだと感じます。

20年前の作品ということで気づくことも多かったです。若かりし日の伊集院光さんや仲間由紀恵など、意外なキャスティングもありました。渋谷駅は今では全く違う町になったことを実感しました。東横線の地上駅があり、スクランブルスクエアはもちろん、ヒカリエもない。看板からも懐かしさを感じたのは本当にリアルに制作されているからですね。



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