世界観もアクションもとにかく最高!『ブラックパンサー』
鮮やかで画面映えする衣装とアフリカ民族的な音楽、近未来的な技術の融合が異様でとても楽しい世界観を演出していました。大人数同士でのアクションもMCUでは珍しかったですね。
斬新かつ作りこまれた世界観
まず架空の国「ワカンダ」のビジュアルに驚きました。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』以降登場してはいたものの国の全体像はかなり作りこまれていました。実は世界的に途上国とされている国が最先端技術と唯一無二の資源を保有していて、それを伝統的に隠し続けている、というもの。近未来や宇宙の設定とは逆ベクトルのぶっ飛んだ設定でわくわくしました。
最先端技術の描写と、伝統的なアフリカっぽい文化の両方ともかなり作りこまれていました。伝統的な文化の描写は物語序盤の、王座をかけて決闘するシーンにかなり凝縮されていました。ワカンダは5つの部族が協力することで国を治めていて、それらの部族は戦士を送り出し、王族の候補者と決闘をして王権を争うことができるというもの。滝で決闘を行う様子を、鮮やかな民族衣装を着ている各部族の人々が歌ったり踊ったりしながら見守るというシチュエーションが素晴らしかったです。
”サークルオブライフ”的な死生観や、ワカンダの人々の舌足らず?巻き舌気味?なしゃべり方からも細かい世界観づくりの意図を感じます。
架空の国だからこその、誇張されながらもすごく映える伝統や、「ワカンダ・フォーエバー!」と声をそろえて言う様子からも感じるハッピーな雰囲気が気持ちがいいです。
シチュエーション作りが素晴らしい
強すぎる世界観に負けることなくアクション映画や特撮のお約束的なポイントがきっちり抑えられていたのも印象的でした。決闘のシーンですが、このシーンではブラックパンサーの力を一時的に失って生身で戦うのでCGが使えません。そこで滝を使うことで水を使ったアクションとして成立させ、ワカンダの雰囲気も感じられるシーンになっていたのが見事。
中盤のカジノでの、高低差を使いながら長回し(に見える)アクションも驚きました。カーチェイスへの繋ぎのシーンとしてはもったいないほど芸が細かくて見ごたえがあります。
(動画2:00ごろ~)
ヴィブラニウムという鉱物の採掘場では列車が走っていましたが、その線路には鉱石の特性を無力化するための装置がついていました。一見ただディティールが作りこまれているだけかと思ったら、クライマックスでそこに戦う場所を移すことでスーツを部分的に無力化することと、列車が迫りくる中で戦うことができるようになっていました。
まとめ
世界観やビジュアル、音楽が素晴らしいのはもちろんのこと、それらの特別感に甘えることなくアクションシーンもすごく手の込んだ作品でした。ここまでシチュエーションづくりが上手く多彩なアクションが見られる作品も珍しい。
なんだかんだ一番好きなシーンは、ヴィラン側についた部族が角笛を吹いてサイを呼ぶところ。布から盾が出たり衝撃波を放つ槍を作るほど高い技術力があるので自動操縦の戦車やロボットが出てもおかしくないのですが、最終兵器とでもいうように呼んだのが「装甲をつけたサイ」というのが最高でした。リアルな作品も好きですが、合理性ではなく楽しさに振り切った作品も爽快です。
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